Circumstance

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採用事情
少子高齢化の進行により、日本の労働市場の平均年齢は上がりつつあります。「令和5年版厚生労働白書」によると、2020年には労働力人口に占める60歳以上の割合が21.2%に達しました。少子高齢化に伴い介護人口が増加し、身内の介護に追われてフルタイムでの就労が難しい人材も増えてきており、柔軟な働き方が求められるようになってきました。
そこで今後重要になる雇用制度が「短時間正社員制度」です。
短時間正社員制度は、現代の労働環境と家庭生活のバランスを取りたいと考える多くの働き手にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、2024年現在、短時間正社員制度の普及率は低水準です。厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、令和5年度における短時間正社員制度の普及率は、わずか17%という調査結果が出ています。
厚生労働省「雇用均等基本調査」より引用
今後さらに労働人口が減ると予想されるなかで、豊富な労働力を確保するためには、短時間正社員制度への理解・導入が欠かせません。
そこでこの記事では短時間正社員制度について、以下の内容を踏まえて解説します。
企業も新しい働き方の導入を検討する時期にきています。短時間正社員制度を取り入れたいと感じている人事担当者の方は、ぜひ最後まで読み、参考にしてください。

短時間正社員制度を採用に活用しませんか
短時間正社員制度の導入は、仕事と家庭のバランスを取りたいと考える多くの求職者にとって魅力的な選択肢となります。制度の導入についてのご相談、ならびに制度を最大限に活用する人材採用のお手伝いなら内藤一水社にお任せください。
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こちらでは短時間正社員制度について、以下の内容を解説します。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
短時間正社員とはフルタイム勤務が難しい従業員向けの雇用制度で、以下の1~5を満たす労働者を指します。
出典:社労士オフィスエルワン
短時間正社員は、以下のような長時間労働が難しい雇用者に対し、安定した雇用を供給することが目的です。
短時間正社員制度は、多様な人材が働きやすい環境を提供するため、企業と従業員の双方にとって多くのメリットがあります。短時間勤務でも正社員としての権利と待遇が保証されるため、ワークライフバランスの向上や従業員の長期的な雇用を安定させる効果があります。
また企業側にとっても、優秀な人材を確保しやすくなるため、生産性の向上や労務管理の効率化など多くの利点があります。
更に短時間正社員の人数に応じて「キャリアアップ助成金」が受給可能です。キャリアアップ助成金を受給するには、以下2つのいずれかの条件を満たす必要があります。
以上の条件を満たし、正社員と同様の雇用形態・賃金形態を6ヵ月以上維持すると、企業は1人あたり20万円(大企業の場合は15万円)が受給可能です。当該従業員が母子家庭あるいは父子家庭の親であった場合、さらに10万円が加算されます。
短時間正社員はフルタイム正社員と比較して、労働時間は少ないですが、正規雇用に違いありません。そのため従業員は安定した雇用を享受でき、企業側にも柔軟な労働力の確保や助成金の受給など、数々のメリットがあります。
短時間正社員の契約形態は「無期労働契約」であるのに対し、パート・アルバイトの形態は「有期労働契約」です。契約期間の定めの有無は、労働形態の大きな違いを生みます。
短時間正社員の扱いはフルタイム正社員と同等なので、従業員に安定した雇用を提供します。
企業側としても正社員と同等の扱いをすることで人材流出が防げ、企業内で不足している労働力を充填可能です。
「労働力の補充なら、パートやアルバイトで十分ではないか」という疑問も湧いてくるかもしれません。ですがパート・アルバイトは有期労働契約であり、従業員の責任感という面で正社員に劣ります。
正社員としての帰属意識を従業員が持つことで、責任感やエンゲージメント(愛着心)が高まり、パート・アルバイトには任せられない仕事を任せられるのが短時間正社員の大きなメリットです。
短時間正社員とフルタイム勤務の正社員の違いは、やはり労働時間の差です。
フルタイム正社員は一般的には「週5日・1日8時間」の勤務形態を取ります。一方短時間正社員の勤務時間は、以下のように定められています。
上記の規定により従業員に柔軟な労働を提供し、企業側はフルタイム正社員と同様、責任ある労働力を確保可能です。
一方、待遇に関しては、短時間正社員とフルタイム正社員はまったく同様です。ただし勤務日数や時間が異なるため、給与や賞与は必然的にフルタイム正社員より低い額面となります。
「時短勤務」と「短時間正社員」は言葉が違えど、内容にほぼ差はありません。ただし適用条件に関しては、以下のような差があります。
時短勤務は、フルタイム正社員が私生活とのバランスを取るために一時的に勤務時間を短縮する措置で事由が終わった際は元のフルタイム勤務に戻ることを前提としています。一方、短時間正社員は長期的にその労働形態で働くことが前提です。
| 短時間正社員 | フルタイム正社員 | 時短勤務 (育児・介護法対応) |
パート・ アルバイト |
|
|---|---|---|---|---|
| 雇用期間 | 無期雇用 | 無期雇用 | 無期雇用 ※正社員のまま 利用するケースが 一般的 |
有期雇用(更新あり) ※一部無期転換者 を含む |
| 労働時間 | フルタイムより短い (週20〜30時間程度等) |
法定・所定労働時間 (週40時間程度) |
原則 1日6時間など (所定より短縮) |
柔軟に設定可能 (シフト制など) |
| 仕事の責任・範囲 | フルタイムと同等 ※時間制約のみ |
無制限 (中核業務) |
軽減される場合が多い ※本人の希望・状況による |
限定的・補助的業務 |
| 賃金・賞与 | 正社員と同等の 算出基準 (労働時間比例) |
月給制・賞与あり | 労働時間比例で減額 (ノーワーク・ノーペイ) |
時給制 賞与は寸志または無しが多い |
| 社会保険 | 適用 (要件を満たす場合) |
適用 | 適用 | 労働時間等の要件による |
| キャリア・昇進 | あり (フルタイム転換も可) |
あり | 一時的に制限される 場合あり |
原則なし (正社員登用制度等は別) |
| 制度の根拠・目的 | 企業の制度設計 多様な働き方の推進・人材確保 |
標準的な雇用形態 | 法律上の義務 育児・介護との両立支援 |
労働力調整・補助 |
| 期間の性質 | 恒久的な働き方 として選択可能 |
恒久的 | 一時的な措置 (子が3歳になるまで等) |
契約期間内 |

短時間正社員制度は、単なる福利厚生ではありません。採用難易度が高まる現在、他社と差別化し、組織力を高めるための「経営戦略」として機能します。
一般的な「フルタイム正社員」の求人市場は、多くの企業が競合するレッドオーシャンです。しかし、視野を広げると「能力は高いが、フルタイムでは働けない」という優秀な人材が数多く存在します。
短時間正社員制度があれば、これらの層を「競合他社が手を出せないブルーオーシャン」から独占的に採用することが可能です。
「週30時間勤務・正社員」という条件を提示するだけで、母集団形成(応募者集め)における反応率の改善が期待できます。
人事担当者にとって最も痛手なのは、手塩にかけて育てたハイパフォーマーや、社内事情に精通したベテラン社員の離職です。
特に近年深刻なのが、育児短時間勤務が終了するタイミング(「小1の壁」など)や、突発的な親の介護による離職です。
既存のパート転換制度では「給与・賞与の大幅ダウン」や「キャリアの断絶」がネックとなり、離職やモチベーション低下を招きがちでした。ここで「短時間正社員」という選択肢があれば、「身分とキャリアは維持したまま、労働時間だけを短くする」ことが可能となります。
従業員に安心感を与え、エンゲージメントを高めることで、貴重な戦力の流出を防ぎます。
短時間正社員制度の導入を成功させる鍵は、曖昧さを排除した「制度設計」にあります。
後々の労使トラブルを防ぐため、以下の3つの重要ポイント(労働時間、社会保険、給与・規程)を押さえて設計を行いましょう。
まずは、フルタイム正社員と比較して、どの程度勤務時間を短縮するかを決定します。一般的には「週20時間以上〜30時間程度(週3〜4日勤務など)」で設定するケースが大半です。
ここで人事担当者が特に注意すべきなのは、「法定外残業」と「法内残業」の扱いの違いです。
短時間正社員が残業をした場合、1日6時間を超えても、8時間を超えるまでは「法内残業」となり、法律上の割増賃金(1.25倍)は不要です(通常の時給単価でOK)。
ただし、就業規則で「所定労働時間を超えた場合は割増賃金を支払う」と定めている場合は、支払い義務が生じます。無用なコスト増を防ぐため、給与規程での定義を明確にしておきましょう。
短時間正社員は、原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象となります。
これは求職者にとって大きなメリット(扶養を外れて将来の年金額を増やせる)であり、パートタイマーとの明確な差別化ポイントです。
【社会保険加入の要件(2024年10月改正準拠)】
以下の要件を満たす場合、加入義務が発生します。
制度設計の際は、「週20時間以上」を最低ラインとし、基本給設定も月額8.8万円を超えるように設計するのが一般的です。
「フルタイム正社員と同等の待遇」とは、金額が同じという意味ではなく、「計算の基礎(時給単価など)が同じ」という意味です。不公平感を生まないよう、以下の計算式を参考に給与規程を整備してください。
基本給の算出(比例付与)
フルタイム正社員の所定労働時間を分母とし、短時間正社員の労働時間を分子として算出します。
計算式:
フルタイムの基本給 × (短時間正社員の所定労働時間 ÷ フルタイムの所定労働時間)
例:フルタイム(週40H)月給30万円の場合、週30H勤務なら 30万円 × 0.75 = 月給22.5万円
賞与・退職金
基本給と同様に、労働時間に比例して支給額を決定する旨を規程に明記します。あるいは「支給係数」を別に設ける場合もありますが、基本給連動型が最も管理しやすく合理的です。
通勤手当・福利厚生
通勤手当は「出勤日数に応じた実費支給」または「定期代支給」とするのが一般的です。慶弔休暇や福利厚生施設の利用などは、フルタイムと同様に適用することで、従業員のエンゲージメント向上につながります。
制度を導入する際は、既存の就業規則を変更するか、新たに「短時間正社員就業規則」を作成し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
特に以下の条文は必ず見直しが必要です。
※厚生労働省が配布している「短時間正社員制度導入支援マニュアル」等のモデル就業規則を活用すると、法的な抜け漏れを防ぐことができます。

苦労して制度を設計しても、求人票でその魅力が伝わらなければ応募は集まりません。
特に「短時間正社員」は、まだ一般的に認知度が低い言葉です。そのため、求職者が「これはパートではなく、安定した正社員の募集だ」と一目で理解できるような書き方の工夫が不可欠です。
ここでは、優秀な潜在層(育児中の専門職や、キャリア志向の時短希望者など)に刺さる求人票作成のテクニックを解説します。
求職者の多くは「短時間正社員」という単語そのもので検索するとは限りません。彼らが抱える「悩み」や「希望条件」をキーワードとしてタイトルや本文に散りばめることで、検索ヒット率を高めましょう。
必須キーワード:
ターゲット別キーワード:
最も避けるべき失敗は、求職者に「結局、時給の良いパートでしょ?」と誤解されてスルーされることです。
以下の比較表を参考に、「責任ある仕事」と「安定した身分」であることを明確に表現してください。
職種名
給与表記
仕事内容
書き方のポイント
給与については、時給ではなく「月給」で表記することが最も重要です。「月給」という文字があるだけで、求職者は「安定した生活」をイメージしやすくなります。
短時間正社員を希望する人材は、単に「楽がしたい」わけではありません。「時間は限られているが、キャリアは諦めたくない」という強い意欲を持っています。
以下の3つのメリットを「言語化」して記載することで、他社のパート求人と差別化を図りましょう。
求人票は、企業の「本気度」を伝えるラブレターです。「パートの延長」ではなく、「新しい働き方のスタンダード」として提示することで、これまで出会えなかった優秀な人材からの応募が期待できます。

短時間正社員制度を導入した後、人事担当者が最も頭を悩ませるのは、現場からの「素朴な疑問」や「不公平感の訴え」への対応です。
ここでは、想定される質問に対する「人事としての模範解答」と、運用のポイントを解説します。
「給与は労働時間に比例して減額されている(ノーワーク・ノーペイ)」ことを説明し、時給換算では対等であることを伝えます。
【人事からの回答例】
「短時間正社員の方は、早く帰る分だけ給与が減額されています。時間当たりの基本給や賞与の計算式はフルタイムの皆さんと同じであり、優遇されているわけではありません。むしろ、限られた時間の中で成果を出すことが求められるため、密度の高い働き方が必要とされています。」
運用のポイント:
感情論になりがちなため、可能であれば給与テーブルの構造(計算ロジック)を可視化して説明するのが最も効果的です。
可能です。ただし、限られた時間で成果が出せるよう、業務量や役割分担の調整が必須です。
【人事からの回答例】
「管理職に求められるのは『長時間会社にいること』ではなく『組織目標の達成』ですので、制度上は可能です。ただし、労働時間が短い分、どうしてもこなせる実務量(プレイヤー業務)は限られます。本人がマネジメント業務に集中できるよう、部下への権限委譲を進めたり、チーム内での役割分担を見直したりするなどのサポート体制が必要です。」
運用のポイント:
「役職手当」をどう扱うかも事前に決めておく必要があります。責任の重さが変わらないなら全額支給、稼働時間が減る分だけ影響が出るなら比例して減額など、自社の等級制度に合わせたルール化が求められます。
評価項目は同じで構いませんが、定量的(数値)な目標は「労働時間に比例して」設定します。
【人事からの回答例】
「『意欲』や『規律』といった定性的な評価基準はフルタイムと同じです。しかし、売上目標や処理件数などの定量的な目標については、労働時間比率(例:フルタイムの0.75倍など)に合わせて調整します。『短い時間でフルタイムと同じ成果を出せ』と強いるのは、制度の趣旨に反するため行いません。」
運用のポイント:
ここを曖昧にすると、短時間正社員のモチベーションが著しく低下します。「目標の按分(あんぶん)」ルールを評価者研修で徹底してください。
法的には可能ですが、原則避けるべきです。制度利用の「前提」が崩れるためです。
【人事からの回答例】
「36協定の範囲内であれば、法的に残業を命じることは可能です。しかし、そもそも育児や介護などの事情があって短時間勤務を選んでいるため、恒常的な残業は離職に直結します。突発的なトラブル対応などを除き、原則として残業はさせない運用をお願いします。」
運用のポイント:
所定労働時間を超え、法定労働時間(1日8時間)までの残業には割増賃金(1.25倍)は不要ですが、就業規則で独自の割増規定を設けていないか確認が必要です。
もちろんです。そのための「転換制度」ですので、積極的に推奨します。
【人事からの回答例】
「この制度は、ライフステージの変化に合わせて柔軟に働けるようにするためのものです。事情が解消された際には、本人の希望と面談を経て、フルタイム正社員へ復帰できるルート(転換試験や面接など)を用意しています。」
運用のポイント:
優秀な人材を繋ぎ止めるための制度ですので、フルタイム復帰へのハードルは低く設定(面接のみ等)しておくのが定着率向上のコツです。
労働力人口が減少の一途をたどる日本において、従来の「フルタイム正社員」か「非正規雇用」か、という二択だけで組織を維持することは限界を迎えつつあります。
短時間正社員制度は、単なる「育児・介護支援のための福利厚生」ではなく、「時間という制約はあるが、能力は高い人材」を企業の戦力として取り込み、採用競争力を劇的に高めるための「経営戦略」です。
多様な働き方が、企業の「強さ」になる
導入当初は、就業規則の改定や現場の調整など、人事担当者にかかる負担は決して小さくないでしょう。
しかし、この制度によって獲得した人材は、必ずや貴社の新たな強みとなります。また、フルタイム社員にとっても「将来、介護などで制約ができても働き続けられる」という安心感は、エンゲージメント向上に直結します。
まずは特定部署や対象者を限定したスモールスタートからでも構いません。「短時間正社員」という新しい選択肢を取り入れ、変化に強く、誰もが活躍できる組織づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

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短時間正社員制度の導入は、仕事と家庭のバランスを取りたいと考える多くの求職者にとって魅力的な選択肢となります。制度の導入についてのご相談、ならびに制度を最大限に活用する人材採用のお手伝いなら内藤一水社にお任せください。
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