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公開日2025.09.02更新日2025.09.02

HR & 採用業界ニュース解説|万博閉幕後へ採用本格化、出社回帰、バイト求人4割が最低賃金以下

HR & 採用業界ニュース解説|万博閉幕後へ採用本格化、出社回帰、バイト求人4割が最低賃金以下

残暑も少しずつ和らぎ、朝夕には多少秋の気配が感じられる今日この頃。
人事・採用担当者の皆様におかれましては、来期に向けた戦略を練ったり、採用活動を本格化させたりと、お忙しい日々をお過ごしかと思います。
採用ナレッジでは、そんな皆さまに役立つ情報をピックアップし、深掘りする「HR & 採用業界ニュース解説」を定期的にお届けしております。

内藤さん
田中さん
小林さん

今回は第12回目、前回に引き続き採用支援のベテラン内藤さんと、新人の田中さん、そして進行の小林の3人で、しっかり解説していきたいと思いますので、最後までお付き合いください。

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採用におけるミスマッチ、採用費の高騰、採用した従業員の早期離職など、人材採用に関するお悩み・ご相談のある方はお気軽に内藤一水社までご連絡ください。採用業界のプロである私たちが丁寧にサポートします。

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万博スタッフの接客・語学力に期待大…閉幕後へ採用本格化

では早速、最初のニュースからいきましょう!

期間限定の仕事である万博スタッフですが、早くも閉幕後の採用に注目が集まっているようです。

万博って、なんだか華やかでいいですよね!でも、期間限定の仕事ですし、閉幕したらスタッフの皆さんはどうなるんだろう、と思っていました。閉幕後の採用活動がもう始まっている、というのも気が早いような…。

田中さん、その視点こそが、今回のニュースの核心なんです。「閉幕したらどうなるか」を先読みし、いち早く動き出す企業が増えているようです。これは単なる「一過性のイベント景気」ではなく、質の高い人材を獲得するための「未来を見据えた採用戦略」と言えるかもしれません。

採用競争が、もう水面下で始まっているということですか?

ええ、しかも、すでに具体的な動きとして表面化しています。例えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、早くも8月上旬に万博スタッフを対象とした求人説明会を実施しました。さらに、9月、10月には、自治体や人材サービス企業が主催する万博スタッフを対象とした転職・就業支援イベントが予定されているなど、水面下どころか、もう採用活動は本格化しているんです。

もうそんな具体的な動きが…!なぜ、そこまでして万博スタッフを?

考えてみてください。万博のスタッフは、国内外から訪れる多様な来場者に対応する中で、高いレベルの語学力や接客スキル、異文化理解力を日々、実践で磨いています。これは、ホテルや観光、小売といったサービス業界はもちろん、グローバル化を進める多くの企業にとって、喉から手が出るほど欲しい人材です。

なるほど…!万博で働いている期間が、ある意味で「壮大なインターンシップ」のようになっていて、企業は優秀な人材の獲得を狙っている、ということですね。

まさにその通りです。USJのような企業は、閉幕後に一斉に労働市場に出てくるこの優秀な人材群を、他社に先駆けて確保しようと動いているわけです。万博での経験を高く評価する旨を伝え、早期に接点を持つことで、自社への興味を惹きつけ、関係性を築いています。万博という一大国家プロジェクトをやり遂げた彼らの経験、特に予期せぬトラブルへの対応力や高いホスピタリティ精神は、組織全体のサービスレベルを底上げし、新たな価値を創造する起爆剤になり得ますから。

閉幕後に一斉に市場に出てくる優秀な人材を、いかに早く、確実に自社に迎え入れるか。USJの事例のように、そのための具体的なアプローチが既に始まっているということですね。

出社回帰でエンジニア4割「転職検討」。企業とすれ違う現実

それでは続いて、2つ目のニュースです。

コロナ禍でリモートワークが定着したと思いきや、最近は出社回帰の動きが加速している企業が増えています。その一方で、ある調査ではエンジニアの約4割が「転職を検討する」と回答したそうです。この企業と従業員の「すれ違い」は、なぜ起きるのでしょうか?

せっかくリモートワークに慣れて効率も上がったのに、なぜ出社に戻すのか、正直、現場としては理解できないですよね…。満員電車に乗るのも大変ですし、なんだか、会社の都合ばかり優先されているような気もします。

田中さんのその気持ち、非常によく分かります。多くの社員が、リモートワークで個人の生産性が向上したと実感しているからです。実際、ある調査では「自宅での勤務で効率が上がった」と回答した人は78.9%で、過去最高を記録しています。

78.9%!それは驚異的な数字ですね。

ええ。しかし、経営層が出社回帰を検討するのには、別の理由があります。彼らが最も懸念しているのは、「コミュニケーションの希薄化」や「新人教育の難しさ」、そして「従業員全体の生産性低下」といった組織としての課題です。彼らが考える生産性は、個人がタスクをどれだけ早く終えるか、という効率性だけではありません。部署を超えた「偶発的なコミュニケーション」から生まれるイノベーションや、チームの連携、そして組織へのエンゲージメントといった、目に見えにくい価値を重視しているのです。

なるほど…。個人の生産性と、組織としての生産性。考え方の「レイヤー」が違うんですね。それが「すれ違い」の原因なんですね。

その通りです。そして、この「すれ違い」の解決策は、「出社かリモートか」という二者択一ではありません。鍵となるのは、両者のメリットを組み合わせる「ハイブリッドワーク」です。従業員は柔軟な働き方で満足度を維持し、企業はオフィスを「集まる意味のある場所」にすることで、コミュニケーションの質を向上させることができるんです。例えば、マイクロソフトやベネッセといった企業は、コミュニケーションを円滑にするためのツールを導入したり、オフィスをリフレッシュスペースとして活用したりと、様々な工夫を凝らしています。

単に制度を作るだけでなく、それに合わせて「オフィスそのものの役割」や「コミュニケーションの仕組み」を変える必要がある、ということですね。

この「すれ違い」は、単なる働き方の問題ではなく、経営と社員の価値観の対話が問われているサインです。出社回帰の本当の目的は、従業員をオフィスに縛ることではなく、最高のパフォーマンスを引き出すこと。そのために、双方が納得できる「最適な働き方」を対話を通じて見つけていく姿勢こそが、企業の成長と人材の定着につながるんです。

バイト求人4割が最賃以下 7月時点、秋引き上げ時と比較

さて、最後のニュースです。

今秋に過去最高水準となる最低賃金の引き上げが予定されていますが、これに満たない時給のアルバイト求人が、7月時点で4割にも上るという試算が発表されました。

4割も!それは大変ですね…。でも、単純に最低賃金を下回っているなら、時給を上げればいいだけじゃないんですか?そんなに難しいことなんですか?

田中さんがおっしゃる通り、理屈の上ではそうなのですが、実はそう簡単にはいかない、複雑な事情があるんです。特に地方では、最低賃金の上昇率が高くなる傾向があり、企業にとっては人件費の負担増が非常に重くなります。このコスト増は、企業が非正規社員の新規採用を抑制したり、雇い止めを検討したりするきっかけにもなりかねません。

え…!時給を上げないといけないから、逆に雇用が減ってしまう、ということですか?なんだか、本末転倒な話ですね。

そうなんです。そして、もう一つ深刻なのが「賃金逆転現象」です。最低賃金に近いパート・アルバイトの時給を上げると、勤続年数の長い社員や、正社員との賃金差が縮まり、最悪の場合は逆転する事態も起こり得ます。この問題を解消するためには、パート・アルバイトだけでなく、正社員を含めた全社的な賃金制度の見直しが必要となるケースも出てくるでしょう。これは、採用市場全体に波及する大きな問題なんです。

時給を上げるか、雇用を絞るか、既存社員の賃金を見直すか…。まさに八方塞がりですね。

そんなことはありません。この難局を乗り越える鍵は、賃金上昇分をカバーする「生産性の向上」と、賃金以外の部分でどう人材に選ばれるかを考える「魅力の再構築」です。国や自治体も、中小企業の経営改善を支援するため、様々な助成金や補助金を用意しています。例えば、「業務改善助成金」や「IT導入補助金」などを活用すれば、RPA導入によるバックオフィス業務の自動化や、勤怠管理システムの導入など、企業の体質そのものを改善することができます。これは、最低賃金引き上げという外部環境の変化を、企業競争力強化のチャンスと捉える「変化を利用する」スタンスに他なりません。

確かに、ただお金を払うだけでなく、会社の仕組みそのものをアップデートする機会だと捉えれば、全然違って見えますね。

その通りです。また、賃金だけで戦えない時代だからこそ、採用活動においても「賃金以外の魅力」を積極的にアピールすることが重要です。例えば、「一緒に働く従業員のイメージ」や「職場の雰囲気」を求人情報に掲載するだけでも、求職者が抱く印象は大きく変わります。

最後に

さて、本日ご紹介した3つのニュースを振り返ってみると、万博も、出社回帰も、最低賃金も、一見バラバラな出来事かと思いきや、人事の仕事がますます複雑になっていることを感じますね。

本当にそうですね。特に、内藤さんのお話を聞いて、目先の対応だけでなく、その後の人材流動や、根本的な働き方、賃金制度まで、全体を見据えて考えなければいけないんだとハッとしました。人事の仕事って、本当に奥が深いんですね。

田中さん、いい気づきです。今日取り上げた3つのニュースには、いくつかの共通する本質的なメッセージが隠されています。
まず一つ目は、「変化への対応力と戦略的思考」です。万博のニュースが象徴的でしたが、閉幕後の人材市場の変化を予測し、他社に先駆けて採用戦略を練るように、未来を読んで先手を打つ視点がますます重要になります。最低賃金のニュースも、単なるコスト増と捉えるのではなく、生産性向上の好機と捉える戦略的思考が求められます。
二つ目は、「データに基づいた意思決定」です。経営層と従業員の認識ギャップのように、感覚ではなく、データを基に問題を特定し、最適な解決策を導き出す能力が不可欠になってきています。
そして三つ目は、「従業員への共感」です。エンジニアの転職意向や、パート・アルバイトの賃金問題は、企業が従業員の働き方や生活にどれだけ寄り添えるかが問われている証拠です。

外部環境の変化を敏感に捉えつつ、自社の内側にある「働く人」一人ひとりの声に耳を傾けること。それが、今後の採用・人事部門に求められる役割、ということでしょうか。

まさにその通りです。採用は、常に会社が「どうありたいか」を問い続けるプロセスです。今日お話ししたことが、人事の皆様がこの複雑な時代を生き抜くための、少しでもお役に立てれば幸いです。

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