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お役立ち情報
10月も終わりに近づき、朝晩は少し肌寒ささえ感じる季節となりました。
採用担当者の皆様におかれましては、来春に向けた新卒採用活動も本格化し、年末に向けて多忙な日々をお過ごしのことと存じます。
採用ナレッジでは、そんな皆さまに役立つ情報をピックアップし、深掘りする「HR & 採用業界ニュース解説」を定期的にお届けしております。
今回は第13回目、前回に引き続き採用支援のベテラン内藤さんと、新人の田中さん、そして進行の小林の3人で、しっかり解説していきたいと思いますので、最後までお付き合いください。

採用に関するお悩み、ご相談ください!
採用におけるミスマッチ、採用費の高騰、採用した従業員の早期離職など、人材採用に関するお悩み・ご相談のある方はお気軽に内藤一水社までご連絡ください。採用業界のプロである私たちが丁寧にサポートします。
まずはこちらから無料相談今回も気になるニュースから見ていきましょう。
全国求人情報協会の発表によると、9月の求人広告件数が2ヶ月連続で前年同月比マイナスとなったようです。特に今回は減少幅が大きいようですね。
はい、9月の求人広告件数は前年同月比で10.0%の減少となりました。8月もマイナスでしたが、さらに減少率が拡大しています。特に正社員は17.0%減、中でも事務職は46.2%も減少しており、深刻な状況です。
えぇっ!そんなに減っているんですか!賃上げのニュースが毎日のように流れていたので、景気が良くなって求人も増えているのかと思っていました…。それにしても、事務職の46.2%減は突出して大きいですね。何か特別な理由があるのでしょうか?
良い視点ですね、田中さん。もちろん賃上げ負担や採用難が大きな要因ですが、事務職の大幅減に関しては、もう一つ『生成AIの活用』という側面も考えられます。定型的な書類作成やデータ入力といった業務は、AIによる自動化・効率化が進みやすい領域です。コスト意識の高い企業ほど、事務職の採用を絞り、その分の投資をITツールやシステムに向ける動きが加速している可能性があります。
なるほど、人を採用する代わりにAIを導入する、というわけですか。これは採用市場の構造的な変化と捉えるべきかもしれませんね。アルバイト・パートの求人もマイナスに転じたようですが、こちらも同様の背景なのでしょうか。
アルバイト・パートに関しては、より直接的に賃上げの負担が影響していると考えられます。特に小売店などの販売職が22.9%減少しているのは、最低賃金の引き上げが直撃しているからです。『中小など賃上げ負担に耐えられず求人を絞る店も目立つ』との声もあり、余力のある大手と、負担増に耐えきれず求人を絞る中小企業とで、採用姿勢の二極化が進んでいると言えそうです。
その賃上げの大きな要因となっているのが、最低賃金の引き上げです。
帝国データバンクの調査で、企業のホンネが見える興味深い結果が出ています。
はい、9月に行われた調査によると、従業員を採用するときの最低時給の平均は1,205円となり、2025年度の最低賃金の全国平均1,121円を84円上回っています。企業側も人手不足に対応するため、最低賃金以上の時給を提示している状況がうかがえますね。
皆さん頑張って時給を上げているんですね!それだけ賃金が上がれば、景気も良くなりそうですけど…?
そこが難しいところでして、この調査では最低賃金の引き上げによる消費回復の効果について、企業の49.4%が『ない』と回答しているんです。『ある』と答えた企業はわずか12.0%でした。
え、半分近くの企業が効果がないと感じているんですか。賃金が上がれば、みんなお買い物に行くんじゃないんですか?
企業の現場からは、『社会保険料や税金の負担が重く、結局のところ可処分所得が増えないと消費には回らない』といった厳しい意見が多く見られました。給料の額面は増えても、社会保険料なども同時に上がるため、手取りの増加は限定的です。そのため、将来への不安から消費よりも貯蓄に回してしまう人が多い、と企業側は冷静に見ているわけです。
企業は人件費増の負担に苦しみ、労働者は手取りが増えないと感じ、結果として経済全体も潤わない…。なんだか、誰も得をしていないような状況ですね。政府が目標として掲げる『2029年までに最低時給1,500円以上』という目標についても、企業の反応は厳しかったようですね。
はい、この目標について『達成可能』と答えた企業は3割に届きませんでした。企業の賃上げ余力が徐々に低下している中で、さらなる引き上げには悲観的な見方が多いのが実情です。賃上げの勢いを維持するためには、企業の収益力向上や、社会保険料負担の見直しといった、より踏み込んだ政策が求められていると言えるでしょう。
え!人が足りなくて困っているのに、募集をしないんですか?それじゃあ、ますます大変になるんじゃ…。
まさに、そのジレンマに多くの中小企業が陥っている、とりそな総合研究所の研究員は指摘しています。これ以上の人件費負担を避けるために、人手不足を解消したくても求人を出せない、という苦しい状況です。
え…!時給を上げないといけないから、逆に雇用が減ってしまう、ということですか?なんだか、本末転倒な話ですね。
そうなんです。そして、もう一つ深刻なのが「賃金逆転現象」です。最低賃金に近いパート・アルバイトの時給を上げると、勤続年数の長い社員や、正社員との賃金差が縮まり、最悪の場合は逆転する事態も起こり得ます。この問題を解消するためには、パート・アルバイトだけでなく、正社員を含めた全社的な賃金制度の見直しが必要となるケースも出てくるでしょう。これは、採用市場全体に波及する大きな問題なんです。
事業を成長させたい、サービスを維持したい、でも、そのために必要な人を雇う体力がない…。経営者にとっては苦渋の決断でしょうね。
ええ。記事の中でも『人手不足の厳しい実態を踏まえると、求人を抑える動きには違和感が拭えない』と書かれています。本来であれば、人手が足りないなら採用を増やすのが当然ですが、それすらできないほど追い詰められている企業があるということです。特に地方や、価格転嫁が難しい業界でその傾向が顕著になっている可能性があります。
よく『生産性を上げれば賃金を上げられる』って言いますけど、そんなに簡単なことじゃないんですね。
おっしゃる通りです。記事では『賃金が増えるから生産性を上げるのではなく、生産性の上がった企業だけが賃金を増やせる』と、本来の順序について言及しています。生産性を上げるためには新たな設備投資なども必要になりますが、多くの中小企業にはその余裕がないのが現実です。所得の底上げは重要ですが、その副作用で企業の活力が失われては元も子もありません。政策と現場の実態との間に、まだ大きな溝があると言わざるを得ませんね。
さて、今回は賃上げがもたらす採用市場の歪み、とも言えるようなニュースを見てきました。内藤さん、改めて総括をお願いします。
はい。今回のニュースから見えてくるのは、賃上げという社会全体の要請と、個々の企業の経営体力との間に大きなズレが生じている実態です。新規採用のハードルがますます高くなる中で、人事戦略は「新たな人材をいかに獲得するか」という視点だけでなく、「今いる社員にいかに長く活躍してもらうか」、つまり「社員の定着」と「離職防止」の視点がこれまで以上に重要になります。
採用担当者としては、自社の状況を冷静に分析し、人材紹介やAI活用といった多角的な採用チャネルを確保すると同時に、社内のエンゲージメントを高める施策にも力を入れるなど、採用と定着を両輪で考える総合的な人材戦略が求められていると言えるでしょう。
なるほど…。お客様にただ求人広告を提案するだけじゃなくて、その会社の事業や財務状況まで理解した上で、最適な採用の形を一緒に考えていく姿勢が、これからはもっと重要になるんですね。すごく勉強になりました!私もお客様の“懐事情”まで考えられるコンサルタントになれるよう頑張ります!
田中さん、その意気です!私たちもお客様一社一社に寄り添ったご提案をしていきましょう。

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