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公開日2026.01.06更新日2026.01.08

【2025年11月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、正社員倍率0.99倍が示す調整局面

【2025年11月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、正社員倍率0.99倍が示す調整局面

最新の公的統計および求人広告掲載件数に基づき、2025年11月度の採用市場動向を分析・解説いたします。

11月の採用市場は、10月に続き労働需給の転換がより鮮明となる結果となりました。ハローワークにおける正社員有効求人倍率は0.98倍(季節調整値)へとさらに低下し、求職者が求人数を上回る状態が常態化しつつあります。一方で、現場の採用活動を示す求人広告掲載件数は前月比で微増していますが、これを「回復」と捉えるのは早計です。

本レポートでは、マクロデータで見える「雇用の停滞」と、ミクロデータが示す企業の「防衛本能」を統合的に読み解き、人事担当者が2026年に向けて舵を切るべき戦略的な方向性を提示します。

2025年11月 採用市場の3つのキーポイント

2025年11月の採用市場において、人事担当者が注視すべき重要な動向は以下の3点に集約されます。

  1. 正社員有効求人倍率0.98倍への低下と、深刻な新規求人抑制
    正社員の有効求人倍率は0.98倍と前月をさらに下回り、企業の採用意欲の減退が構造的なレベルに達しつつあります。マクロの新規求人数(原数値)も前年同月比▲10.4%と大幅な減少を記録しており、市場全体に強い冷え込みが見られます。
  2. 非正規雇用に見る「守りのシフト」とリスク回避の動き
    マクロの非正規就業者が30万人減少する一方で、ミクロの求人広告では「契約社員他」のみが前年比+5.9%と増加しています。これは積極的な採用拡大ではなく、正社員という「固定費」を回避しつつ、フルタイムの穴埋めを行う「守りの代替需要」へとシフトしている企業の防衛本能が伺えます。
  3. 大手の「将来投資抑制」が中小企業に生む「エンジニア獲得」の好機
    技術職・研究職の求人広告が前年比で半減(▲52.3%)した事実は、大手企業が将来投資を大幅に抑制したことを示唆します。この動向は、これまで大手との競争で苦戦してきた中堅・中小企業にとって、市場に滞留する優秀な専門人材を獲得できる「逆説的な好機」となり得ます。

【マクロ分析】公的統計データから見る労働市場の全体像

この章では、厚生労働省と総務省のデータに基づき、採用市場の土台となる労働市場の構造的な変化を分析します。

【全体】有効求人倍率・完全失業率の推移

2025年11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準となりました。一方、完全失業率(季節調整値)は2.6%で、こちらも前月と同率を維持しています。

項目 2025年11月(季節調整値) 前月比(ポイント) 前年同月差(ポイント)
有効求人倍率(全体) 1.18倍 0.00 ▲0.07
正社員有効求人倍率 0.98倍 ▲0.01 ▲0.04 (原数値差)
新規求人倍率 2.14倍 +0.02 ▲0.11
完全失業率(全体) 2.6% 0.0 +0.1

数値上、有効求人倍率の全体平均は1.18倍を維持していますが、新規求人(原数値)が10.4%減と大幅に落ち込んでいる点には注意が必要です。これは将来的な有効求人倍率のさらなる押し下げ要因となり得ると推察されます。

また特筆すべきは、完全失業者が4か月連続で増加(171万人、前年同月比+7万人)している点です。内訳を見ると「新たに求職」する層が6万人増加しており、物価高騰による生活防衛のため、これまで市場にいなかった潜在層が動き始めている可能性が考えられます。

【雇用形態・就業状態別】正規雇用の安定と非正規の調整

雇用形態別に見ると、企業がコア人材の確保を優先しつつ、流動的な人材で調整を行っている姿が見て取れます。

  • 正規の職員・従業員(原数値):前年同月比 +81万人 増加。
    実数としては25か月連続で増加しており、正社員雇用の基盤そのものは依然として堅調です。
  • 非正規の職員・従業員(原数値):前年同月比 ▲30万人 減少。
    特にアルバイト(▲16万人減)、契約社員(▲11万人減)の減少が目立っています。
    企業の業績懸念やコスト削減の波が、まず非正規雇用の採用抑制や契約期間満了に伴う調整として現れていると考えられます。

【産業別】新規求人(ハローワーク)の動向

産業別の新規求人(原数値)を見ると、一見して「人手不足」とされる業界での求人減が目立ちます。

産業分類 新規求人数(人) 対前年同月増減率(%)
建設業 61,501 ▲5.9%
医療・福祉 196,403 ▲7.9%
宿泊業・飲食サービス業 50,367 ▲14.1%

後述するミクロ(有料広告)データでは建設業の求人は増加しています。ハローワークでの求人減少は「需要の減退」ではなく、「無料媒体ではもう人が採れない」という労働市場の硬直化を示唆している可能性があります。十分な採用コストを払える企業だけが人材を確保し、低コスト媒体に頼る企業が採用をあきらめる「優勝劣敗」が加速していると推察されます。

【ミクロ分析】求人広告掲載件数から見る企業の採用活動の実態

この章では、企業の現場感覚に近い求人広告掲載件数のデータから、採用市場動向をより詳細に解き明かします。

2025年11月の求人広告掲載件数(全体)は2,233,647件でした。前月比では+1.7%と小幅な伸びを見せましたが、前年同月比では▲21.0%と大幅な減少を記録しています。これは、多くの企業が前年までの積極採用から、極めて慎重な選別採用へとシフトしたことを裏付けています。

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出典:公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2025年11月分)」

雇用形態別の求人広告動向

雇⽤形態 件数 前⽉⽐ 前年同⽉⽐ 占有率(注)
正社員 1,267,023件 +4.5% ▲27.6% 61.9%
アルバイト・パート (AP) 633,007件 ▲3.3% ▲15.3% 30.9%
契約社員他 146,092件 +1.9% +5.9% 7.1%

注)各雇用形態の合計(2,046,122件)を分母として算出。

正社員広告は前年比で約28%の減少と、非常に厳しい状況です。マクロの正社員有効求人倍率が0.98倍に低下したことを受け、企業が有料媒体を通じた母集団形成コストを絞り込んでいる実態が推察されます。

一方、マクロの非正規雇用が減少しているにもかかわらず、有料広告の「契約社員」が増加しているのは、景気回復によるものではないと考えられます。正社員としての長期雇用リスクを避けつつ、フルタイムに近い即戦力を確保しようとする「苦肉の策」であり、離職増加に伴う穴埋め採用の「自転車操業化」が起きている可能性が高いと考えられます。

【職種別】採用ニーズの「二極化」の正体

職種別の増減率を見ると、市場の構造変化が明確に現れています。

【前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 農林漁業 +28.3%
2. 専門(金融・法務専門職) +22.7%
3. 建設・採掘 +15.8%

【前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 専門(技術者・研究者) ▲52.3%減
2. 事務 ▲50.7%減
3. 輸送・機械運転 ▲27.3%減

【分析と考察】

  • 事務職・技術職の激減:事務職(▲50.7%減)および専門技術者・研究者(▲52.3%減)の求人が半減している事実は衝撃的です。事務職についてはDXやAIによる業務代替の進展が、技術職については大規模な投資抑制や研究開発の見直しが背景にある可能性が考えられます。
  • 建設・採掘の底堅さ:一方で、インフラ維持や災害対応を担う建設・採掘職種は、正社員求人においても+22.1%増と力強い伸びを示しており、景気変動に左右されない絶対的な人手不足の状態にあります。

地域別の求人動向:前月比の「季節性ノイズ」に惑わされるな

地域別に見ると、前月比ですべてのブロックが微増(+0.1%~+6.1%)していますが、前年同月比で見ると2割前後の大幅な減少となっています。

地域ブロック 2025年11月(件) 前⽉⽐ 前年同⽉⽐
北海道・東北 131,514 +4.1% ▲30.2%
関東・甲信越 945,857 +0.1% ▲20.0%
中部・北陸 300,914 +2.1% ▲21.4%
近畿 358,932 +1.8% ▲21.6%
中四国 142,705 +6.1% ▲26.1%
九州・沖縄 188,385 +3.2% ▲26.1%

前月比の増加についてはは年末商戦や冬期の短期需要に伴う「季節的なノイズ」である可能性が高く、前年比で2~3割減という数字こそが市場の実力値でありると考えられます。「採用(求人広告)市場が底打ちした」と判断するのは時期尚早です。


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