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最新の公的統計および求人広告掲載件数データに基づき、2025年12月度の採用市場の全体像を解説いたします。
2025年12月の採用市場は、長らく続いた過熱感が収束し、明確な「構造変化」のフェーズに入りました。
有効求人倍率は1.19倍と横ばいで推移していますが、その内実は「正規雇用の増加」と「非正規の減少」という二極化が進んでいます。特に現場の動きを示す求人広告件数では、事務職が前年比でほぼ半減する一方で、建設・インフラ系は二桁増を記録するなど、職種による優勝劣敗が鮮明です。
本レポートでは、公的統計(マクロ)と求人広告データ(ミクロ)の乖離を読み解き、2026年に向けた採用戦略のヒントを提示します。

目次
2025年12月の採用市場において、人事担当者が注視すべき重要な動向は以下の3点に集約されます。
この章では、厚生労働省と総務省のデータに基づき、日本全体の労働市場における需給バランスの現状を分析します。
2025年12月の主要なマクロ指標は、表面上は安定しているように見えますが、内訳には注意が必要です。
| 項目 | 2025年12月(季節調整値) | 前月比(ポイント) | 前年同月差(ポイント) |
|---|---|---|---|
| 有効求人倍率(全体) | 1.19倍 | +0.01 | ▲0.06 |
| 正社員有効求人倍率 | 0.99倍 | +0.01 | ▲0.04 |
| 新規求人倍率 | 2.17倍 | +0.03 | ▲0.10 |
| 完全失業率(全体) | 2.6% | 0.0 | +0.2 |

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)について(有効求人倍率)」
有効求人倍率は1.19倍となり、前月を0.01ポイント上回りました。しかし、12月の有効求職者数(季節調整値)が前月比で0.8%減少していることが倍率を押し上げた要因の一つであり、企業の採用意欲(有効求人数)の伸びは0.3%増に留まっています。
就業者全体の数字を見ると、企業の雇用戦略の転換が浮き彫りになります。
非正規雇用の内訳を前年同月比で見ると、パート(+14万人)は増加していますが、アルバイト(▲23万人減)や契約社員(▲16万人減)が大きく減少しています。正規雇用が26か月連続で増加している事実とあわせて考えると、企業は既存の有期雇用者に対し「優秀層の正社員化」または「契約満了による調整」という選別(雇用の新陳代謝)を厳しく行っていることが推察されます。
産業別の新規求人(原数値)は、全体で前年同月比2.4%減となりました。
| 産業分類 | 新規求人数(人) | 対前年同月増減率(%) |
|---|---|---|
| 教育,学習支援業 | 13,961 | +4.0% |
| 製造業 | 71,986 | +1.6% |
| 建設業 | 67,607 | ▲1.2% |
| 医療,福祉 | 209,661 | ▲0.6% |
| 卸売業,小売業 | 84,952 | ▲6.5% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 59,755 | ▲7.0% |
| 情報通信業 | 19,933 | ▲10.5% |
宿泊・飲食や小売などのサービス業で求人減が続く中、注目すべきは情報通信業(▲10.5%減)の二桁減少です。これまで市場を牽引してきたIT業界ですが、ここに来て採用基準の厳格化や投資の選別が進んでおり、ハローワークレベルの求人動向にもブレーキがかかっている様子が見て取れます。
この章では、企業の採用計画をよりダイレクトに反映する有料求人媒体のデータから、採用現場の実態を読み解きます。
2025年12月の求人広告掲載件数(全体)は2,177,854件でした。前月比では▲2.5%の減少となりましたが、前年同月比では▲15.7%の減少となっており、10月(▲16.0%)や11月(▲21.0%)に続き、大幅なマイナス傾向が続いています。

出典:公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2025年12月分)」
| 雇⽤形態 | 件数 | 前⽉⽐ | 前年同⽉⽐ | 占有率(注) |
|---|---|---|---|---|
| 正社員 | 1,328,763件 | +1.4% | ▲19.3% | 64.1% |
| アルバイト・パート (AP) | 722,138件 | ▲7.4% | ▲11.2% | 29.4% |
| 契約社員他 | 129,199件 | ▲11.6% | +3.8% | 6.4% |
注)各雇用形態の合計(2,003,303件)を分母として算出。
正社員広告は、前年比で約2割の減少が続いていますが、前月比では+1.4%とわずかに持ち直しの兆しが見えます。これは、年末年始を機に2026年4月入社や年度内欠員補充に向けた動きが一部で出始めたためと推察されます。
一方、契約社員他は前年比で+3.8%増と唯一のプラスを維持しています。マクロデータでは契約社員の実数(在籍数)は減少していましたが、新規の採用活動においては逆の動きが見られます。これは、不透明な景況感の中で、企業がいきなり「無期雇用の正社員」として採用する固定費リスクを避け、まずは「有期雇用の契約社員」として即戦力を確保しようとする「採用の慎重姿勢(リスクヘッジ)」が強く働いているためと考えられます。
職種別の増減率を見ると、企業の投資判断がより鮮明に現れています。
【前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】
| 職種 | 前年同⽉⽐ |
|---|---|
| 1. 農林漁業 | +53.1% |
| 2. 建設・採掘 | +21.4% |
| 3. 警備 | +12.0% |
【前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】
| 職種 | 前年同⽉⽐ |
|---|---|
| 1. 事務 | ▲47.8% 減 |
| 2. 専門(技術者・研究者) | ▲32.5% 減 |
| 3. 販売(営業) | ▲21.5% 減 |
【分析と考察】
求人広告件数は減少していますが、掲載されている平均賃金は上昇を続けています。
これは、「数」を追う採用から、「質」を重視する採用へシフトした結果とみてとれます。
企業は、採用枠を絞る代わりに、どうしても欲しい人材(ハイスキル層や、不足する現業職)に対しては提示給与を引き上げています。2026年に向けては、単なる大量募集ではなく、「ターゲットを絞り込み、そこに予算を集中させる」戦略が不可欠となります。
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