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公開日2026.03.05更新日2026.03.16

【2026年1月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、就業者数42か月ぶりの減少が示す「構造的調整」の深化

【2026年1月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、就業者数42か月ぶりの減少が示す「構造的調整」の深化

最新の公的統計および求人広告掲載件数データに基づき、2026年1月度の採用市場の全体像を解説いたします。
2026年の幕開けとなった1月の労働市場は、長らく続いた過熱感が終わりを告げ、「構造的な調整局面」がより鮮明となる結果となりました。厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍へと低下し、正社員有効求人倍率は1.0倍を下回る水準で停滞しています。さらに総務省の労働力調査では、就業者総数が実に42か月ぶりに減少に転じており、雇用市場の吸収力が限界に達しつつあることを示唆しています。

現場の募集実態を示すミクロデータ(求人広告件数)においても、前年比で約2割の減少という厳しい状況が続いています。本レポートでは、多忙な人事・採用担当者や経営層の皆様へ、これらの統計数値の裏にある市場の「実態」を読み解き、2026年度の採用戦略の指針となる情報を提供いたします。

2026年1月度 各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート

2026年1月度 各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート

各県ごとの平均時給・有効求人倍率、職種別の有効求人倍率(全国・東京都・愛知県・大阪府・福岡県)をまとめています。

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2026年1月 採用市場の3つのキーポイント

2026年1月の採用市場において、人事担当者が注視すべき重要な動向は以下の3点に集約されます。

  1. 有効求人倍率1.18倍へ低下。「買い手市場」への回帰か
    有効求人倍率は前月から0.02ポイント低下し1.18倍となりました。正社員倍率も0.99倍と停滞しており、ハローワーク求人では「求職者が余る」状態が定着しています。企業の選別姿勢が強まり、マッチングが成立しにくくなっています。
  2. 就業者数が42か月ぶり減少。雇用の「縮小」始まる
    これまで3年半(42か月)にわたり増加を続けてきた就業者数が、ついに減少(▲3万人)へ転じました。正規雇用は維持(+57万人)されていますが、非正規雇用が大幅に減少(▲37万人)。企業がコスト調整のために人員整理や採用抑制に動き出したシグナルと言えます。
  3. 事務職求人は「半減」。DXによる構造変化が決定的に
    求人広告市場の落ち込み(▲17.4%減)に加え、事務職(正社員)の▲53.6%減という数字は衝撃的です。これは一時的な不況ではなく、AI・DXによる業務代替が進み、バックオフィス業務の求人が「構造的に消滅」しつつある現実を突きつけています。

【マクロ分析】公的統計データから見る労働市場の全体像

この章では、厚生労働省と総務省のデータに基づき、日本全体の労働市場における需給構造の大きな変化を分析します。

【全体】有効求人倍率・完全失業率の推移

2026年1月のマクロ指標は、見かけ上の安定を維持しつつも、実態の「冷え込み」が各数値に現れています。

項目 2026年1月(季節調整値) 前月比(ポイント) 前年同月差(ポイント)
有効求人倍率(全体) 1.18倍 ▲0.02 ▲0.08
正社員有効求人倍率 0.99倍 ±0.00 ▲0.04
新規求人倍率 2.11倍 ▲0.06 ▲0.21
完全失業率(全体) 2.7% +0.1 +0.2

有効求人倍率は前月の1.20倍から1.18倍へと低下しました。特筆すべきは、完全失業率が2.7%へと上昇(前月比+0.1ポイント)した点です。完全失業者数は179万人と、6か月連続で前年同月を上回る増加(+16万人)を見せています。求職理由別では「自発的な離職(自己都合)」と「新たに求職」がそれぞれ5万人増加しており、生活防衛のために市場に出てきた層が、以前よりも就業先を決定しにくい状況にあることが推察されます。

【雇用形態別】正規・非正規の二極化と「守りの調整」

就業者数の内訳を見ると、企業の苦渋の選択が浮き彫りになります。

  • 正規の職員・従業員:3687万人。前年同月比で+57万人増加し、27か月連続のプラスを維持。
  • 非正規の職員・従業員:2155万人。前年同月比で▲37万人の減少。6か月連続のマイナスとなり、減少幅も拡大。

非正規雇用の内訳(原数値)では、パート(+17万人増)は増加しているものの、アルバイト(▲18万人減)や契約社員(▲8万人減)が大きく減少しています。企業は「今いる正社員」という固定費を守る一方で、流動的な労働力のうち、より調整しやすいアルバイトや契約社員の更新停止・不補充を進めている可能性が高いと考えられます。

【産業別】新規求人(ハローワーク)の動向

ハローワークにおける産業別の新規求人(原数値)は、全体で前年同月比▲4.6%減となりました。

産業分類 新規求人数(人) 対前年同月増減率(%)
教育,学習支援業 16,208 +4.3%
製造業 80,408 +0.8%
建設業 69,443 ▲4.9%
情報通信業 21,034 ▲7.0%
卸売業,小売業 95,998 ▲11.6%
宿泊業,飲食サービス業 61,392 ▲13.8%
医療,福祉 230,948 ▲2.4%

宿泊・飲食サービス業や卸・小売業での二桁減が続く中、これまで堅調だった情報通信業も▲7.0%減と落ち込んでいます。
IT業界であっても、未経験者を含む大量採用フェーズは終了し、即戦力以外は採用を見送る動きが加速しており、産業全体で「厳選採用」の傾向が鮮明化しています。

【ミクロ分析】求人広告掲載件数から見る企業の採用活動の実態

この章では、企業の採用計画をよりダイレクトに反映する有料求人媒体のデータから、採用現場の実態を読み解きます。

2026年1月の求人広告掲載件数(全体)は2,195,653件でした。前月比では+0.8%と微増しましたが、前年同月比では▲17.4%の大幅な減少を記録しています。

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出典:公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2026年1月分)」

雇用形態別の求人広告動向:リスク回避の「契約社員シフト」

雇⽤形態 件数 前年同⽉⽐ 占有率(注)
正社員 1,329,681件 ▲21.7% 60.6%
アルバイト・パート (AP) 735,566件 ▲12.0% 33.5%
契約社員他 129,855件 +2.9% 5.9%

注)各雇用形態の合計(2,195,102件)に基づき算出。

有料広告市場において、正社員求人が2割以上減少する中で、「契約社員他」のみが唯一前年比プラス(+2.9%)を維持しています。
マクロ統計(労働力調査)では契約社員の在籍数は減少(▲8万人)していましたが、ここでの新規募集の増加は、企業の「防衛本能」を表しています。
つまり、先行き不透明な中で「正社員(固定費)」を増やすリスクは避けたいが、現場の欠員は埋めたい。その折衷案として、「まずは有期雇用の契約社員で採用する」というリスク回避(守りの代替需要)が強く働いていると分析できます。

【職種別】採用ニーズの「破壊的二極化」

職種別の増減率は、これまでの採用市場の常識を覆す数値を叩き出しています。

【前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 農林漁業 +62.4%
2. 専門(金融・法務専門職) +20.5%
3. 建設・採掘 +20.0%

【前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 事務 ▲47.6% 減(正社員に限れば▲53.6%)
2. 輸送・機械運転 ▲41.5% 減
3. 専門(技術者・研究者) ▲35.5% 減

【分析と考察】

  • 事務職・輸送職の「構造的削減」:事務職(▲47.6%減)だけでなく、輸送・機械運転(▲41.5%減)の落ち込みも深刻です。事務職はAI・DXによる代替、輸送職は2024年問題以降の物流再編や自動化投資の影響を受け、単純な「人海戦術」からの脱却が進んでいる証左と言えます。
  • 「替えが効かない」領域への集中投資:対照的に、農林漁業(+62.4%)や建設・採掘(+20.0%)、金融等の専門職(+20.5%)は、不況下でも強力な需要があります。企業は採用予算を「全体」に薄く配分するのではなく、「どうしても人が必要な現場」と「高度専門職」へピンポイントに投下する傾向を強めています。

地域別の求人動向:都市圏の冷え込みが顕著に

全地域で前年比二桁減となりましたが、特に近畿(▲21.5%)や九州・沖縄(▲20.1%)の下落幅が突出しています。
これまでインバウンド需要や再開発で採用が活況だったエリアですが、その反動減に加え、サービス業を中心とした採用意欲の減退が、都市部から地方へと波及し、「冬の時代」に本格突入したと考えられます。

地域ブロック



前月比 前年同月比
北海道・東北 +8.1% ▲17.9%
関東・甲信越 ▲1.4% ▲18.5%
中部・北陸 +2.3% ▲14.6%
近畿 ▲1.5% ▲21.5%
中四国 +7.4% ▲13.7%
九州・沖縄 +2.7% ▲20.1%
2026年1月度 各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート

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各県ごとの平均時給・有効求人倍率、職種別の有効求人倍率(全国・東京都・愛知県・大阪府・福岡県)をまとめています。

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