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採用事情
近年、脱炭素化社会実現のためのGX(グリーントランスフォーメーション)を担う人材への関心が高まっています。カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出実質ゼロ)という世界的な目標実現に向けて、大企業やグローバル市場ではGX人材の育成が急務となっています。
しかし日本国内のGX市場は発展途上であり、GX人材の定義も完全には定まっていません。そのため、具体的な情報を把握しきれない人事担当者の方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、以下3つの内容を主軸にGX人材についての詳細を解説していきます。
自社の事業にマッチしたGX人材の採用・育成を検討されている方はもちろん、興味を持たれている方もぜひ最後までご覧ください。
今後、貴社にも必要となるかもしれないGX人材
日本国内でGXへの取り組みはまだ始まったばかりです。今はまだピンと来ていない方も多いと思いますが今後、GX人材が必要になった際には、人材紹介やダイレクトリクルーティングによる採用支援、業界・職種専門の求人サイトを運営する内藤一水社までご相談ください。
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まずGX(グリーントランスフォーメーション)について、以下2つの項目に分けて解説します。
GXを簡潔に説明すると、化石エネルギー中心の産業・社会構造を、風力や太陽光などのクリーンエネルギーを活用した構造に転換していく経済・社会全体の取り組みです。
現在、さまざまな経済活動におけるエネルギー源は、石炭・石油などの化石燃料がその多くを占めています。しかしこれらの化石燃料は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大量に排出します。
日本においても近年は酷暑や暖冬が続いているように、地球温暖化の影響は深刻です。気象庁の観測によると、このままの経済活動を行った場合、今後100年で平均1.35℃の気温上昇が起こるとされています。
※出典:気象庁HP
エネルギー源の中心を化石燃料からクリーンエネルギーに移すことは、温室効果ガスの排出削減につながります。こうして地球温暖化の影響を軽減し、経済成長の場として世の中の変革を促す活動こそが「GX」です。
地球温暖化への懸念は、19世紀から提起されていました。ただし本格的に社会問題として取り沙汰されたのは、1997年に採択された「京都議決書」からです。
京都議決書では、温暖化の主因である二酸化炭素をはじめとした、温室効果ガスの削減目標を制定しました。同議決書では第一期間(2008〜2012年)で、先進国で排出される温室効果ガスを、5%削減することを目標としています。
日本は無事この目標を達成しましたが、続く第二期間(2013〜2020年)の目標には参加していません。これは京都議決書に、主要経済国である米国や中国が不参加であったことを不服としたためといわれています。
その後、第二期間を経て失効した京都議決書の代わりに、2015年にパリ協定が採択されました。このパリ協定を契機として本格的に、世界がGX実現に向けて動き出します。
特に注目されたのは、2050年までに二酸化炭素排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにする「カーボンニュートラル」の宣言です。日本も当時の菅総理が、2020年の所信表明で2050年のカーボンニュートラルを宣言しています。
現在、日本は2030年度までに温室効果ガスを46%削減(2013年度比)することを目標としています。ただし日本はエネルギー供給の70%以上を火力発電が占めており、GX目標達成は依然厳しいものとなっています。
政府のみならず、民間企業や人々の協力がないと、日本のGX実現は不可能といえるでしょう。
前述の通り、GX実現は国際社会における最重要項目の1つであり、世界的に注目されています。そこで、ここからは企業におけるGXの重要性を、以下4つの観点から解説します。
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを削減し、温度上昇による気候変動ならびに環境汚染へ対応することは、世界的な課題です。
近年の日本では、地球温暖化が原因とされる酷暑や暖冬、突発的な豪雨などの異常気象が多発しています。この気候変動は、水資源、自然生態系、自然災害、健康など生活に直結するリスクだけでなく、農林水産業をはじめとする様々な産業・経済活動にも大きな影響が出ると指摘されています。
日本は2050年までに、二酸化炭素の総排出量プラスマイナスゼロを目標としています。
このカーボンニュートラルの実現に向けて、誰もが無関係ではなく、あらゆる主体が取り組む必要があります。将来の世代が安心して暮らせる、持続可能な経済社会をつくるGXを推進するためには、様々な企業の協力が不可欠です。
企業が持続可能な開発目標(SDGs)を通し、GX実現への取り組みをすることは、国際社会において重要です。積極的なGXへの関与は消費者からの信頼を得られ、ブランド価値の向上につながります。
日本では企業価値を測る指標として、GXに深い関わりを持つESG(環境・社会・ガバナンスの総称)への取り組みに対する評価が顕著になっています。「日経平均株価」の算出など、日本経済を金融・経済情報サービスで支えている株式会社QUICKの調査によると、2023年のESG投資残高は約104兆3000億円で、前回の22年調査に比べ約22兆6000億円増えました。
(22年の投資残高が21年と比較して減少しているのは、調査・回答した機関で「ESG投資」の定義を厳格に見直したためと考えられます。)
つまり、企業がGXに積極的に取り組み、ESG評価を上げることは、投資家からの信頼を得て企業価値の向上につながります。
地球温暖化による気候変動を危惧し、国内外では気候変動対策に関する法規制が年々厳しくなっています。特に顕著なのが、二酸化炭素排出量に応じて課税額が増える炭素税です。
炭素税は日本を含む多くの国で導入されており、税率も国により異なります。2024年時点で日本では1tあたり289円と比較的安価ですが、フランスでは約7,000円と極めて高い税率です。
今後、世界規模でカーボンニュートラル政策がさらに促進されることを考えると、新たな環境税の導入も十分にありえます。企業にとって現状からGXへの転換を考えることは、国際社会で優位性を得るためには必須です。
GXへの取り組みでもっとも重要なのは、エネルギー効率の最適化です。エネルギー使用量の低下やクリーンエネルギーの導入は、環境保全の一環になるとともに、企業のコスト削減につながります。
ただし、エネルギー効率の良い設備や太陽光パネルなどの導入には、多額の初期投資が必要になります。スタートアップや中小企業にはこの初期投資の困難さが課題です。
この課題に対して、政府もスタートアップや中小企業に対しさまざまな補助金を用意しており、民間企業全体でのGX実行加速を支援しています。GX促進は、長期的な目線で見れば今後の日本経済の礎となり、企業の持続可能な成長と競争力の向上につながります。
※経済産業省のGX補助金の概要
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/pr/pdf/pr_gx.pdf
前項で解説した通りGX促進はさまざまなメリットがあり、世界中の企業にとってGX人材の採用・育成は重要度の高いタスクです。2024年現在ではGX人材の育成は世界規模で行われています。
リクルートエージェントの調べによると日本のGX求人の推移は、2016年度を1とした場合で、2023年には約8倍に増加しています。
一方、転職者数は2016年度比で4.16倍に留まり、求人比率に対して伸びていないのが現状です。
上記のデータから、日本のGX転職市場では企業の需要に対し、条件を満たす人材が著しく少ないことが伺えます。
ではなぜ、GX人材の超過需要が起きているのでしょうか。その要因を、次の項目から解説します。
日本のGX人材が不足している理由は、大きく分けて3つです。
日本のGX人材の求人需要は2020年から急速に伸び始め、2023年には2016年度比で7.82倍の高水準となり8倍に迫る勢いです。
このGX求人の急増は、間違いなく政府の「2050年までのカーボンニュートラルの達成」という方針表明がきっかけと言えるでしょう。
その後、2021 年の「グリーン成長戦略」や、2022 年の「GXリーグ基本構想」、「GX 実行会議」などで様々な施策が示されたことから、企業の戦略も具体化して一気に募集が増えました。
一方、GXに関わる仕事の経験者は日本の転職市場ではまだ少なく、転職者数の推移は2016年度比4倍程度に留まっているのが現状です。
GX人材の定義に関してはこれまで統一したガイドラインがなく、企業側ではどのような条件で募集すればよいか分かりにくい状況でした。また、求職者側からすると求められるスキルが分かりづらく応募を躊躇してしまう、そんなギャップが両者のマッチングを難しくしていました。
また、GX求人そのものにも大きな問題があります。GX分野への転職を志しても、そもそも求人がどこにあるか分からないという点です。
GXに取り組む企業が、官公庁や学術機関とともに協働する場「GXリーグ」に全面協力しているパーソルクロステクノロジーが2022年にGX求人特集を出したものの、決して広く浸透しているとまでは言えず、依然として企業も曖昧な枠組みでの人材定義が続いています。
そこで、2024年5月14日に経済産業省と官民連携組織GXリーグがGX人材の定義「GXスキル標準」を発表しました。
※参考:GXリーグ公式WEBサイトhttps://gxleague.go.jp/aboutgxleague/document/GX%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E6%A8%99%E6%BA%96%EF%BC%88GXSS%EF%BC%89.pdf
この「GXスキル標準」では、GX人材をアナリストやストラテジストなど4類型に分類して、4段階の技術レベルも設定しました。
ただ上記の通り、GX人材は高度な専門性とリテラシーを要求されます。加えて転職者は自身のレベルやスキルが条件を満たすものなのか上記の定義ではよく分からず、自己評価がしづらいのも大きな問題です。また企業側でもこの分類・定義から、求めるポジションや、担当する業務範囲、必要なスキルまでをイメージすることは難しいでしょう。
そこで次項では、GX人材の募集職種に関して、具体例を交えて見ていきます。
現在、GX人材の求人は、多様な業界、多岐に渡る職種で増えています。
具体的には、エンジニアをはじめ、温暖化ガス削減計画を立案するコンサルタント、環境関連の情報開示の知識を持つ専門職、さらに太陽光発電施設や風力発電所の建設には、電気工事士や施工管理技士の資格を持った人材が欠かせません。
しかし、GXに関わる実務経験者の少ない現在の転職市場においては、転用可能なスキルや知見を持った異業界からの人材採用を視野に入れなければなりません。そのためには、自社のGX人材のペルソナ設定が重要になります。
今回は、以下の4分野に分けてGX人材の職種例を紹介します。参考になれば幸いです。
太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギーなど、再生可能エネルギーシステムの設計、開発、運用エンジニアを中心に以下のような募集事例があります。
●蓄電所開発(大型定置用蓄電池設置)のプロジェクトマネージャー
●バイオマス発電所の運転維持管理
この分野では、金融・IT・コンサルタント会社などが、企業の持続可能な成長を支援するため、ESG戦略の策定や、持続可能なビジネスモデルの構築、ステークホルダーとのコミュニケーションなどの業務を担当する企画・開発スタッフを積極的に募集しています。
●サステナビリティ事業戦略コンサルタント
不動産分野においても、GX実現は大きな課題です。特に重要なのが、ZEB化・ZEH化と呼ばれる施策。これらは1次エネルギーの年間消費量をプラスマイナスゼロにしつつ、快適な室内環境を実現した施設や住宅のことです。国も補助金を出し推進しているため、ZEB・ZEHの設計・施工経験者の募集が増加しています。
●オフィスビル、商業施設、大型倉庫、ホテルなどの設備設計(ZEH・ZEBの対応)
風力発電、バイオマス発電、廃棄物処分などの分野で、環境影響評価、環境マネジメントシステムの構築、環境法規制の遵守支援などを担う環境コンサルタントを募集する例や、また金属・プラスチックなどの再生資源の分野で、資源循環型社会を推進する企業が、技術系から事務系職種まで様々なポジションを募集しています。
●金属リサイクルの提案営業
【資料DL】縦覧公告ガイドブック
新聞への環境アセスメント公告掲載を詳しく解説
・縦覧公告とは?
・縦覧公告の内容は?
・縦覧公告の仕様は?
・掲載する新聞は?
日本国内におけるGXへの取り組みはまだ始まったばかりであり、人材も十分にそろっていません。企業側も採用には一定の手間とコストが必要な点には理解が必要です。
まずは、自社が求めるGX人材に必要なスキル・経験を明確にした上で、人材紹介やダイレクトリクルーティング、業界・職種専門の求人サイトなど、複数の採用手法を利用していくことをお勧めします。
とは言え、GX人材の超過需要の現状を考慮すると、募集・採用と並行して社員のリスキリング(学び直し)を通じた人材の育成も不可欠と言えるでしょう。
今後、貴社にも必要となるかもしれないGX人材
日本国内でGXへの取り組みはまだ始まったばかりです。今はまだピンと来ていない方も多いと思いますが今後、GX人材が必要になった際には、人材紹介やダイレクトリクルーティングによる採用支援、業界・職種専門の求人サイトを運営する内藤一水社までご相談ください。
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