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公開日2026.06.01更新日2026.06.01

【2026年4月 採用市場レポート】IT求人は大幅増、一方で事務職は減少。職種別「二極化」が鮮明に

【2026年4月 採用市場レポート】IT求人は大幅増、一方で事務職は減少。職種別「二極化」が鮮明に

最新の公的統計および求人広告掲載件数データに基づき、2026年度の幕開けとなる4月度の採用市場の全体像を解説いたします。

2026年4月の労働市場は、マクロの公的統計とミクロの求人広告データにおいて、企業の採用活動における「選択と集中」の傾向がうかがえる結果となりました。厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍と前月と同水準で推移し、総務省の労働力調査では完全失業率が2.5%へと低下。非正規雇用が2か月ぶりに増加へと転じるなど、統計上は一部に回復の兆しが見られます。
一方で、企業の募集意欲をダイレクトに反映する求人広告掲載件数は、前年同月比で▲7.2%とマイナス基調が継続しています。特に職種別の動向を見ると、IT技術者と事務職で対照的な動きを見せており、市場の二極化が進んでいます。
本レポートでは、人事・採用責任者の皆様へ向けて、マクロ・ミクロ両面のデータから市場の実態を読み解き、今後の戦略立案に向けた示唆を提示いたします。

2026年4月 採用市場サマリー

項目 状況 人事・採用責任者への示唆
有効求人倍率 横ばい(1.18倍) 市場全体は急回復していない
IT求人 大幅増(+70.8%) 高難易度職種は競争激化
事務職求人 大幅減(▲48.1%) 採用要件・手法の見直し進行
非正規雇用 増加(+46万人) サービス業等の回復基調

2026年4月 採用市場の3つのキーポイント

2026年4月の採用市場において、戦略立案の鍵となる動向は以下の3点に集約されます。

  1. 有効求人倍率1.18倍、正社員は1.0倍割れが継続
    • 有効求人倍率(季節調整値):1.18倍(前月と同水準)
    • 正社員有効求人倍率(季節調整値):0.99倍(前月と同水準)

    有効求人倍率は横ばいで推移しており、正社員の求人倍率は引き続き1.0倍を下回っています。統計上は需給緩和が示唆される一方、実務現場では「職種・地域によって採用難易度に大きな差が生じている」のが実態であり、全体数値のみで市場感を判断するのは避けるべき局面と言えます。

  2. 雇用者数は正規・非正規ともに増加、失業率も改善
    • 完全失業率(季節調整値):2.5%(前月比 ▲0.2ポイント低下)
    • 正規の職員・従業員:前年同月比 +26万人増加
    • 非正規の職員・従業員:前年同月比 +46万人増加(2か月ぶり増加)

    失業率が改善し、雇用者数全体が増加基調を維持しました。減少が続いていた非正規雇用がプラスに転じたことは、新年度を迎え、サービス業等での人員補充が一定程度進んだことを示唆しています。

  3. 職種別の採用動向における二極化:IT技術者増 vs 事務・輸送減
    • 専門(IT技術者):正社員で前年同月比 +70.8%の大幅増
    • 事務職(正社員):前年同月比 ▲48.1%の大幅減

    IT技術者求人は前年比で大幅増となっており、DX・AI関連投資を背景とした需要継続がうかがえます。一方、事務職や輸送・機械運転職の求人は大幅な減少となっており、採用手法の見直しや業務効率化の進展など、複数要因が影響している可能性があります。

【マクロ分析】公的統計データから見る労働市場の全体像

この章では、厚生労働省と総務省のデータに基づき、日本全体の労働市場における需給構造を分析します。

【全体】有効求人倍率・完全失業率の推移

2026年4月のマクロ指標は、需給の緩和が続く中でも、新年度特有の動きが見られます。

項目 2026年4月
(季節調整値)
前月比(ポイント) 前年同月差(ポイント)
有効求人倍率(全体) 1.18倍 0.00 ▲0.08
正社員有効求人倍率 0.99倍 0.00 ▲0.06
新規求人倍率 2.11倍 ▲0.04 ▲0.13
完全失業率(全体) 2.5% ▲0.2 0.0

完全失業率は2.5%に低下しましたが、完全失業者数(原数値)は193万人と、9か月連続で前年同月を上回っています(+5万人)。求職理由の内訳を見ると、「勤め先や事業の都合による離職」が▲3万人減少した一方で、「自発的な離職(自己都合)」が+5万人、「新たに求職」が+1万人と増加しています。これは企業の倒産や業績悪化による解雇が落ち着き、賃上げやより良い労働環境を求めて自発的に労働市場へ参入する層が増加している可能性が考えられます。

【雇用形態別】非正規雇用の持ち直しと企業の雇用維持

就業者数の内訳からは、企業の雇用に対するスタンスの変化が読み取れます。

  • 正規の職員・従業員:3,735万人(前年同月比 +26万人増加、30か月連続のプラス)
  • 非正規の職員・従業員:2,147万人(前年同月比 +46万人増加、2か月ぶりにプラスへ転換)

これまで企業のコスト調整弁として減少傾向にあった非正規雇用が増加に転じました。新年度に伴う人員の入れ替えや、宿泊業・飲食サービス業(+35万人増)などの需要回復期において、企業がまずは有期雇用やパートタイムでの戦力確保に動いていると推察されます。

【産業別】新規求人(ハローワーク)の動向

ハローワークにおける産業別の新規求人(原数値)は、全体で前年同月比▲3.6%減となりました。

産業分類 新規求人数(人) 対前年同月増減率(%)
教育,学習支援業 13,105 +1.5%
製造業 77,426 +1.2%
建設業 73,691 ▲1.5%
情報通信業 22,050 ▲7.3%
宿泊業,飲食サービス業 61,790 ▲9.1%
卸売業,小売業 89,359 ▲11.0%
医療,福祉 217,078 ▲0.2%

多くの産業で前年割れとなる中、製造業(+1.2%)や教育・学習支援業(+1.5%)で増加が見られます。一方、情報通信業(▲7.3%減)のマイナスが目立ちます。これは、後述するミクロデータ(求人広告)でのIT技術者の爆発的な求人増とは対照的であり、「ハローワーク(無料媒体)では高度なIT人材を採用できない」と判断した企業が、有料媒体へシフトしている可能性を示唆しています。

【ミクロ分析】求人広告掲載件数から見る企業の採用活動の実態

この章では、企業の採用計画をよりダイレクトに反映する民間求人媒体のデータから、現場のリアルな投資姿勢を読み解きます。

2026年4月の求人広告掲載件数(全体)は2,424,363件でした。前月比では+2.7%と伸長しましたが、前年同月比では▲7.2%の減少となっています。ただし、前月と比較するとマイナス幅は縮小(3月の前年同月比:▲14.2%)しており、極端な募集抑制からは脱しつつある可能性も垣間見えます。

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出典:公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2026年4月分)」

雇用形態別の求人広告動向:マクロ統計との興味深い乖離

雇用形態 件数 前月比 前年同月比
正社員 1,511,536件 +4.8% ▲3.8%
アルバイト・パート (AP) 782,068件 ▲0.6% ▲15.9%

※注)件数は全国求人情報協会の集計による。

ここで注目すべきは、マクロの公的統計では非正規雇用者が「+46万人増加」しているにもかかわらず、アルバイト・パート向けの求人広告件数は「前年比▲15.9%減」となっている点です。これは、企業が「広告費をかけない採用チャネル(ハローワークやリファラル・自社サイト等)」へシフトを進めている、もしくは賃上げ等により既存スタッフの定着率が向上し、新規補充の必要性が低下している可能性が考えられます。

【職種別】採用ニーズの「破壊的二極化」が鮮明に

職種別の増減率は、企業がいかに「事業成長に直結する人材」へ投資を集中させているかを明確に示しています。

【正社員:前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 専門(IT技術者) +70.8%(508,435件)
2. 専門(金融・法務専門職) +30.1%(2,639件)
3. 建設・採掘 +25.1%(114,519件)

【正社員:前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 事務 ▲48.1%(159,776件)
2. 輸送・機械運転 ▲42.8%(109,394件)
3. 専門(技術者・研究者) ▲29.3%(74,041件)

【分析と考察】

  • IT人材への投資継続:IT技術者の正社員求人が前年比で7割増(+70.8%)となっています。集計要因や媒体特性の影響も考慮する必要がありますが、あらゆる産業でDX推進が求められる中、企業がIT人材獲得へ一定の投資を継続していることがうかがえます。
  • 事務・輸送職の減少:対照的に、事務職の求人は前年比で約半減(▲48.1%)しています。AIの普及や業務効率化、BPOの活用などにより、企業がバックオフィス部門の新規採用を凍結している実態が定着しました。また、2024年問題への対応が一巡しつつある輸送・機械運転職も大幅な減少(▲42.8%)を見せており、労働環境の見直しや省人化投資へ舵を切っていると推察されます。

地域別の求人動向:中四国が健闘、関東などはマイナス

地域ブロック別の求人広告件数を見ると、地方によって明暗が分かれています。

地域ブロック 前月比 前年同月比
北海道・東北 +2.7% ▲3.8%
関東・甲信越 +2.2% ▲9.3%
中部・北陸 +3.3% ▲4.3%
近畿 +5.4% ▲13.7%
中四国 +2.5% +6.9%
九州・沖縄 +3.0% ▲5.3%

中四国(+6.9%)が全国で唯一、前年同月比でプラスを記録しました。一方、近畿(▲13.7%)や関東・甲信越(▲9.3%)といった都市圏を抱えるエリアでの減少幅が大きく、採用コストの最適化や厳選採用の波は依然として大都市圏を中心に強く影響しています。