採用事情

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公開日2024.10.21更新日2025.11.26

採用活動におけるKPI設定について|手順やポイントを徹底解説

採用活動におけるKPI設定について|手順やポイントを徹底解説

採用活動の効果を最大化するために、KPIの設定は欠かせません。
KPIとは、「Key Performance Indicator=重要業績評価指標」の略で、最終目標(ゴール)までのプロセス・達成度合いを測るために設定する数値のことを指します。営業やマーケティングの分野で多く取り入れられていますが、人材獲得競争が激しくなっている近年では、採用活動においてもKPIを設定・活用する企業が増えてきています

そこで今回は、人材採用におけるKPIの設定の手順やポイント、注意点を解説していきたいと思います。効果的なKPIの設定方法とポイントを理解することで、採用活動の効率化と精度の向上につながります。

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採用活動におけるKPIとは?

先述したとおりKPIとは、最終目標までのプロセス・達成度合いを評価・測定するための重要な指標です。そして、採用活動におけるKPIは、企業が設定する目標に対してその進捗状況を可視化し、効果を評価するツールとなります。

それを踏まえ、まず以下について解説してまいります。

  • KPIとKGIの違い
  • 採用プロセスにおけるKPIの役割
  • 採用KPIとして設定する項目

それでは、詳しく見ていきましょう。

KPIとKGIの違い

まず、KPIと間違えられやすい指標としてKGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標)というものがあります。
言葉としても意味としても混同しやすいので、ここで一度整理しておきます。

KGI

最終目標(ゴール)を指します。
設定した目標が最終的に達成されたかどうかを示す指標です。
例えば、「いつまでに何人を採用する」という目標が達成されたかどうかを示すのがKGIということになります。

KPI

KGI(最終目標・ゴール)を達成するための過程を評価する指標を指します。
採用活動の各過程・プロセスにおける成果やパフォーマンスを数値化し、それ(=KPI)を見ながら戦略の改善や修正を行い、最終目標(=KGI)に向かっていくイメージです。
採用活動を例にすると、「応募数に対して書類選考通過数が少ないので、もう少しターゲットを明確にした募集を出してみよう」といった具合です。

採用プロセスにおけるKPIの役割

採用プロセスにおけるKPIは、進捗と成果を測定し、採用活動を効率化するために重要です。例えば、応募者数や面接通過率などのKPIを追踪することで、どの段階で問題が生じているかを特定しやすくなります。

適切なKPI設定は、採用プロセスの透明性と改善点の明確化に役立ちます。KPIを用いて進捗管理を行うことで、採用活動の現状をリアルタイムで把握し、必要な修正や改善を迅速に行うことが可能になり、最終的な目標達成に大きく貢献してくれます。

採用KPIとして設定する項目

採用KPIとして設定する項目は、目標達成に向けた進捗を測定するために欠かせません。

各企業の状況や採用課題にもよりますが、採用KPIとして設定する項目としては、以下のようなものが一般的です。

  • 応募者数
  • 書類選考通過数/率
  • 面接通過数/率
  • 内定数/率
  • 内定承諾数/率(内定辞退数/率)
  • 採用手法・採用メディアごとの費用対効果
  • 採用単価・コスト
  • 入社後の評価
  • 採用後の定着率(離職率)

これらの数値を設定し、定期的にモニタリングすることで、採用活動の現状を正確に把握することができます。また、内定がゴールではなく、入社した人材が定着・活躍してこそ採用成功という観点で、入社後の評価や定着率も設定することがポイントです。

適切なKPI項目を選定し進捗を可視化することで、目標達成までの道筋が明確になり、戦略的・効率的な採用活動が行えるでしょう。

採用KPIを設定する3つのメリット

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採用活動においてKPIの設定は、効果的な人材採用を実現するために欠かせない手法です。採用KPIを設定することは、以下のようなメリットを生みます。

  • 進捗状況を可視化し共有できる
  • 客観的な判断で活動精度が向上する
  • 各担当者の役割と行動を明確化できる

それでは、一つずつ詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

進捗状況を可視化し共有できる

KPIを設定することで、目標に対する現状が数値として明確になります。
これによりどの段階でどのような成果が上がっているか、あるいは課題が発生しているかが一目でわかるようになります。
状況を可視化することによって、チーム全体で情報を共有しやすくなり、担当者同士の連携が強化され、迅速な意思決定が可能になります。また、各メンバーが自身の役割やタスクを明確に把握できるため、全員が同じ目標に向かって効率的に動けるようになり、採用活動全体の質が向上します。

客観的な判断で活動精度が向上する

KPIの設定は、客観的な分析・判断を可能にし、採用活動の精度が向上します。
数値を見ることで、どこが課題なのか、どのプロセスが効果的だったのかなど、経験や直感に頼らずに客観的なデータに基づいた判断がが可能となります。
効果的なプロセスを参考にしながら、課題はこまめに素早く改善することで、活動精度も向上していくはずです。

各担当者の役割と行動を明確化できる

採用活動は、社内はもちろん、社外の協力業者・関係者も関わり、それぞれがそれぞれの役割を果たします。
ただし、プロセスとその担当者が増えれば、その分、状況の把握や管理も煩雑になってきます。
KPIの設定は、各担当者の役割・責任を明確化し、KPI達成に向けて各々がどう行動すればいいか、自主的な判断の助けにもなります。
さらには、各プロセスの数値化は、各担当者を正当に評価する材料にもなり得るでしょう。

主要KPIの計算式と目安(ベンチマーク)

KPIを設定する際は、単に数値を決めるだけでなく、その数値がどのように算出されるのか(計算式)と、世間一般と比較して適正なのか(市場平均)を理解しておくことが重要です。ここではよく使われる指標の計算方法と、判断の目安について解説します。

採用単価(費用対効果)の計算方法

採用活動にかかった費用対効果を測る最も代表的な指標が「採用単価(CPA:Cost Per Acquisition)」です。1名の採用にいくらかかったかを示すもので、以下の計算式で算出します。

採用単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

ここで注意したいのは「採用コスト総額」の定義です。
求人広告費や人材紹介手数料といった「外部コスト」だけでなく、採用担当者の人件費や面接官の工数、リファラル採用のインセンティブといった「内部コスト」も含めて計算することで、より正確な費用対効果が見えてきます。

【採用単価の目安】

一般的な中途採用の相場としては、年収の30〜40%程度(人材紹介利用時)や、求人媒体利用時で数十万円〜100万円程度と言われています。新卒採用では50〜60万円程度が平均的とされることが多いですが、業種や職種によって大きく異なります。自社の過去実績と比較し、高騰している場合は採用チャネルの見直しが必要です。

選考辞退率・内定辞退率の出し方

採用プロセスにおいて、応募者が選考を降りてしまう「辞退」は、歩留まりを悪化させる大きな要因です。どのフェーズで辞退が発生しているかを特定するために、以下の式で辞退率を算出します。

辞退率(%) = 辞退者数 ÷ フェーズ通過者数 × 100

例えば、書類選考通過者が10名で、そのうち面接に進まず辞退した人が2名であれば、選考辞退率は20%となります。
特に重要なのが「内定辞退率」です。近年の売り手市場においては、求職者が複数社の内定を持つことが一般的であり、内定辞退率は上昇傾向にあります。
新卒採用では6割を超えるケースも珍しくありませんが、中途採用においても辞退率が高い場合は、「他社より条件が劣っていないか」「面接での動機づけは十分だったか」といった内的な要因を検証する必要があります。

【市場平均との乖離をどう見るか】

設定したKPIが妥当かどうかを判断するためには、自社の数値だけを見るのではなく、外部環境(労働市場)と比較することが不可欠です。
例えば、「応募数」が目標に届かない場合、単に広告の質が悪いのではなく、その職種の有効求人倍率が極端に上昇している(競合が多い)可能性があります。自社のKPI実績と、市場平均のデータに大きな乖離がある場合は、以下の視点で分析を行いましょう。

  • 条件面の乖離: 提示している給与や待遇が、競合他社の相場より低くないか
  • スピードの乖離: 選考リードタイム(応募から内定までの日数)が市場平均より遅くないか
  • 認知の乖離: ターゲット層からの認知度が競合に比べて不足していないか

市場データとの比較を行わずに、社内の過去比だけで判断していると、採用難易度の変化に気づけません。客観的なデータに基づいて乖離の原因を特定し、素早くプロセスを改善していくサイクルこそが、KPI運用の本質です。

【4ステップ】採用KPI設定の手順

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採用活動におけるKPIを設定する際は、以下の4ステップで行うといいでしょう。

  1. KGIの設定
  2. 採用・選考フローの明確化
  3. 歩留まり率の設定
  4. KPIの設定

各ステップを順に実行し、採用活動の精度と効率を向上させましょう。

STEP1/KGIの設定

まずは、採用活動の最終目標・ゴールであるKGIを設定します。
明確な目標がなければ、その達成に向けた具体的な計画や戦略を立てることが難しくなります。各企業の状況により多少異なる部分はありますが、主な例として以下の点を決めておくといいでしょう。

  • 期間/いつまでに
  • 人数/何人採用するのか
  • 人材の質/どんな人(経験・スキル・人柄など)を採用するのか
  • 予算/上記の達成にいくらまでかけられるのか

KGIを明確に設定することで、採用活動全体の指針が定まります。次のステップ以降で具体的な施策を検討するにあたって絶対に欠かせない重要なステップとなります。

STEP2/採用・選考フローの明確化

次に、上記KGIを採用手法・チャネルごとに分けて設定し、採用・選考フローも明確にしていきます。
主な例としては以下のとおり。

採用手法・チャネル 期間 人数 予算 採用フロー
求人広告サイト 3ヶ月以内 5名 200万円 ▼応募
▼書類選考
▼面接(2回)
▼内定
人材紹介 5か月以内 2名 150万円 ▼紹介
▼書類選考
▼面接(2回)
▼内定
合同説明会 2ヶ月以内 3名 50万円 ▼説明会
▼書類選考
兼一次面接
▼二次面接
▼内定
自社HP 1年以内 1名 0円 ▼応募
▼書類選考
▼面接(2回)
▼内定

STEP3/歩留まり率の設定

採用選考の歩留まり率とは、採用プロセスの各段階において、次のステップに進んだ候補者の割合を示す指標です。たとえば、書類選考から面接に進んだ応募者や、最終面接から内定に至った人数の割合を計測します。
選考通過数÷選考対象者×100で算出できます。

(歩留まり率の例)
▼応募20人
 |― 書類選考通過率50%
▼面接10人
 |― 面接通過率30%
▼内定3名
 |― 内定承諾率67%
▼内定承諾2名

こちらも各採用手法・チャネルごとに、歩留まり率の目標を設定します。
採用条件等は企業ごとに違ってくるものですので、基本的には前年の実績を参考に設定するといいかと思いますが、実績がない場合はコンサルティング会社や人材サービス会社に相談してもいいでしょう。

(歩留まり率目標の設定例)
求人広告サイト
▼書類選考通過率:50%
▼一次面接通過率:50%
▼内定率:60%
▼内定承諾率:50%

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STEP4/KPIの設定

最後に、KPIの設定です。
STEP2の採用フローと採用目標人数に、STEP3で設定した歩留まり率目標を当てはめながら、各選考フローの目標人数をKPIとして設定していきます。

(求人広告サイトから5名採用する場合のKPI設定例)
内定承諾数(採用数):5名
 |― 内定承諾率/目標50%
内定者数:10名
 |― 内定率/目標60%
一次面接通過者(二次面接受験者):17名
 |― 一次面接通過率/目標50%
書類選考通過者(一次面接受験者):34名
 |― 書類選考通過率/目標50%
応募者数:68名

各採用手法・チャネルでも同様に、上記のように、KPIを設定していきます。
その数字と照らし合わせながら、日々採用活動を進めていくことで、進捗や現状、課題なども把握しやすくなるはずです。

KPI数値を検証し、計画を見直す方法

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KPIは設定して終わりではありません。実際の採用活動が始まったら、検証と見直すプロセス(PDCA)を回してこそ意味を成します。
ここでは、数値を味方につけて採用成功に導くための具体的な運用アクションを解説します。

リアルタイムで進捗を確認し「検証」する

状況が変化すれば、見るべき数値も変化します。特にスピード感が求められる採用活動においては、1ヶ月ごとの振り返りでは遅すぎるケースも多々あります。

例えば、求人サイトの閲覧数(PV)や応募数は日々変動します。これらのデータを週次や日次でリアルタイムにモニターし、検証することが重要です。「応募数が急激に減少している」という予兆を早期に発見できれば、すぐに求人原稿のキャッチコピーを修正したり、スカウトメールの文面を変えたりといった対策を打つことができます。
最新のデータに基づいた検証サイクルこそが、最適な成果を生み出す鍵となります。

目標との「乖離」原因を特定し、改善する

設定したKPI(目標値)と現状の数値(実績値)に大きな乖離がある場合、プロセスのどこかに課題が潜んでいます。
「なぜ数値が届かないのか?」という要因を特定し、以下のように素早く具体的な改善アクションへ落とし込みましょう。

面接通過率が悪い場合
  • 【要因仮説】応募者の質とターゲット層がズレている、または面接官ごとの評価基準がブレている。
  • 【改善策】募集要項(必須スキル)の記載を見直す、面接評価シートを作成して基準を統一する。
内定承諾率が悪い場合
  • 【要因仮説】自社の魅力付けが不足している、他社の条件に見劣りしている。
  • 【改善策】オファー面談を実施して意向上げを行う、提示年収や条件を再考する。

トライアンドエラーで構いませんので、数値を根拠にPDCAを回し続けることが大切です。

状況に応じて柔軟に目標数値を「見直す」

KPIは絶対的なものではありません。活動を進める中で、「市場の採用難易度が想定以上に上がった」「競合他社が採用条件を引き上げた」といった外部環境の変化があれば、当初の計画に無理が生じることがあります。

現実離れした達成不可能な目標を追い続けると、現場のモチベーション低下や、採用基準の安易な引き下げ(質の低下)を招きかねません。
「根拠のある数値」であることは大前提ですが、状況に応じてKGI・KPIともに柔軟に数値を見直す勇気を持つことも、採用プロジェクトを成功させるための重要な運用スキルです。

【まとめ】採用KPIを活用し採用活動の成果を最大化

採用活動におけるKPI設定の手順、そしてその重要性はご理解いただけましたか?
採用KPIは、採用活動の進捗状況を可視化し、各担当者の役割を明確にするために役立ちます。また、進捗状況を基にした客観的な判断により、採用活動の精度を向上させることができます。

属人的で肌感覚のみに頼った採用活動は、客観性に乏しく、様々な偏り・歪みが生じてしまいます。数値で状況を正確に把握し、課題発生時に的確に対処するためにも、ぜひ採用KPIを設定してみてはいかがでしょうか。KPIの導入と運用を通じて得られるデータを活用し、長期的な採用戦略を構築していくことを目指しましょう。

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