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2024.12.16最終更新日2024.12.18

新卒3年離職率の現状と対策とは?|定着率アップに向けた取り組みもご紹介

新卒3年離職率の現状と対策とは?|定着率アップに向けた取り組みもご紹介

「新しい人材を採用しても短期間で離職してしまい、なかなか定着してくれない。」

近年、多くの企業が抱える課題の一つであり、その対策に苦慮している人事・採用担当者も多いことでしょう。
日本の労働市場では新卒社員の約30%が入社後3年以内に離職しているという統計データが示す通り、新卒入社からの早期離職は顕著で、放っておくと企業にとって大きなリスクとなり得ます。

今回は、新卒入社から3年以内の離職率に焦点を当て、その現状と対策について解説していきます。新卒社員の定着率を向上させ、持続的な組織の成長に役立てていただければ幸いです。

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新卒入社3年以内の離職率の基礎理解

新卒者の3年以内の離職率を理解することは、企業の人事戦略において極めて重要です。新卒者の早期離職は、企業にとってコストの増加や組織の安定性の低下など、さまざまな影響を及ぼします。

まずは「離職率」とは何か、そして新卒入社3年以内の離職率について、下記の内容を具体的なデータも交えて解説してまいります。

  • 離職率の定義と計算方法
  • 離職率の現状と統計データ

では、詳しく見ていきましょう。

離職率の定義と計算方法

まず、「離職率」とは、一定期間に会社・組織を退職・離職した従業員の割合のこと。
計算式としては、【起算日から一定期間の離職者数÷起算日時点の従業員数×100】で求めることができます。

尚、「起算日」「一定期間」「従業員数の対象範囲」には固定された定義がないため、求めたいデータによって、設定を変える必要が生じます。

上記を踏まえて、2021年4月1日の新卒入社者の3年以内の離職率を求める場合は…

  • 起算日:2024年4月1日
  • 一定期間:入社日からの3年間(2021年4月1日(入社日)~2024年4月1日)
  • 従業員数の対象範囲:2021年4月1日の新卒入社者

計算式としては、【2021年4月1日新卒入社者のうち2024年4月1日までに離職した者の数÷2021年新卒入社者数×100】となります。

離職率の現状と統計データ

新卒入社からの早期離職率は、高卒・大卒ともに例年「1年で1割」「3年で3割」程度で同水準をキープしています。
例年同程度ではあるものの、3年3割の離職率は非常にリスクのある数値であると言え、早急に手を打つ必要があります。

業界や企業規模ごとの離職率の違いを理解することも重要です。
離職率は業界や企業規模によって大きく異なるため、自社の状況に応じた対策が必要になります。

産業・業界別新卒3年以内離職率(令和2年3月卒・令和3年3月卒)

新卒入社3年以内の離職率における上位5産業は、大卒・高卒ともに「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」「小売業」「医療、福祉」となっており、それぞれの離職率も40%~60%程度と非常に高めです。

また、この上位5産業は概ね例年同じ顔触れで、大きな変化しないのも特徴です。
つまり、特定の産業・業界では、新卒入社者の約半数が3年以内に辞めていくことが、慢性化してしまっているということです。

企業規模別新卒3年以内離職率(令和2年3月卒・令和3年3月卒)

企業の規模により提供できる福利厚生やキャリアパスの種類、職場環境が異なる点が、従業員の満足度や定着率に影響を与えると考えられます。

データからは企業規模が小さくなればなるほど、新卒入社3年以内の離職率が高くなることが読み取れます。
つまり、日本の大部分を占める中小企業ほど、従業員の早期離職に悩んでおり、早急な対策が課題となっている、ということです。

新卒入社3年以内の離職率の高さが企業に与える影響

新卒入社者の早期離職が多いと、企業にとって以下のような悪影響が予想されます。

  • 採用コストの増加
  • 組織の生産性低下
  • 企業イメージの悪化

新卒離職率の高さがどのように企業に影響を及ぼすのか、具体的に解説していきますので、早期に手を打つためにも、参考にしてください。

採用コストの増加

新卒入社からの3年程度は新人への教育・投資期間と位置づけ、3年後以降に戦力となった際に投資した分を回収するというのが、多くの企業が考える新卒採用・教育プランです。
つまり、3年以内での早期離職は、教育への投資を回収できず、企業として無駄なコストになることを意味します。

さらに、離職者が出れば、空いた穴を補充する必要もあります。
その際の人材採用にも、求人広告掲載費、採用活動費、教育費など、新たなコストが発生します。

組織の生産性低下

早期離職により人材が不足すれば、在籍中の従業員一人ひとりへの負担が増加します。
加えて、教育により業務知識・ノウハウを身に付けた人材の離職は、企業として大きな損失になります。

例えば、新卒社員が研修を終えてすぐに離職した場合、その研修にかけた数ヶ月の時間や費用が無駄になります。また、担当業務が他の社員に振り分けられ、彼らの業務量が増し、結果として生産性が低下します。

このような状況が続くと、事業計画の達成が困難になり、組織の停滞や衰退につながる可能性があります。加えて、早期離職が頻発すると職場の士気が低下し、残った社員が組織への信頼感やエンゲージメントを失う懸念もあります。これが長期化すれば、企業の競争力にも深刻な悪影響を及ぼすでしょう。

企業イメージの悪化

早期離職率が高いと、「仕事がきつい」「環境が悪い」「ブラック企業」など、悪評の原因となり、企業イメージの悪化を招きます。
例えば、SNSや口コミサイトで「この企業はすぐに辞める人が多い」といった情報が広まると、採用活動や企業ブランドに悪影響を及ぼすことがあります。こうした口コミは求職者や新卒者の間で広まり、企業選びの際に避けられる要因となりかねません。

そうなると、更なる採用難となり、優秀な人材の確保も困難…といった悪循環に陥ることには想像に難くありません。

新卒入社者の早期離職の理由

新卒社員が会社を早期に離職する原因は多岐に渡ります。
企業側がこれらを理解することは、定着率向上に繋がる重要なステップとなります。
代表的な例として以下の5点が挙げられます。

  • 入社前後のギャップ
  • 仕事のミスマッチ
  • 給与や待遇に対する不満
  • 人間関係
  • 職場環境や社風の問題
  • キャリアパスや価値観の変化

これらを把握することで、企業がどのような対策を講じるべきか明確にすることができるでしょう。

入社前後のギャップ

新卒者の早期離職の大きな要因となるのが入社前後のギャップです。
新卒社員の大多数は、インターンシップ、書類選考、面接、内定、懇親会など、ステップを踏んで入社をしてきます。
ただし、その各段階のほとんどが、企業側が発信する情報や雰囲気を見て・聞いて・受け取って、選択・判断することがメインとなります。

従って、選考段階・入社前に企業側が綺麗で耳心地の良いことばかり伝えていると、実際に働き出した際に、理想と現実のギャップが生じやすくなります。
そして、そのギャップが大きいほど、新入社員はそれまでの選択に自信を持てなくなり、早期離職へと繋がるのです。

仕事のミスマッチ

内閣府の調査によると、離職者の約半数が「仕事が自分に合わない」ことを理由に、離職・退職をしています。
特に業務経験の乏しい新卒社員は、「期待していた・想像していた仕事と違う」「うまくいかない」など、ミスマッチを感じやすい状況にあります。
加えて、入社から日が浅く会社への愛着もまだあまりないことから、早い段階で離職の決断に至る、というケースも珍しくありません。

給与や待遇に対する不満

給与額が自分の仕事に対する評価であると同時に、生活する上での大切な糧でもある、と考える人は少なくありません。
特に、社会人になったばかりの新卒社員の中には、業務内容・業務量・責任・プレッシャーなどが、給与額に見合ってないと感じる人も多いようです。
さらに、他社と比べて給与・待遇が良くない、昇給が遅いなど、現在だけでなく将来にも不安・不満を感じ、新たな職場を求めるということも少なくありません。

人間関係

厚生労働省の調査では、入社1年未満での離職における最多の理由は「人間関係」だと発表されています。
学生時代は、年代も近く、自分にとって付き合いやすい人を中心に関係を築いてきた新社会人が、入社後の人間関係に悩むというのは珍しい話ではありません。
世代の違う上司・先輩とうまくコミュニケーションが取れない、仕事上で関わる同僚とうまが合わない、といった理由で早期離職を決断する新卒社員も非常に多く存在します。

職場環境や社風の問題

会社の価値観・文化・経営方針・コミュニケーションの取り方・社員同士の空気感など、社風は企業ごとに異なります。
特に、新卒入社で初めての職場となれば、それらに敏感になる人も少なくないはずです。
社風や職場環境に違和感を感じたり、納得できないことで、ストレスや孤立感が生まれ、離職・退職に至るということも充分にあり得えます。

キャリアパスや価値観の変化

新卒社員の早期離職の背景には、キャリアパスや価値観の変化が大きく影響しています。
若い世代は、自身のキャリアや価値観が急速に進化する時期にあり、入社時に描いていた方向性や目標が短期間で変わることが少なくありません。特に、将来に対する希望やチャレンジ精神が強い世代ほど、その傾向が顕著です。

例えば、入社後に新たなスキルや知識を身につけた結果、別の業界や職種に興味を持つことがあります。また、働く中でワークライフバランスの重要性に気づき、それを優先するために転職を決意するケースも見られます。

さらに、結婚や子育てといったライフステージの変化に伴い、仕事に対する価値観が変わり、それが離職の選択につながることもあります。

新卒入社者の早期離職を防ぎ、定着率を上げる取り組み

では、早期離職を防ぐには何をどうすればいいのでしょうか。
入社前・入社後に分けて、以下のような対策が考えられます。

  • 【入社前】採用時のミスマッチ防止
  • 【入社前】インターンシップや職場見学の実施
  • 【入社前】選考過程での双方向コミュニケーション
  • 【入社後】オンボーディングプログラムの充実
  • 【入社後】定期的なフォロー面談
  • 【入社後】キャリアビジョンの共有と支援
  • 【入社後】働きやすい職場環境づくり

具体的な施策を紹介しながら、効果的な対策について考察します。

【入社前】採用時のミスマッチ防止

先述したように、「想像と違う、聞いていた話と違う」といった入社前後のギャップ、期待値のズレが、早期離職の大きな要因となります。
従って、説明会や面接などの選考過程では、業務内容や企業文化は必要以上に飾ったり隠したりすることなく、仕事内容や職場環境のリアルな情報をしっかりと伝えることが不可欠です。学生や求職者に対してポジティブな側面だけでなく、難しさや挑戦しなければならない点についてもオープンに説明することが重要です。

中には、厳しそう、自分には合わなそう、といった理由で選考を辞退する候補者も出てくるかもしれませんが、入社後のミスマッチはぐんと減り、定着率は向上するはずです。
そして何より、デメリットも包み隠さず教えてくれる企業は、就活生にとっても好印象です。

【入社前】インターンシップや職場見学の実施

インターンシップや職場見学を実施し、入社前に職場を見てもらい、実際の雰囲気を知ってもらう、というのも入社前と後でのギャップを減らすための一つの手です。
実際の業務を体験したり、普段の業務を見ることで、就活生はよりリアルに会社・仕事について理解してくれるでしょう。
もちろんその際も、できるだけありのままを見せる、というのがポイントです。

【入社前】選考過程での双方向のコミュニケーション

新卒社員の早期離職を防ぐには、選考過程において双方向のコミュニケーションを重視することが重要です。会社側からの一方的な情報発信だけでは、候補者に誤解やミスマッチが生じる可能性があります。
選考時には、候補者の質問や意見にしっかり耳を傾け、価値観や人間性を理解する姿勢を持つことが求められます。

例えば、対話形式の面接を取り入れることで、候補者は企業の文化や業務内容を具体的にイメージできるようになり、自分に合った職場かどうかを判断しやすくなります。また、企業側も候補者の本音や適性を把握できるため、入社後に適切なサポートを提供しやすくなるでしょう。

もし選考の中で相互理解が十分に深まっていないと感じた場合は、内定前に座談会や追加の面談を行うのも効果的です。こうした取り組みにより、入社後のミスマッチを減らし、定着率の向上が期待できます。

【入社後】オンボーディングプログラムの充実

「オンボーディング」とは、新入社員のスムーズな職場適応を目指す一連の育成プロセスのことで、具体的にはオリエンテーション、研修、OJT(職場内訓練)、メンター制度などが含まれます。

こうしたプログラムを整備することで、新入社員が早期に職場に適応し、自信を持って業務に取り組める環境を作ることができます。また、定期的なフィードバックや支援を行うことで、社員の成長を促すと同時に、不安や悩みを早期に解消することが可能になります。

オンボーディングプログラムを考える際には、「業務スキルの向上」と「人間関係の構築」という2つの視点をバランス良く取り入れることが大切です。これにより、新入社員の職場適応を支援し、早期離職を防ぐだけでなく、組織への長期的な定着を促進することが期待できます。

【入社後】定期的なフォロー面談

新入社員は社会人経験や業務知識が乏しく、「誰に何をどこまで聞いて良いのか分からない」という悩みに直面することが少なくありません。この状態が続くと、相談できる相手がいないまま孤立し、結果として早期離職につながる可能性が高くなります。

この課題に対する有効な対策が、定期的なフォロー面談の実施です。面談の頻度は週次や月次など一定のスパンで設定し、「上司による面談」と「人事による面談」の2つの形式に分けて行うと効果的です。

上司による面談
新入社員の業務状況を把握し、困っていることや課題をヒアリングします。具体的な業務のフォローやアドバイスを通じて、業務スキルの向上や不安の解消をサポートします。
人事による面談
所属部署内での人間関係やフォロー体制についての悩み、入社後に感じたギャップなど、業務以外の側面に焦点を当てます。聞き取った内容は必要に応じて上司へフィードバックし、環境改善やサポート体制の強化につなげます。

こうした面談を継続的に行うことで、新入社員が抱える不安を早期に解消し、職場への適応を支援することができます。結果として、定着率の向上と組織全体の活性化が期待できます。

【入社後】キャリアビジョンの共有と支援

入社間もない時期から、キャリアビジョンを共有し、支援していく体制があることは、早期離職の抑止力になり得ます。
どう成長していきたいか、何を目指したいか、どんなキャリアを形成したいか、キャリアシート等を用いながら、新入社員本人が考え、上司・会社がサポートしていきましょう。
目標に対してどんなスキルが必要か、そこに対しての現在地、直近でやるべきこと、などを定期的に理解・整理しながら将来像を描いていけるため、常にモチベーションを高く保つ効果が期待できます。

【入社後】働きやすい環境づくり

社員の長期定着にとって、職場が「働きやすい環境」であることが重要なのは言うまでもありません。
ただ、一口に「働きやすい職場づくり」と言っても、様々な視点が必要になってきます。
以下、代表例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

<コミュニケーションの活性化>
社内のコミュニケーションを活発にすることで、新入社員でも発言しやすく、助けも求めやすくなります。
先輩たちから頻繁に声掛けを行うことで、疎外感をなくし、安心感にも繋がります。
大がかりな準備も必要ないので、まずはここからはじめてみてはいかがでしょうか。

<労働時間管理>
過度な残業は社員のモチベーション低下および離職に直結します。
長時間労働や休日出勤が常態化しているようなら、原因を分析し、場合によっては人員配置等も踏まえた上で、労働環境を見直しましょう。

<評価制度の見直し>
適切な評価は社員のモチベーション向上、長期定着に繋がります。
公平で透明性と納得感のある評価制度と、それに付随する目標設定制度を設け、社員が「正当に評価されていない」という不満を抱かない環境を構築しましょう。

<管理職のマネジメントスキル向上>
上司・管理職のリーダーシップ、コーチング力、コミュニケーション力等の向上が、チーム全体のモチベーションと働きやすさの向上に繋がります。
そしてそれは、新入社員がストレスなく、安心感を持って働けるということでもあります。
新入社員本人に対してだけでなく、管理職・マネジメント層のスキルアップも会社が意識するべき大事なミッションだと言えます。

<相談窓口の設置>
中には、社内の人には相談しにくい困りごとを抱え、そこに大きなストレスを感じる社員もいるはずです。
そのような場合に備え、外部機関による相談窓口を設置するのも一つの手です。
医療機関・社労士事務所・法律事務所等で運営を行っているものもありますので、相談方法やプライバシー保護、コストの面も考慮しながら、可能であれば導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【まとめ】離職率の低下が企業の持続的な成長に

日本では今後さらに人手不足が深刻化すると予想される中、新卒社員の早期離職は企業にとって大きな課題となっています。離職者が出るたびに、その穴埋めや新たな人材を確保することも、今後ますます困難になるでしょう。

そのため、新卒社員の離職をいかに抑え、定着率を上げることは、企業の持続的な成長に欠かせない重要な取り組みとなります。
本記事を参考に、自社の現状に即した改善プランを立ててみてください。具体的なアクションを実行し、定期的に効果を評価・改善することで、新卒社員の定着率向上と企業の発展につなげましょう。

新入社員の早期離職でお困りの方

若手社員の早期退職は、企業にとって大きな経営課題です。90年以上にわたって企業の採用活動を支援してきた当社が、人材定着に向けたサポートをご提案します。

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