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2024.08.21最終更新日2024.08.30

【2024年・令和6年度】最低賃金の引き上げに関する影響、対策について

【2024年・令和6年度】最低賃金の引き上げに関する影響、対策について

厚生労働省の中央最低賃金審議会が先月、最低賃金を全国47都道府県で一律50円引き上げるという目安を示したことを受け、各都道府県の審議会は29日までに引き上げ額をまとめました。
厚生労働省によると、全国平均の引き上げ額は国の目安より1円高い51円で全国平均の時給は1055円となりました。

人材流出への危機感や物価高などを背景に、27の県で国の目安額である50円を上回りました。引き上げ額が最も高かったのは徳島県で目安より34円高い84円、次いで、愛媛県と岩手県が9円高い59円などとなりました。

なお、新たな最低賃金は、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定となります。

2024年の都道府県別の最低賃金速報

東京都と大阪府の2024年の最低賃金については以下の通り発表されています。

東京都

東京地方最低賃金審議会は、中央最低賃金審議会が7月25日に示した目安と同額の50円引き上げ、1163円に改正するのが適当と東京労働局に答申しました。

1,163円(50円引上げ)←1,113円(2023年)

大阪府

大阪地方最低賃金審議会は、中央最低賃金審議会が7月25日に示した目安と同額の50円引き上げ、1114円に改正するのが適当と大阪労働局に答申しました。

1,114円(50円引上げ)←1,064円(2023年)

その他の地域については以下の通り、速報値が発表されています。

都道府県 改定予定額 引上げ額
北海道 改定予定額1,010円 引上げ額50円
青森 改定予定額953円 引上げ額55円
岩手 改定予定額952円 引上げ額59円
宮城 改定予定額973円 引上げ額50円
秋田 改定予定額951円 引上げ額54円
山形 改定予定額955円 引上げ額55円
福島 改定予定額955円 引上げ額55円
茨城 改定予定額1,005円 引上げ額52円
栃木 改定予定額1,004円 引上げ額50円
群馬 改定予定額985円 引上げ額50円
埼玉 改定予定額1,078円 引上げ額50円
千葉 改定予定額1,076円 引上げ額50円
東京 改定予定額1,163円 引上げ額50円
神奈川 改定予定額1,162円 引上げ額50円
新潟 改定予定額985円 引上げ額54円
富山 改定予定額998円 引上げ額50円
石川 改定予定額984円 引上げ額51円
福井 改定予定額984円 引上げ額53円
山梨 改定予定額988円 引上げ額50円
長野 改定予定額998円 引上げ額50円
岐阜 改定予定額1,001円 引上げ額51円
静岡 改定予定額1,034円 引上げ額50円
愛知 改定予定額1,077円 引上げ額50円
三重 改定予定額1,023円 引上げ額50円
都道府県 改定予定額 引上げ額
滋賀 改定予定額1,017円 引上げ額50円
京都 改定予定額1,058円 引上げ額50円
大阪 改定予定額1,114円 引上げ額50円
兵庫 改定予定額1,052円 引上げ額51円
奈良 改定予定額986円 引上げ額50円
和歌山 改定予定額980円 引上げ額51円
鳥取 改定予定額957円 引上げ額57円
島根 改定予定額962円 引上げ額58円
岡山 改定予定額982円 引上げ額50円
広島 改定予定額1,020円 引上げ額50円
山口 改定予定額979円 引上げ額51円
徳島 改定予定額980円 引上げ額84円
香川 改定予定額970円 引上げ額52円
愛媛 改定予定額956円 引上げ額59円
高知 改定予定額952円 引上げ額55円
福岡 改定予定額992円 引上げ額51円
佐賀 改定予定額956円 引上げ額56円
長崎 改定予定額953円 引上げ額55円
熊本 改定予定額952円 引上げ額54円
大分 改定予定額954円 引上げ額55円
宮崎 改定予定額952円 引上げ額55円
鹿児島 改定予定額953円 引上げ額56円
沖縄 改定予定額952円 引上げ額56円

※2024年8月30日現在

最低賃金とは

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められています。
※地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、セーフティネットとして各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。
一方、特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます(18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。)。

派遣労働者には、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されますので、派遣会社の使用者と派遣される労働者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

最低賃金の決め方は?

最低賃金は、最低賃金審議会(公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成)において、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考にしながら審議を行い決定しています。

地域別最低賃金の決定基準は、(1)労働者の生計費、(2)労働者の賃金、(3)通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定めるものとされており、「労働者の生計費」を考慮するに当たっては、労働者が健康的で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとされています。

最低賃金のチェック方法は?

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

【最低賃金の計算方法】

時間給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
日給の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)
月給の場合
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額 ≧ 最低賃金(時間額)
上記1~4の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の2、 3の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。

最低賃金引き上げによる企業側の影響

最低賃金の引き上げにより、企業の人件費が増加し、利益を確保するために製品やサービスへの価格転嫁(値上げ)が更に加速する可能性があります。
特に、中小企業や人件費の割合が高い業種は、最低賃金の引き上げによる影響を受けやすいと考えられます。

人件費の増加

最低賃金の引き上げにより、従業員に支払う給与が増加します。
特にパートタイムやアルバイトを多く雇用している企業や最低賃金で多くの従業員を雇用している業界(例: 小売業、飲食業、サービス業)では、この影響が顕著です。

例えば時給制の場合、最低賃金額が時間給を上回っていれば問題ありませんが、下回っていれば是正する必要があります。もちろん日給制や月給制の場合でも、最低賃金が適用される賃金を確認し、是正する必要があります。

最低賃金引き上げに伴う「人件費の増加」は、企業の財務状況に直接的かつ大きな影響を与える重要な課題です。

価格転嫁の可能性

最低賃金の引き上げに伴い、企業は増加した人件費を吸収するために、製品やサービスの価格を引き上げる「価格転嫁」を検討する可能性があります。

価格転嫁は企業が利益を確保し、持続的な経営を続けるための手段の一つなので、最低賃金の引き上げにより人件費が増加した場合、その増加分を価格に上乗せすることで収益を維持しようとする動きが見られる可能性があります。

採用の見直し

人件費の増加によりコスト削減や経営の効率化を図るため「採用の見直し」を検討する企業が増える可能性があります。
具体的には以下のような見直しが予想されます。

  • 採用人数の調整
  • 雇用形態の見直し
  • 業務の自動化やデジタル化
  • 採用戦略の再構築

採用人数の調整

既存の従業員を活用し、業務の効率化を図る戦略を取り、新規採用を一時的に抑制する動きがみられる可能性があります。但し、多くの業界で人手不足が叫ばれる今、大胆に新規採用をカットする動きに出る企業は少ないと思われます。

雇用形態の見直し

最近、耳にすることが多くなった「短時間正社員」の活用に拍車がかかる可能性があります。
短時間正社員制度を活用することで、労働時間に応じた柔軟な雇用が可能になります。この制度は、従業員にとっても働きやすい環境を提供しつつ、企業側にとっては人件費を管理しやすくする効果があります。

業務の自動化やデジタル化

人件費の増加を抑えるため、企業は業務の自動化やデジタル化を進める傾向があります。
例えば、製造業では生産ラインの自動化、サービス業ではセルフチェックアウトシステムの導入などが進められています。

採用戦略の再構築

採用コストを抑えつつ、適切な人材を確保するために、リファラル採用や出戻り(アルムナイ)採用を活用する企業が増える可能性があります。また、採用活動のデジタル化(例: オンライン面接、AIを活用した履歴書のスクリーニングなど)を進めることで、コスト削減や迅速な採用を目指す取り組みも増えるでしょう。

最低賃金額の引き上げに際して企業が取り組むこと

業務の効率化・生産性の向上

業務プロセスの効率化や機械化を図ることで、同じ労働時間内でより多くの仕事をこなすことが可能になります。人件費の増加が予想される分、無駄な経費を削減し、生産性向上につながる投資を検討することが重要です。

従業員の労働時間の見直し

従業員の残業が多い企業であれば、労働時間の短縮を目指すのも一つの方法です。
先述の短時間正社員の活用やフレックスタイムの導入など、従業員のワークライフバランスを考慮しながら、企業全体の労働効率の向上を目指しましょう。

改訂を見越し、前もって給与額を上げて募集

賃金改訂を見越して、8~9月の求人募集から給与を上げて募集することも、他社との差別化を図る一つの方法だと言えます。既に雇用されているスタッフとの給与バランスの調整などが必要になる場合もありますが、賃金改定が実施される10月を待たずに前倒しで給与を上げることで、応募者が増える可能性が高まります。

最後に

最低賃金の引き上げだけでなく、少子化による採用難が影響し、他社よりも少しでも高い給与で人材を確保しようという競争が働きアルバイト・パート時給は上昇を続けています。
中にはこの競争にはついていけない…とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

目線を変えてシニア層を活用してみては!

2024年には、50歳以上の人口が全人口の半分を超えると言われています。その中で、セカンドキャリアに積極的な50代・60代や、社会との繋がりを求めて就労を希望するシニア層が貴重な労働力であることは間違いありません。
若年層の獲得競争から少し目線を変え、スキル・経験・ネットワークを持つシニア層の活用や、業務範囲を見直し一定の作業をシニアの労働力に切り替えることも一つの方法だと言えます。

また、シニア世代は現役世代と比較して自由な時間が多く、勤務する時間帯に柔軟に対応できることが特徴のひとつです。勤務時間・勤務シフトの調整、見直しを実施し、早朝・夜勤などを中心にシニア採用を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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