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公開日2025.08.05更新日2025.09.05

【確定版】2025年度最低賃金、全国平均1,121円へ!10月発効までに人事担当者がやるべきこと

【確定版】2025年度最低賃金、全国平均1,121円へ!10月発効までに人事担当者がやるべきこと

8月4日に中央最低賃金審議会から目安が示された後、各都道府県での審議が進み、全国の改定額が出揃いつつあります。人事・採用担当者の皆様にとって毎年重要なこの話題ですが、今年の改定は、例年以上に企業経営や採用戦略に大きな影響を与える可能性を秘めています。

今回の改定では、全都道府県で時給1,000円を突破し、目安を上回る大幅な引き上げを決めた県も相次ぐなど、企業の人事・採用戦略に大きな影響を与える結果となっています。
株式会社リクルートの調査によれば、現在のバイト求人の募集時平均時給の約4割が今回の改定で最低賃金を下回るとされており、多くの企業にとって他人事ではありません。さらに、時給アップに伴い扶養内で働くパート・アルバイトの労働時間が減少し、かえって人手不足が深刻化する「新たな年収の壁」問題への対策も急務となっています。

本記事では、確定した全国の最低賃金の重要ポイントを解説するとともに、目前に迫った10月の発効に向けて、人事担当者が具体的に何をすべきかを改めて整理します。

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【2025年度最低賃金】確定額から見る3つの重要ポイント

中央最低賃金審議会が8月4日に目安を答申した後、各都道府県の地方審議会で審議が進められ、2025年度の全国の改定額が出揃いました。

今回の改定がいかに大きなインパクトを持つか、株式会社リクルートの調査結果が物語っています。調査によると三大都市圏のアルバイト・パート募集時平均時給のうち、実に約4割が新しい最低賃金を下回る「最低賃金割れ」の状態になると試算されています。これは、多くの企業で既存の求人情報の見直しや、採用戦略の再構築が不可避となることを意味します。

この大きな変化を踏まえ、今回の改定における3つの重要ポイントを見ていきましょう。

【ポイント1】史上初!全都道府県で「時給1,000円」超えを達成

今回の改定で最も象徴的なのは、史上初めて全国47都道府県の最低賃金が時給1,000円を超えたことです。これまで1,000円未満だった青森県や秋田県など15県がすべて大台を突破しました。
これにより、地方の採用市場においても「時給4桁」がスタンダードとなり、求職者の意識も大きく変わることが予想されます。これまでの感覚で時給を設定していると応募が集まらないという事態に直結しかねません。

【ポイント2】目安を上回る「独自の上乗せ」が続出

中央審議会が示した目安額は、あくまで参考です。今回の改定では、その目安をさらに上回る「独自の上乗せ」を決めた県が相次ぎました。

特に引き上げが目立ったのは以下の県です。

  • 熊本県:82円(目安64円を18円上乗せ)
  • 大分県:81円(目安64円を17円上乗せ)
  • 秋田県:80円(目安64円を16円上乗せ)
  • 岩手県:79円(目安64円を15円上乗せ)
  • 群馬県:78円(目安63円を15円上乗せ)
  • 青森県:76円(目安64円を12円上乗せ)
  • 鳥取県:73円(目安64円を9円上乗せ)
  • 島根県:71円(目安63円を8円上乗せ)
  • 石川県:70円(目安64円を6円上乗せ)
  • 茨城県・福井県:69円(目安64円を5円上乗せ)

これらの動きの背景には、近隣県との人材獲得競争の激化や物価高騰に対する強い危機感がうかがえます。自社の地域の改定額だけでなく、近隣の競合エリアの動向も注視する必要があるでしょう。

【ポイント3】最高額は東京都の1,226円。都市部と地方の格差は依然として存在

全国で最低賃金が最も高いのは東京都の1,226円、次いで神奈川県の1,225円でした。一方、最も低い水準は高知、宮崎、沖縄県の1,023円です。
全都道府県が1,000円を超えた一方で、最高額と最低額の差は203円と、依然として大きな開きがあります。この価格差により全国展開する企業にとっては地域ごとに異なる人件費の管理がより複雑になり、地方企業にとっては都市部への人材流出というリスクに直面し続けることになります。

【2025年度】都道府県別 最低賃金一覧

貴社の事業所が所在する都道府県の金額をご確認ください。また、採用活動で競合となる近隣の都道府県や支社の所在地の金額もあわせて把握しておくことが、今後の人事戦略を立てる上で重要になります。

都道府県 改定予定額 引上げ額 発効予定年月日
北海道 改定予定額1,075円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年10月4日
青森県 改定予定額1,029円 引上げ額76円 発効予定年月日2025年11月21日
岩手県 改定予定額1,031円 引上げ額79円 発効予定年月日2025年12月1日
宮城県 改定予定額1,038円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年10月4日
秋田県 改定予定額1,031円 引上げ額80円 発効予定年月日2026年3月31日
山形県 改定予定額1,032円 引上げ額77円 発効予定年月日2025年12月23日
福島県 改定予定額1,033円 引上げ額78円 発効予定年月日2026年1月1日
茨城県 改定予定額1,074円 引上げ額69円 発効予定年月日2025年10月12日
栃木県 改定予定額1,068円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月1日
群馬県 改定予定額1,063円 引上げ額78円 発効予定年月日2026年3月1日
埼玉県 改定予定額1,141円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年11月1日
千葉県 改定予定額1,140円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月3日
東京都 改定予定額1,226円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月3日
神奈川県 改定予定額1,225円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月4日
新潟県 改定予定額1,050円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年10月2日
富山県 改定予定額1,062円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月12日
石川県 改定予定額1,054円 引上げ額70円 発効予定年月日2025年10月8日
福井県 改定予定額1,053円 引上げ額69円 発効予定年月日2025年10月8日
山梨県 改定予定額1,052円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年12月1日
長野県 改定予定額1,061円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月3日
岐阜県 改定予定額1,065円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月18日
静岡県 改定予定額1,097円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年11月1日
愛知県 改定予定額1,140円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月18日
三重県 改定予定額1,087円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年11月21日
滋賀県 改定予定額1,080円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月5日
京都府 改定予定額1,122円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年11月21日
大阪府 改定予定額1,177円 引上げ額63円 発効予定年月日2025年10月16日
兵庫県 改定予定額1,116円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月4日
奈良県 改定予定額1,051円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年11月16日
和歌山県 改定予定額1,045円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年11月1日
鳥取県 改定予定額1,030円 引上げ額73円 発効予定年月日2025年10月4日
島根県 改定予定額1,033円 引上げ額71円 発効予定年月日2025年11月17日
岡山県 改定予定額1,047円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年12月1日
広島県 改定予定額1,085円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年11月1日
山口県 改定予定額1,043円 引上げ額64円 発効予定年月日2025年10月16日
徳島県 改定予定額1,046円 引上げ額66円 発効予定年月日2026年1月1日
香川県 改定予定額1,036円 引上げ額66円 発効予定年月日2025年10月18日
愛媛県 改定予定額1,033円 引上げ額77円 発効予定年月日2025年12月1日
高知県 改定予定額1,023円 引上げ額71円 発効予定年月日2025年12月1日
福岡県 改定予定額1,057円 引上げ額65円 発効予定年月日2025年11月16日
佐賀県 改定予定額1,030円 引上げ額74円 発効予定年月日2025年11月21日
長崎県 改定予定額1,031円 引上げ額78円 発効予定年月日2025年12月1日
熊本県 改定予定額1,034円 引上げ額82円 発効予定年月日2026年1月1日
大分県 改定予定額1,035円 引上げ額81円 発効予定年月日2026年1月1日
宮崎県 改定予定額1,023円 引上げ額71円 発効予定年月日2025年11月16日
鹿児島県 改定予定額1,026円 引上げ額73円 発効予定年月日2025年11月1日
沖縄県 改定予定額1,023円 引上げ額71円 発効予定年月日2025年12月1日

※2025年9月5日現在(一部見込額)

最低賃金改定に向けて、企業が取り組むべきこと

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今回の最低賃金改定は、最低賃金に近い水準で働く約700万人の労働者に影響を与えると試算されています。特に中小・零細企業では、従業員の5人に1人以上が影響を受けるとのデータもあり、人事・採用担当者としては早期の対策が不可欠です。

ここでは、企業が「今から取り組むべきこと」を、具体的な3つのステップに分けて解説します。

【STEP1】自社への影響範囲を正確に把握する

まずは、今回の改定が自社の誰に、どの程度影響するのかを正確に把握することから始めましょう。

賃金体系の総点検

対象者のリストアップ
現在の時給が、改定後の最低賃金を下回る可能性のある従業員(特にパート・アルバイト)をリストアップします。
「隠れ最低賃金割れ」の確認
月給制の正社員であっても、所定労働時間で時給換算した際に、最低賃金を下回る「隠れ最低賃金割れ」が発生しないか必ず確認しましょう。

最低賃金が引き上げられた結果、勤続年数の長いパート・アルバアルバイトと、新人スタッフの時給が同じになってしまう、あるいは逆転してしまうといった事態は、既存従業員のモチベーション低下に直結します。こうした不公平感が生じないか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。

【STEP2】賃上げ原資の確保と経営への対策を検討する

最低賃金の改定による人件費の増加は避けられません。それを吸収し、持続的な経営を可能にするための対策を全社的に検討する必要があります。

価格転嫁の推進
中小企業庁の調査では価格転嫁率が52.4%に留まるなど、多くの企業でコスト増を価格に反映できていないのが現状です。人件費上昇分をサービス・製品価格へ適切に反映できるよう、営業・事業部門と連携して検討を始めましょう。
生産性の向上
人件費増を吸収するためには、従業員一人ひとりの生産性向上が不可欠です。単純作業を自動化するツールの導入(DX推進)や、業務フローの抜本的な見直しなど、具体的な施策を検討・実行しましょう。
政府の支援策の活用
政府も、中小企業が賃上げ原資を確保できるよう、様々な支援策を用意しています。改正下請法(一方的なコスト無視の取引価格の禁止)の知識を深めたり、国や自治体が提供する業務改善助成金などの補助金情報を収集したりと、活用できる制度は積極的に利用しましょう。

【STEP3】採用・人材定着戦略を再構築する

最低賃金の改定は、守りの「人材定着」と、攻めの「採用強化」の両面から戦略を見直す絶好の機会です。

【守りの戦略】人材の離職防止を徹底する

STEP1で確認した給与の逆転現象などを解消し、既存従業員の公平性を保つための賃金テーブルの見直しが不可欠です。
また、賃金だけでなく、働きがいのある職場環境やキャリアパスの提示、福利厚生の充実など、従業員が「この会社で働き続けたい」と思える魅力づくりを一層強化しましょう。

【攻めの戦略】他社に先んじて採用競争力を強化する

アクション案:最低賃金改定の「前倒し実施」を検討する

10月の改定適用を待たずに、例えば8月や9月から先行して新しい賃金体系を適用するという一歩先を行く戦略です。

「前倒し実施」のメリット

  • 採用市場での優位性確保: 他社が追随する前に、より高い時給を提示することで求職者に強くアピールでき、優秀な人材を早期に獲得しやすくなります。
  • ポジティブな企業イメージの発信: 「法律で決まったから上げる」のではなく、「従業員の生活を考え、自主的に、早期に対応する企業」という前向きな姿勢は、企業の魅力向上に直結します。

求人情報の魅力を最大化する

前倒し改定を実施した際は、「【先行実施】10月を待たずに新時給〇〇円でスタート!」のように、その先進性を求人情報で強力にアピールしましょう。

「扶養の壁」による人手不足リスクに備える

時給が上がることで、扶養内(年収103万円や130万円など)での勤務を希望するパートタイマーが、上限年収を超えないように労働時間を減らす(シフトを調整する)動きが加速する可能性があります。
これは、企業にとっては現場の労働力が想定外に減少し、事業運営に支障をきたす深刻なリスクです。この「新たな人手不足」に備えるため、以下の対策を検討しましょう。

従業員の意向調査
扶養内で働いている従業員に対し、今後の働き方についてヒアリングを実施し、どの程度の労働時間減少が見込まれるかを把握します。
人員計画の見直しと新規採用
既存従業員のシフト減少分を補うため、新たな労働力を確保する採用計画を早期に立てる必要があります。短時間勤務を希望する層をターゲットにした求人活動も有効です。
扶養を超えて働くメリットの提示
社会保険への加入メリットなどを丁寧に説明し、扶養の枠を超えて意欲的に働きたいと考える従業員をサポートする体制を整えることも重要です。

【実務の戦略】発効時期への準備を確実に行う

正式な発効日が決まり次第、速やかに対応できるよう、給与計算システムの更新、就業規則や雇用契約書の変更手続き、従業員への正式な告知など、具体的な準備スケジュールを今のうちから立てておきましょう。

【まとめ】最終決定を待つのではなく、「今」動くことが未来を拓く

2025年度の最低賃金改定は、物価高に苦しむ労働者の生活支援と、厳しい経営環境にある中小企業の存続という、二つの重要な要請の間で難しい舵取りが求められています。全国平均1,121円という大幅なアップが決まったいま、今回の改定が単なる「時給の更新」ではないことは明らかです。

人事・採用担当者の皆様にとって、この変化は経営と人材戦略を見直す絶好の機会と捉えることができます。
記事でご紹介した3つのステップを、改めてご確認ください。

  1. 影響範囲の正確な把握: 誰に、いくらの影響があるのか。給与の逆転は起きないか。
  2. 賃上げ原資の確保: 価格転嫁や生産性向上など、全社的な経営課題として取り組む。
  3. 採用・人材定着戦略の再構築: 「守り」の離職防止と、「攻め」の採用競争力強化を両輪で進める。

特に、最低賃金改定の「前倒し実施」といった攻めの戦略は、これからの人材獲得競争において大きな武器となり得ます。「法律で決まったから」ではなく、「企業の意志として」賃金を引き上げる姿勢は、求職者にも、そして既存の従業員にもポジティブなメッセージとして強く響くでしょう。

ただし、企業が利益を出せない状況で強引に引き上げれば、事業の継続が困難になる可能性もあります。だからこそ、経営陣や関連部署と連携し、自社にとって持続可能で、かつ従業員が納得できる形での実現を目指すことが、人事担当者に求められる重要な役割です。

今後の審議会の結論を注視しつつも、それを待つだけでは後手に回ってしまいます。自社の未来を見据えた戦略的な準備を、「今すぐ」始めることが、この変化の時代を乗り越え、企業を成長させるための鍵となるはずです。

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