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2025年10月度の採用市場動向を、厚生労働省・総務省の公的統計(マクロデータ)と、求人広告媒体の動向(ミクロデータ)の両面から統合的に分析し、今後の戦略立案に役立つ情報をお届けいたします。
10月の採用市場は、正社員有効求人倍率が0.99倍とついに1.0倍を下回った。企業の求人抑制が広がる一方で、完全失業者数は3か月連続で増加しており、採用戦略の見直しが急務である状況がうかがえます。

【 2025年10月最新版】 各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート
各県ごとの平均時給・有効求人倍率、職種別の有効求人倍率(全国・東京都・愛知県・大阪府・福岡県)をまとめています。
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まずは、今回の分析から見えてきた採用市場の重要なポイントを3つに要約してお伝えします。
この章では、厚生労働省と総務省が発表した公的統計から、日本全体の労働市場が今どのような状況にあるのか、その大きな潮流を掴んでいきましょう。
厚生労働省によると、2025年10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月を0.02ポイント下回り、低下傾向が続いています。一方、完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率でした。
| 項目 | 2025年10月(季節調整値) | 前月比(ポイント) | 前年同月差(ポイント) |
|---|---|---|---|
| 有効求人倍率(全体) | 1.18倍 | ▲0.02 | ▲0.07 |
| 正社員有効求人倍率 | 0.99倍 | ▲0.01 | ▲0.03 |
| 新規求人倍率 | 2.12倍 | ▲0.02 | ▲0.13 |
| 完全失業率(全体) | 2.6% | 0.0 | +0.1 |
有効求人倍率は依然として1倍を上回っており、求職者100人に対して118件の求人がある状態を示していますが、2025年7月以降、横ばいを挟みつつも低下傾向にあり、労働需給の逼迫が緩んでいることが示唆されます。
特に注目すべきは、正社員有効求人倍率が0.99倍と1.0倍を下回った点です。これは、正社員を希望する求職者1人に対して、求人が1件を下回るという状態を示しており、ハローワークにおいてはパートタイムを除く常用の求職者数が正社員求人数を上回ったことを意味します。

正社員有効求人倍率が1.0倍を割った(0.99倍)ことは、一見すると正社員採用の難易度が大きく緩和したように見えます。しかし、この数値はパートタイムを除く常用の求職者に派遣や契約社員希望者も含まれるため、企業が求める「正規・専門職人材」の採用競争は継続している可能性が考えられます。
一方、有効求人数(季節調整値)は前月比で1.8%減となり、企業の求人抑制姿勢が明らかになっています。後述するミクロデータでは、正社員求人広告が前年同月比で22.9%減と大幅に落ち込んでおり、マクロとミクロの両面から企業の慎重姿勢が裏付けられています。
総務省統計局が発表した労働力調査によると、10月の完全失業者数(原数値)は183万人と、前年同月と比べて13万人の増加となり、3か月連続で前年同月を上回る増加となっています。
この増加の背景として、求職理由別の内訳を見ると、以下の点が注目されます。
興味深いのは、企業側の都合による離職が増加傾向にあることです。これは、企業の業績悪化に伴う非自発的な雇用調整の動きが垣間見え、労働市場における潮目の変化を示す重要なシグナルと言えるでしょう。
雇用者数全体は前年同月比で増加を続けていますが、特に注目すべきは、雇用形態別の内訳です。
企業は、長期的な人材確保のため正規雇用への転換や採用を継続していると見られますが、景気変動への対応として、企業がまず非正規雇用の採用抑制や調整を進めている構造的な動きを裏付けていると推察されます。
これらのマクロデータを総合すると、「有効求人倍率は低下傾向にあり、企業の採用姿勢は明確に慎重化している」という仮説が浮かび上がってきます。
地域別に見ると、労働市場の状況には依然として大きな差が見られますが、ほぼ全ての地域ブロックで前月差マイナスとなっており、全国的な調整の波が確認できます。
| 地域ブロック | 2025年10⽉(季節調整値) | 前⽉差(ポイント) |
|---|---|---|
| 全国計 | 1.18倍 | ▲0.02 |
| 北海道 | 1.02倍 | 0.00 |
| 南関東(埼⽟、千葉、東京、神奈川) | 1.09倍 | ▲0.01 |
| 北陸(新潟、富⼭、⽯川、福井) | 1.51倍 | ▲0.03 |
| 東海(岐⾩、静岡、愛知、三重) | 1.26倍 | ▲0.01 |
| 九州 | 1.13倍 | ▲0.03 |
新規求人(原数値)は全体で前年同月比6.4%減となり、採用活動の慎重化が広範囲に及んでいます。
| 産業分類 | 新規求人数(人) | 対前年同月増減率(%) |
|---|---|---|
| 教育・学習支援業 | 14,751 | +10.5% |
| 建設業 | 74,140 | -3.5% |
| 製造業 | 81,531 | -5.6% |
| 情報通信業 | 23,053 | -6.0% |
| 卸売業・小売業 | 98,752 | -12.8% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 64,316 | -16.1% |
| 医療・福祉 | 229,296 | -4.0% |
マクロな視点で市場の全体像を掴んだところで、次により解像度の高いミクロな視点、つまり企業が実際に出稿している「求人広告」のデータから、採用活動のリアルな実態を探っていきましょう。
2025年10月の求人広告掲載件数(全体)は2,197,339件でした。前月比では+1.9%と微増に転じましたが、前年同月比では-16.0%の大幅な減少が続いており、企業側の採用計画の縮小傾向が継続していることが示唆されます。

この変化を雇用形態別に見ると、より深刻な傾向が浮かび上がります。
| 雇⽤形態 | 件数 | 前⽉⽐ | 前年同⽉⽐ | 占有率(注) |
|---|---|---|---|---|
| 正社員 | 1,254,568件 | +4.1% | -22.9% | 60.3% |
| アルバイト・パート(AP) | 802,490件 | ▲0.8% | -6.5% | 32.6% |
| 契約社員他 | 143,307件 | ▲0.8% | +8.6% | 7.1% |
注)件数全体に占める割合は、全国計2,010,470件を分⺟として算出されたものです。
次に、職種別の動向を見てみましょう。職種別の求人掲載件数を見ると、市場の調整局面における需要の偏りが明確になります。
前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種 TOP3
| 職種 | 前年同⽉⽐ | 分析・考察 |
|---|---|---|
| 専⾨(保育⼠・教員・講師等) | +21.0%増 | 少⼦化の中でも待機児童問題や教育への投資は継続。構造的な⼈⼿不⾜が極めて深刻な領域で、⼤幅増が継続。 |
| 建設・採掘 | +19.3%増 | インフラ維持や災害復旧など、社会に不可⽋な需要が継続。正社員求⼈でも 24.0%増と⼤幅な増加を記録しており、景気調整局⾯でも需要が継続。 |
| 専⾨(医療・福祉専⾨職) | +6.7%増 | 慢性的な⼈⼿不⾜により、採⽤難易度は依然として⾼い⽔準にあると推察。 |
【増加要因の考察】
建設・採掘(+19.3%増)、専門(保育士・教員・講師等)(+21.0%増)、医療・福祉専門職(+6.7%増)といった職種は堅調に推移しており、社会インフラを支えるエッセンシャルワーカーや高度な専門職の採用ニーズは引き続き非常に高い一方で、効率化の影響を受けやすい職種の採用が大きく抑制されているという実態が明確になっています。
前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種 TOP3
| 職種 | 前年同⽉⽐ | 分析・考察 |
|---|---|---|
| 事務 | ▲46.5%減 | 最も減少幅が⼤きい。景気後退期における間接部⾨の採⽤抑制に加え、DXやAI導⼊による業務効率化が、事務分野の採⽤ニーズを構造的に変化させている可能性。正社員求⼈に限れば52.4%減と特に深刻。 |
| 専⾨(技術者・研究者) | ▲27.6%減 | ⼀部の製造業における⽣産調整や、技術系投資の⾒直しなどの影響が考えられる。 |
| 専⾨(IT技術者) | ▲24.0%減 | 前⽉⽐で27.0%増と⼤きく伸⻑したものの、前年同⽉⽐ではマイナス傾向が継続。短期的な採⽤の波があるものの、ハイテク分野でも中⻑期的な採⽤計画は抑制傾向。 |
【減少要因の考察】
事務職の極端な減少(前年同月比▲46.5%減)は、全職種の中で最も深刻な落ち込みとなりました。これは景気後退期における間接部門の採用抑制に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI導入による業務効率化が、事務分野の採用ニーズを構造的に変化させている可能性が考えられます。
専門(IT技術者)については、前月比で27.0%増と大きく伸長しましたが、前年同月比では24.0%減とマイナス傾向が継続しています。短期的な採用の波があるものの、ハイテク分野でも中長期的な採用計画は抑制傾向にあると推察されます。
地域別に見ると、前年同月比では全ての地域で二桁の減少を記録しており、全国的な採用抑制ムードが広がっています。
中部・北陸(-12.4%)の減少幅が全国で最も小さく、比較的安定した採用活動を継続している地域があることがわかりますが、全体としては、地域格差を超えて採用抑制の波が全国に及んでいると評価できます。
| 地域ブロック | 2025年10⽉(件) | 前⽉⽐ | 前年同⽉⽐ |
|---|---|---|---|
| 北海道・東北 | 126,359 | +3.6% | -25.1% |
| 関東・甲信越 | 944,492 | +1.4% | -15.3% |
| 中部・北陸 | 294,761 | +2.2% | -12.4% |
| 近畿 | 352,659 | +0.7% | -17.9% |
| 中四国 | 134,478 | +6.9% | -22.7% |
| 九州・沖縄 | 182,581 | +3.3% | -20.5% |
ミクロ分析をまとめると、企業は採用活動において「選択と集中」を一層加速させていると結論付けられます。事業成長に不可欠な専門人材や、代替の効かないエッセンシャルワーカーには引き続き採用コストを投じる一方で、それ以外のポジションや、効率化が可能な業務に関連する採用は大幅に抑制する、というメリハリの効いた戦略にシフトしている可能性が高いでしょう。
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