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採用事情
人手不足によって優秀な人材の確保が困難となっている今、採用ブランディングを用いて採用活動を強化していくことは重要な戦略の一つとして注目されています。
情報が容易に得られる現代において、求職者は給与や福利厚生だけでなく、企業の評判や文化などを注視しており、企業自体のブランド価値を高めることが求められています。
本記事では、採用ブランディングとは何か、メリット・デメリットや具体的な実践方法を解説します。企業の採用競争力を強化する一助となり、優秀な人材を確保するための有効な手段となれば幸いです。
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「採用がうまくいかない」「優秀な人材が集まらない」などの課題を抱えていませんか?内藤一水社は、90年にわたり企業の採用活動をサポートしてきた実績と専門知識を活かし、自社に合った最適な採用ブランディングをご提案します。
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採用ブランディングとは、企業が自社の魅力や価値観を伝えることで、求職者に自社への入社意向を高めてもらうための活動を指します。
まずは、採用ブランディングについて、より理解を深めるために以下の3点について解説します。
採用ブランディングとは、企業が自社の魅力や価値観を効果的に伝えることで、求職者の自社への入社意欲を高める採用広報活動を指します。
その際、企業が求める理想的な人材像を明確にし、ターゲットとする人材に向けたメッセージを発信することが重要です。これにより、企業と求職者とのマッチングがよりスムーズになり長期的な人材定着にもつながります。
採用ブランディングの目的は、企業が理想とする人材像を明確にし、自社の魅力や価値観を発信することで、自社にマッチする人材の共感を獲得し、採用に結びつけることです。この取り組みによって、企業は欲しい人材を効率よく採用できるだけでなく、企業全体の採用競争力を高めることにもつながります。
企業ブランディング(コーポレート・ブランディング)は、イメージアップや競合他社との差別化を目的に、企業が顧客や株主など広範なステークホルダーに自社の社会的イメージを戦略的に認知してもらうことを意味します。
一方で、採用ブランディングは採用活動に特化したブランディング戦略を指します。一般的な企業ブランディングとは異なり、採用ブランディングでは「働き手としての企業の魅力」に焦点を当てます。
それぞれの相違点をまとめたものが以下の表になります。
企業ブランディング | 採用ブランディング | |
---|---|---|
対象 | ステークホルダー | 求職者 |
目的 | 企業価値の向上、企業活動への波及効果 | 自社が求める人材の採用 |
手法 | ・インナーブランディング (社内報や社員向けブログ、企業ブランドのストーリー制作など) ・アウターブランディング (ブランドサイトの制作、メディアへの宣伝、イベント企画など) |
採用サイト、SNS/動画、イベント、説明会、面接など |
少子高齢化により人手不足が加速し、優秀な人材を獲得するための競争は激化しています。採用活動において「待ち」の姿勢では、求める人材を獲得するのが難しくなっているのが現状です。
また、人材の流動性が高まり、求職者が企業を選ぶ際に重視するポイントも多様化しています。求職者が企業を選ぶ基準は知名度や待遇、安定性だけではありません。そのため、採用ブランディングで、求職者に自社の色を分かりやすくアピールすることが求められます。
引用:株式会社ジェイック「就職活動とキャリア観」
株式会社ジェイックの調査によると、新入社員が入社を決めた理由の上位には、「事業内容」「成長できる職場環境」「一緒に働く社員の雰囲気」「社風や企業文化」などが挙げられています。これらは、いわば企業の「中身」と呼べる部分です。
このような企業の本質的な魅力を求職者に効果的に伝える手段が、採用ブランディングなのです。採用ブランディングは、企業認知度を高め、求職者の入社意欲を引き出すために、企業の価値やイメージを戦略的に発信します。
採用が困難な現代において、企業が選ばれるためには、他社にない独自の魅力を明確に伝え、自社の特徴を際立たせる必要があります。採用ブランディングは、まさにその役割を果たす重要な取り組みと言えるでしょう。
採用ブランディングにおけるメリットは多くありますが、その中でも以下の4点に絞って解説します。
採用ブランディングを行うことで、求職者はエントリー前から企業理解を深めることが可能になるので、自社の求める人物像にマッチした人材が集まりやすくなります。
例えば、求人広告では、限られたスペース内に情報を掲載しなくてはならない特性上、自社にマッチしない人材からの応募も少なからずあります。
一方、採用ブランディングでは、詳細な企業情報を開示することで応募数を抑制する「セルフ・スクリーニング(※)」が働くため、自社にマッチしない人材からの応募を制御し、母集団の質を向上させることができるのです。
(※)「セルフ・スクリーニング」…企業が採用活動をする際に、自社の情報を詳細に開示することで、求職者自身がその組織に適しているかどうかを判断できるようにすること。
採用した社員が3年以内に退職してしまうことを一般的に「早期離職」と言います。この「早期離職」は、「採用・育成コストの負担増」や「既存社員のモチベーションの低下」など企業に多くのデメリットをもたらします。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、新入社員の早期離職には、いくつかの重要な要因があります。主な理由としては、「労働環境・条件がよくない」「給与水準に満足できない」「職場の人間関係がよくない、合わない」などが挙げられています。
引用:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」
特に注目すべきは、入社前後で感じるギャップです。働き方、仕事内容、会社の方向性などにおいて、事前のイメージと実際の職場環境に大きな違いがある場合、新入社員は早期離職を真剣に考えるようになります。
このような課題に対して、採用ブランディングは効果的に作用します。その理由は応募段階から企業の本質的な姿を正直、かつ魅力的に伝えることで、求職者は会社や働き方について明確なイメージを持つことができるからです。結果として、入社後のギャップが減少し、早期離職のリスクが低下するとともに、定着率が向上するのです。
採用ブランディングは企業イメージを向上させる効果が期待できます。採用ブランディングは単なる採用活動にとどまらず、企業全体の価値観や魅力を外部に発信します。
結果として、企業のポジティブなイメージが広く社会に認知され、支持や評価につながる可能性があります。採用ブランディングは、優秀な人材の獲得だけでなく、企業の社会的評価を高める副次的な効果も期待できます。
例えば、環境に配慮した取り組みや、地域社会への貢献を採用ブランディングに盛り込むことで、「社会的責任を果たす企業」というイメージが定着し、社会的な評価が向上することが考えられます。
採用ブランディングは、求職者だけでなく、現在働いている「既存社員」にも良い影響をもたらします。採用ブランディングによって、既存社員が企業の魅力を再認識することで、業務のモチベーションや企業への愛着心、帰属意識がより高まり、その結果、組織力の強化へとつなげることができます。
従業員エンゲージメント(=会社と従業員のつながり)が高まれば、従業員の定着率の向上も期待できます。
採用ブランディングには、メリットがある反面、デメリットも存在します。
採用ブランディングに取り組む場合は、これらの懸念にどのように向き合うかを考える必要があります。
採用ブランディングは、中長期的な効果を目指す活動のため、すぐに成果が見えないことがあります。
企業の認知度が向上し、実際に応募者の増加や質の変化を感じられるようになるには、少なくとも2~3年はかかることが一般的です。
中長期的な運用計画を立て、PDCAサイクルを回しながら、継続的かつ多面的に情報発信していくことが求められます。
採用ブランディングの成功には、企業全体の協力が不可欠です。
対外的に発信する企業イメージと社内の実態に乖離があると、入社後に深刻なミスマッチを引き起こす可能性があります。このリスクを避けるためには、経営者や人事部門だけでなく、全社員が採用ブランディングプロセスに積極的に関わる必要があります。
具体的には、まず社員全員の意識を統一し、企業の本質的な理念や文化を共有することが重要です。社員一人ひとりが実感している企業の価値観や本当の姿を対外的に発信することで、より説得力のあるブランディングが可能になります。
採用ブランディングを成功させるには、企業のビジョンや文化を明確化し、それを求職者に伝えるための具体的な戦略を構築する必要があります。
採用ブランディングを設計する際の標準的なプロセスは以下の5点です。
各プロセスがどのように機能し、実際の採用ブランディングに役立つかを具体的に解説します。
採用ブランディングを始めるにあたり、最初に重要なのは採用ブランディングの目的を明確にした上で、企業のビジョン、価値観、現状を徹底的に分析します。事業戦略や事業計画を具体化し、自社の課題や強みを徹底的に洗い出します。
次に自社のミッション、ビジョン、価値観を求職者にどのように伝えれば魅力的に映るかを考えます。企業の強みや独自性を強調し、求職者に響くメッセージを構築することが重要です。例えば、独自の企業文化、革新的な働き方、キャリア成長の機会など、具体的な要素を盛り込むと効果的です。
自社の魅力を深く理解するためには、社員自身の声に耳を傾けることが最も効果的です。アンケートやインタビューを通じて、現場の生の声を収集し「働きやすさ」や「社風」を内側から把握するのが良いでしょう。現場のリアルな声を知ることで、企業の魅力や潜在的な課題が明確になります。
企業のビジョンや価値観を分析し、自社の魅力や課題を明確にした次の段階は、「ペルソナ」の設定です。ペルソナとは、企業が本当に必要とする理想の人材像を詳細に描写したものです。単なる年齢、能力、性別といった基本情報にとどまらず、趣味や価値観、性格など、詳細なところまで踏み込んで想定します。
ペルソナを適切に設定することで、企業が伝えるべき本質的なメッセージやそれを効果的に伝える方法が自然と明確になります。理想の人材像を深く理解することは、採用ブランディングを成功につなげる重要なステップとなります。
なお、ペルソナの設定や採用ターゲットとの違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご確認ください。
採用ブランディングの核心は、求職者が共感し、興味を持つようなブランドコンセプトの創出です。自社の魅力や提供できる価値を言語化し、簡潔かつ印象的な採用コンセプトへと昇華させましょう。
例えば、「挑戦を応援する風土」「働きながら成長できる環境」など、企業の本質的な魅力や価値観を一言で表現できるコンセプトが効果的です。この過程で重要なのは、前段階で設定したペルソナとメッセージの整合性です。ペルソナが共感し、興味を持つコンセプトであることを常に意識しましょう。
戦略設計では、求職者とのコミュニケーションの全プロセスを丁寧に設計します。ファーストコンタクトから選考までの各ステージで、段階的に企業の魅力や価値を伝え、求める人材の入社意欲を高めていくことが大切です。
オンラインとオフラインのコミュニケーションチャネルは、別々に考えるのではなく、一貫性のある統合的なアプローチが求められます。両方のメディアで同じ本質的なメッセージを伝えることで、より強力な採用ブランディングを実現できます。詳細は下記「採用ツールへの展開」で解説します。
採用ブランディングにおいて、設計したコンセプトや戦略を採用プロセス全体で一貫性を持たせた上で、各ツールに展開することが極めて重要です。
求職者は企業との様々な接点を通じて、その企業の姿を理解していきます。もし各接点で異なるメッセージや印象を受けると、企業への信頼感が損なわれ、優秀な人材の獲得機会を逃すことにもなりかねません。
一貫したブランド展開を実現するためには、採用に関わるすべての担当者が、定められたブランドコンセプトや価値観を十分に理解し、共有していることが必要です。これには人事部門だけでなく、面接官となる管理職、さらには採用活動に関わる若手社員まで含まれます。
また、各接点でのコミュニケーション方針を明確に定め、ガイドラインとして文書化することが重要です。ガイドラインに使用する言葉遣いや表現方法、視覚的な要素の扱い方まで含めることで、より統一的なブランド表現が可能となります。
採用サイトは、求職者や学生が早い段階で触れる重要な接点です。
求職者・学生目線での情報発信を心がけ、社員インタビューや職場環境の紹介など、リアルな企業の姿を伝えることが重要です。
また、モバイルファーストの設計思想を取り入れ、応募者の行動分析に基づいたUI/UX最適化を行うことで、より効果的な情報発信が可能となります。
具体的なコンテンツ
SNSや動画コンテンツは、企業の魅力をよりダイナミックに伝えることができます。
プラットフォームごとの特性を活かした発信を行い、社員の日常や成長ストーリーをリアルタイムに共有することで、企業文化への理解を深めることができます。
特に採用動画は、企業紹介やオフィスツアー、社員インタビューなど、多角的な情報発信に効果的です。
採用イベントや説明会を実施し、オンラインとオフラインを効果的に組み合わせ、双方向のコミュニケーション機会を創出することが重要です。
また、面接は企業の取り組みや雰囲気、姿勢などについて、求職者・学生と相互理解を深める場としてとても重要です。
例えば、採用サイトでは「チャレンジを重視する社風」を強調しながら、実際の面接では保守的な質問や態度で臨むといったミスマッチが起きると、応募者は企業の本質に対して疑問を抱くことになります。このような事態を引き起こさないために、面接官に対するトレーニングはしっかり実施する必要があります。
採用ブランディングを成功させるためには、KPI(重要業績評価指標)を設定し、採用活動を定期的に振り返ることが大切です。KPIとして挙げられるのは、例えば「応募者数」「面接通過率」「入社後の定着率」「採用コスト」などです。
前述の通り、採用ブランディングは中長期的かつ継続的に取り組む必要があるため、進行中にはPDCAサイクルを確実に回していけるよう、振り返りのタイミングや方法をあらかじめ設定しておきましょう。
まずは一度、採用選考が終了した時点で、次期の採用活動に向けて改善点をピックアップし、改善方法を検討します。
改善策を考える際には、KPIだけでなく「応募者へのアンケート調査」や「入社者へのヒアリング」も活用することで、課題をより具体的に把握できます。
洗い出した課題に基づき、発信内容や使用するチャネルを調整します。その際、採用市場の変化や競合他社との差別化状況をチェックし、必要に応じて施策を柔軟に見直していきましょう。
それでは、採用ブランディングで成功するには、実際にどのような取り組みを実施すれば良いのか、企業や業界別に3つの具体例を挙げてご紹介します。
採用ブランディングは、企業の未来を形作る重要な戦略と言っても過言ではありません。
なぜなら、企業の成長には優秀な人材の確保が不可欠であり、それが経営戦略の実現や新たな価値の創造を支える基盤となるからです。採用ブランディングを強化することで、企業の持続的な成長や競争力の向上につながる安定した人材基盤を築くことができるのです。
本記事を参考に、採用ブランディングを策定し、採用活動に活かしてみてください。具体的な施策を展開し、定期的に効果検証・改善することで、母集団の質向上や社員の定着率向上、ひいては企業の発展につなげましょう。
最適な採用ブランディングをご提案
「採用がうまくいかない」「優秀な人材が集まらない」などの課題を抱えていませんか?内藤一水社は、90年にわたり企業の採用活動をサポートしてきた実績と専門知識を活かし、自社に合った最適な採用ブランディングをご提案します。
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