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エイジズム(Agism)とは、年齢を理由に行われる差別のことを指します。
多様性が尊重されつつある現代社会にありながら、エイジズムは人材の多様性とイノベーションを阻害し、企業の成長を妨げる大きな要因となり得ます。特に、日本のように少子高齢化が進む社会では、エイジズムがもたらす影響は無視できません。
また、エイジズムは従業員が無意識に行っていることも多いため、自社で発生しているエイジズムに対し、どのような対策をすればよいか分からない方もいるのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、以下の内容を解説します。
幅広い年代の人材を採用し、人材不足を是正したい担当者様は、ぜひ参考にしてください。
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「エイジズム」とは、年齢のみを理由に行われる差別であり、これにより特定の年齢層が不利な扱いを受けることを指します。たとえば、以下のような事象がエイジズムに当てはまります。
特に、高齢の従業員に対するエイジズムは深刻です。
十分な能力や経験があっても、エイジズムにより能力が活かされない高齢従業員は数多く存在します。エイジズムにより、多くの才能や経験が無駄になり、組織や社会全体の健全な発展を妨げる要因となります。
少子高齢化で若年労働力が減少しているなかで、高齢の従業員の労働力は非常に貴重です。年齢に基づく偏見や差別の排除は、企業にとって重要なテーマだといえます。
社内にエイジズムがまん延する理由は、主に以下の2つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
エイジズムの一因として、メディアによる先入観やステレオタイプ(固定観念)の浸透が挙げられます。たとえば、メディアは以下のようなステレオタイプを流布しがちです。
メディアによって、上記のようなステレオタイプが浸透した現場では、シニア層と若手層の世代間対立がより強くなると考えられます。
世代間のキャリアと給与の格差は、深刻なエイジズムの要因です。日本企業では勤続年数が長い=偉いという年功序列の風潮が根強く、若手従業員にとって直接的な不満の種となっています。
しかし高齢の従業員が、全面的に優遇されているとはいえません。日本企業ではキャリアパスや昇進の機会が、特定の年齢層に限定されることが多いためです。
一定の年齢に達した従業員に対し、昇進や重要なプロジェクトへの参加を制限する事例が最たる例です。労働意欲の高い高齢の従業員の不公平感の増大は、モチベーションの低下や組織全体の生産性低下につながります。
エイジズムがもたらす社会への悪影響のうち、代表的なものは以下の5つです。
エイジズムがまん延すると、組織や企業で高齢者の経験やスキルが十分に活かされません。多くの経験に裏打ちされた実力を持つシニア人材の活躍の場が失われることにより、適切な人材配置が困難となります。
また、高齢者が重要な役割から外されると、若手の学習の機会も減少するため、企業全体のパフォーマンスの低下が起こる可能性は高いです。結果として社会全体の生産性や競争力が低下し、優秀な人材が埋もれる悪循環が起こります。
なお、年齢だけを理由に退職を促す定年制度は一般的な風潮ですが、積極的に働きたい高齢者にとっては、エイジズムに該当します。
シニア層と若手層の関係を悪化させ、世代間対立を引き起こすのもエイジズムの特徴です。特に一定の高齢者を「生産性がない厄介者」として捉える潜在意識は、若手層に確かに存在します。
シニア層と若手層の対立で互いを理解する機会が失われ、組織の雰囲気や協調性が悪化することが考えられます。結果、スキルや知識の伝達がうまく行われず、社会的な損失は計り知れません。
現代社会においてエイジズムを克服し世代間の協力と理解を促進することは、持続的な発展には不可欠です。
エイジズムは、経済的な損失を引き起こす要因となります。エイジズムがもたらす経済損失は、大きく分けて以下3つです。
1番の損失はエイジズムにより高齢の従業員が早期退職を迫られ、労働市場から姿を消すことです。高齢の退職者が増えると労働力が減少し、社会全体の生産性が低下します。
退職した高齢者は社会保障に依存せざるを得ないので、国の財政に負担がかかる点も経済的損失に当たります。
また退職とまでいかなくても、職場で不当な扱いを受けた高齢の従業員の労働意欲低下は免れません。結果的に企業は不足した分の労働力を補充する必要に迫られます。
少子高齢化の日本社会でエイジズムをなくし経済的損失を抑えることは、経済全体の安定と成長のために重要です。
エイジズムによる年齢差別は自尊心を下げ、心理的ストレスを増加させます。心理的ストレスの増加は、肉体への悪影響も大きいです。
ストレスが溜まると活発な行動ができなくなり、運動量が低下します。これが肉体的な健康被害を引き起こし、さらなる心理的ストレスの引き金となります。
高齢者にとって問題になるのは、家族や会社などコミュニティとの接触がほとんどない状態です。これを「社会的孤立」といい、大きな心理的ストレスを引き起こします。
年齢を理由に職場から排除され社会的役割を失った高齢者は、社会的孤立に苛まれることが多くなります。社会的孤立から生まれる心理的ストレスは、高齢者のうつ病や不安障害など精神的健康問題の主因です。
エイジズムの払拭は、健康面においても重要な課題だといえます。
エイジズムは、文化面へも悪影響をおよぼします。高齢者が持つ豊かな知識や経験が軽視されることで、次世代への文化や伝統の継承がうまくいかない場合があります。
特に「日本らしい」と形容される文化や伝統は、高齢の職人が長年の修練や口伝により継承するものが多いです。このような文化や伝統は、一度失われてしまうと復興は困難です。
文化の持続と発展には、世代間の積極的な交流が不可欠です。文化面におけるエイジズムの排除は、早急に解決すべき課題だといえます。
エイジズムが企業にもたらす問題の具体例の中で、代表的なものは以下の3つです。
エイジズムによって企業から高齢の従業員や若手従業員が排除され、人材の多様性が損なわれることは、企業の競争力が低下する要因です。異なる年齢層の視点や経験が不足することで、イノベーション(新たな価値を生み出すこと)の機会が減少し、新たなアイデアや解決策の創出が困難になります。
年功序列かつ新卒採用の風潮が未だ根強い日本企業では、採用時の年齢制限を設けている企業も多いです。特に、40代以上の就職・転職が厳しい現状を打破しなければ、日本企業の競争力が失われていきます。
エイジズムの排除は、企業の成長や持続可能性を向上させるために重要です。
エイジズムにより高齢の従業員が不当に扱われている職場では、全体の士気が低下します。高齢の従業員は、若手にとって自身の未来の姿です。高齢の従業員が不当に扱われている姿を若手が目の当たりにすれば、若手の士気低下は免れません。
また、年功序列の日本企業では、成績よりも勤続年数を重んじる風潮が残っています。どんなに成績が良くとも評価に反映されない職場では、若手従業員が不満を持ち、他企業へ流出してしまう恐れがあります。
高齢の従業員のエンゲージメント低下や若手従業員の離職を防ぐためにも、従業員全員が公平に評価される環境づくりは必須です。
年齢に基づくハラスメント(エイジハラスメント)は、エイジズムのもっとも顕著な例です。代表的なエイジハラスメントを、世代別に紹介します。
【シニア従業員に対するエイジハラスメント】
【若手従業員に対するエイジハラスメント】
エイジハラスメントは世代間のコミュニケーション不足や、理解の浅さから発生します。
経験豊富な高齢者や若手社員が不当に扱われることにより、職場のダイバーシティが著しく損なわれます。これにより、影響を受けた従業員のモチベーションが低下し、生産性の低下が引き起こされる可能性があります。
人材採用や人材育成の観点における、人事担当者が意識したいエイジズムへの対策は、大きく分けて以下の5点です。
エイジズムを防ぐためには、採用基準を年齢に依存しない形で設定することが重要です。年齢ではなく能力で求職者を判断することで、多様な人材の採用につながります。
年齢に依存せず、スキルや知識を重視した採用を行うためには、企業の意識改革が大切です。昨今では若手の求職者が取り合いになっている状況に対応するため、中途採用に力を入れる企業も増えてきています。
改めて自社に本当に必要な人材を考え、能力面にフォーカスした採用活動を行うことを意識してみてください。
エイジズムを理解してもらうには、社内で教育や研修を行うことが重要になります。日本企業では、そもそも「エイジズム」という言葉自体を知らない従業員が多いためです。
年齢によるスキルや知識への偏見・差別は、本人がエイジズムと知らずに無意識に行うパターンがあります。経営側がエイジズムについて具体例を交えて説明し、従業員全員にエイジズムへの意識を持たせましょう。
エイジズムのガイドラインを策定し、社内に通知することも有効です。従業員が常にエイジズムを意識して発言・行動することで全体の風土が改善され、誰もが働きやすい職場を実現できます。
インクルーシブ(特定の集団や個人を排除せず、すべての人を受け入れる姿勢)な企業文化を推進することは、多様な年齢層が働きやすい職場を構築するうえで重要です。年齢に関係なくすべての従業員が尊重され、意見を発信しやすい環境を整えることで、エイジズムがない職場を実現できます。
チームビルディング活動や社内イベントを通じて、世代間の交流を促進することも有効です。異なる年齢層が協力し合う職場では互いの強みを活かせるため、組織全体の生産性が向上します。
年功序列の評価制度は、日本のエイジズムの象徴といえます。シニア層も若手も公平に働くためには、時代に合わせて人事評価制度を見直し、改善することが大切です。
年功序列ではなくスキルや実績に基づいた評価制度を導入することで、すべての従業員を平等に評価できます。有能な人材が最大限のパフォーマンスを発揮できる職場は、人材の効果的な成長につながります。
社内のシニア層にリスキリングやアップスキリングを施すことは、エイジズムを払拭する有効な手段です。シニア層が新しい知識やスキルを取り入れることで、若手層への理解が深まり、世代間対立の緩和を助長できます。
日本社会における就労期間の長期化への対策としても、リスキリングやアップスキリングは有効です。働き続けたい高齢者がスキルを向上させることで、社会で新たな役割を担えます。
エイジズムが社会問題とされる現代において、企業が年齢に関係なく従業員に学ぶ機会を提供することは重要です。
エイジズムの概念を知り適切な対策を講じることは、人材採用・育成の観点で非常に重要な課題です。異なる世代が協力しあい公平に評価されることで、多様な人材が成長し活躍できる職場を構築できます。
ただし企業にまん延したエイジズムを払拭することは、簡単ではありません。多角的な調査を行い、従業員全体に長い時間をかけて認識させる必要があります。社員一人一人がエイジズムに対する意識を高めることで、年齢差別のない職場環境を実現し、多様な世代が協力し合う職場を作り出すことが可能です。
具体的には年齢にとらわれない採用基準の設定、人事評価制度の見直し、リスキリングなど、やるべき課題は山積みです。
当社には90年にわたり数多くの採用活動に携わった経験から、エイジズムの問題へのサポートも可能です。エイジズムに悩む担当者様は、一度当社へご相談ください。
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