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2026年、労働基準法が大きく変わります。
「数十年ぶりの大改革」――そう呼ばれるこの改正は、人事労務の現場に確実に影響を与えるでしょう。
正直に言えば、対応すべき項目は少なくありません。でも、これは単なる「面倒な法改正」ではないのです。働き方を見直し、生産性を高め、優秀な人材を惹きつける組織に変わるチャンス。そう捉えることができれば、この改正は企業にとって大きな転機になります。
この記事では、改正の具体的なポイントから、企業への影響、そして今日から始められる対応策まで、人事担当者の皆さんが本当に知りたいことをお伝えします。
※本記事の記載内容は、2025年11月時点で厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」等において議論・検討されている内容に基づいています。
具体的な改正条文、施行時期、数値基準(上限日数や時間数など)は現時点で確定しておらず、今後の議論により変更される可能性があります。
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人事担当者が押さえるべき「労働基準法改正」要点まとめ
目次
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コロナ禍が教えてくれたことがあります。それは、私たちの働き方が想像以上に多様化しているという事実です。
テレワーク、副業、ギグワーカー――数年前まで「例外的な働き方」だったものが、今では当たり前になりました。ところが、法律は昔のまま。企業にフルタイムで雇用されることを前提にした労働基準法では、これらの新しい働き手を守りきれません。
例えば、フリーランスとして複数の企業と契約しているデザイナーを思い浮かべてください。彼らは「労働者」ではないため、最低賃金の保護もなければ、労働時間の規制もない。コロナ禍で収入が途絶えても、雇用調整助成金の対象外――そんな「法の空白地帯」に置かれてきたのです。
法律が実態に追いついていない。この問題を放置できない。それが、今回の改正に至る最大の理由です。
この改正が目指すゴールは明確です。
すべての働く人に、最低限の保護を
プラットフォームワーカーのような新しい働き手にも法的な定義を与え、権利を守る。長時間労働を是正し、心身の健康を守る。曖昧だったルールを明確にして、労使トラブルを減らす。育児や介護と仕事を両立しやすくする。
そして、もう一つ重要なことは「つながらない権利」の確立です。休日にメールやチャットで呼び出される。そんな働き方から、労働者を解放しようとしています。
これは単なる規制強化ではありません。多様な働き方を支えながら、誰もが安心して働ける社会をつくる試みなのです。

改正案には、企業に大きな影響を与える7つのポイントがあります。現時点での検討項目なので今後変更の可能性はありますが、早めに全体像を掴んでおくことが重要です。
労働者の健康確保は、企業の持続的な成長において不可欠な要素です。ここでは、労働者の心身の健康を守ることを目的とした、「連続勤務日数上限の設定」と「勤務間インターバル制度の義務化」という、労働時間と休息に関する2つの重要な変更点について詳しく解説します。
連続勤務の上限が「13日」に制限
現行法では、理論上24日間の連続勤務が可能でした。「4週間に4日休めばいい」というルールを利用すれば、月初にまとめて休日を取らせ、残り24日間連続で働かせることもできたのです。
当然ですが、これは労働者の健康にとって危険すぎます。改正案では、連続勤務を13日までに制限。宿泊業、飲食、小売など、シフト制を採用している業界では、シフトの組み方を根本から見直す必要があるでしょう。
「勤務間インターバル制度(11時間)」の義務化
「昨夜23時まで残業したのに、今朝8時出勤」――こんな働き方、珍しくないですよね。
でも、これはもうできなくなります。改正案では、勤務終了から次の勤務開始まで最低11時間の休息を義務化する方向です。23時に仕事が終われば、翌日の出勤は10時以降。当たり前のようでいて、実現できていない企業は意外と多いはずです。
現在、この制度を導入している企業はわずか6%。努力義務だから、後回しにされてきました。でも義務化されれば、勤怠管理システムの見直しは待ったなしです。
勤務間インターバルについては、以下の記事で詳細や採用活動に活かす方法や事例を紹介していますので併せてご確認ください。
2026年の労働基準法改正では、これまで労働紛争の原因となりやすかった曖昧な休日・休暇に関する規定が、より明確なルールへと見直される予定です。ここでは、特に「法定休日の事前特定義務化」と「年次有給休暇取得時における賃金計算方法の統一」という二つの重要な変更点について解説します。
法定休日の事前特定が義務に
「今週の日曜は法定休日? それとも法定外休日?」
こんな質問、受けたことありませんか? 実は、法定休日が明確でないと、休日出勤の割増賃金の計算でトラブルになりやすいんです(法定休日は35%以上、法定外休日で週40時間超の場合は25%以上)。
改正案では、就業規則で「法定休日は日曜日」などと事前に特定することが義務化される見込みです。シンプルですが、これだけで労使間の無用な揉め事が減るでしょう。
有給休暇取得時の賃金が「通常賃金」に統一
パートタイマーの方が有給を取ると、出勤した日より賃金が少なくなる――そんなおかしな状況、ご存じですか?
現行制度では、企業が「平均賃金」「標準報酬日額」「通常賃金」の3つから選べます。問題は「平均賃金」を選んだ場合。勤務日数が少ない人ほど、有給取得日の賃金が低くなってしまうのです。
これでは有給を取りづらい。だから改正案では、計算方法を「通常賃金」に統一する方針です。つまり、「その日に出勤していたらもらえたはずの賃金」を支払う。シンプルで公平なルールになります。
労働時間や休日・休暇については、求人情報や募集要項を検討・作成する際に必要な要素です。意図せず法令違反となってしまうケースもあるので、慎重かつ誠実な表現・表記を徹底しましょう。
近年、労働市場は急速に変化しており、副業・兼業、そしてプラットフォームワーカーといった多様な働き方が社会に浸透しています。しかし、現行の労働基準法は、一つの企業にフルタイムで勤務する従来の労働モデルを前提としており、これらの新しい働き方の実態に法制度が適合しきれていないのが現状です。
このセクションでは、こうした時代の変化に対応するため、特に重要視されている「副業・兼業に関するルールの見直し」と「労働者の定義の見直し」の2つの論点について詳しく解説します。
副業・兼業時の労働時間・割増賃金ルールの見直し
副業を認めたい。でも労働時間の通算が面倒で……そんな声、よく聞きます。
現行法では、A社で6時間、B社で3時間働いたら、合計9時間。B社での勤務はすべて時間外労働扱いになり、B社が割増賃金を払う――こんな複雑なルールが、副業普及の足かせになってきました。
改正案では、各社が独立して労働時間を管理する「分離方式」が検討されています。これなら、他社の労働時間を把握する手間が減り、企業も副業を認めやすくなるでしょう。
プラットフォームワーカーなど「労働者」の定義の見直し
ウーバーイーツの配達員、クラウドワーカー、フリーランス――彼らは「労働者」でしょうか?
現行法では、答えは「NO」です。だから最低賃金の保護もなければ、労災の適用もない。契約を一方的に打ち切られても、文句は言えません。
改正案では、こうしたプラットフォームワーカーを保護するため、労働者の定義を拡大するか、新しい法的カテゴリーを作ることが議論されています。
企業側から見ると、これは大きな変化です。これまで「業務委託」だった人が「労働者」と判断されれば、最低賃金や社会保険の適用が必要になるかもしれません。契約書の見直しは必須でしょう。
休日の夜、上司からメッセージが届く。「明日の資料、確認しておいて」
返信しないと評価に響くかも……そんな不安、誰もが一度は感じたことがあるはずです。
「つながらない権利」とは、勤務時間外の業務連絡に応じなくても、不利益を受けない権利のこと。フランスでは既に法制化されており、日本でも導入に向けた議論が進んでいます。
これは単なる「労働者の権利」の話ではありません。組織のコミュニケーション文化そのものを問い直す契機なのです。時間外の連絡が当たり前になっている職場なら、情報共有の方法や業務の進め方を根本から見直す必要があるでしょう。
結果として、メリハリのある働き方が定着し、生産性が上がる――そんな良い循環が生まれるかもしれません。
これまで特定の業種や職位に認められてきた特例措置や適用除外は、労働基準法の原則から外れるものであり、その見直しが喫緊の課題となっています。ここでは、特に影響が大きいと考えられる「週44時間労働の特例措置の廃止」と「管理監督者の労働時間把握の義務化」という2つの主要な変更点について解説します。
週44時間労働の特例措置の廃止
商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業で、従業員10人未満の事業場には、「週44時間まで働かせていい」という特例がありました。
でも、これはもう時代に合いません。改正案では、この特例を廃止し、すべての事業場で週40時間に統一する方針です。
該当する中小企業にとっては、週40時間を超える部分が時間外労働となり、割増賃金が発生します。人件費への影響は避けられないでしょう。
管理監督者の労働時間把握の義務化
「管理職だから残業代は出ない」――これ、本当に正しいでしょうか?
実態として、役職名だけの「名ばかり管理職」が、長時間労働を強いられているケースは少なくありません。
改正案では、管理監督者を含むすべての労働者の労働時間を、客観的な方法で記録・把握することを義務化する方向です。これにより、管理職の働き方が可視化され、不適切な運用が是正されることが期待されています。
2025年4月から段階的に施行される改正育児・介護休業法と連動して、労働基準法でも両立支援が強化されます。
2025年10月からは、3歳以上小学校就学前の子どもを養育する労働者に対して、企業は「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じることが義務化されます。テレワーク、短時間勤務、新たな休暇制度――選択肢は様々ですが、企業には従業員のニーズに応える対応が求められます。
さらに、2025年4月には「出産後休業支援給付金」と「育児時短就業給付」という新しい給付金が新設されました。経済的な不安を軽減し、仕事と家庭の両立を後押しする仕組みです。
少子高齢化が進む中、多様な人材が活躍できる環境をつくることは、企業の競争力そのものに直結します。
最近の法改正には、一つの傾向があります。それは、罰則で縛るのではなく、情報公開によって企業の自主的な改善を促すというアプローチです。
時間外労働の実績、有給休暇の取得率、育児休業の取得率――こうした情報を積極的に開示する企業が増えています。なぜか? それは、求職者がそれを見ているからです。
特に若い世代は、給与だけでなく「働きやすさ」を重視します。労働環境の改善に真摯に取り組み、その実績を透明に公開している企業は、優秀な人材を獲得する競争で明らかに有利になります。
情報開示は、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。自社の労働実態を客観的に見つめ、従業員と一緒に改善策を考える。そのプロセス自体が、組織を強くするのです。

2026年に施行が見込まれる労働基準法改正は、企業経営にどんな影響を与えるのか?
「人件費へのインパクト」「労務管理の実務への影響」、そして「組織運営・業務プロセスへの影響」という3つの側面から見ていきましょう。
まず避けられないのが、人件費の増加です。
一つは、割増賃金の増加。週44時間特例の廃止や残業代計算ルールの見直しにより、これまで特例を使っていた中小企業では、週40時間を超える労働がすべて時間外労働になります。
もう一つは、人員の追加採用。連続勤務日数の上限や勤務間インターバルの導入により、これまでの人員配置では業務が回らなくなる可能性があります。特にシフト制を敷いている企業では、新たな人員確保が必要になるでしょう。
ただし、影響の大きさは業種や企業規模によって異なります。だからこそ、自社の状況に合わせた具体的なシミュレーションが不可欠なのです。
人事担当者の日々の業務も、大きく変わります。
勤務間インターバルの遵守状況を毎日チェック。連続勤務日数が13日を超えないようシフトを管理。法定休日を特定した上で、休日出勤時の割増賃金を正確に計算。副業者の労働時間管理。管理職を含む全従業員の労働時間の客観的把握――
これらすべてを、Excelや手作業で管理するのは、もはや現実的ではありません。勤怠管理システムの導入や刷新は、避けて通れないでしょう。
システム化は、単なる効率化ではありません。コンプライアンスを確実に守り、人事担当者の負担を減らし、ミスを防ぐ――それが目的です。
これが最も重要な影響です。
労働時間の制約が厳しくなるということは、「長く働く」ことでカバーできなくなるということ。つまり、「限られた時間で、どうやって成果を出すか」が問われるのです。
これは人事労務だけの問題ではありません。経営戦略の核心に関わる問題です。
業務の自動化、無駄な会議の削減、情報共有の効率化、多能工化の推進、不採算事業からの撤退――聖域なき業務の見直しが必要になるでしょう。
この法改正を「コスト増」と捉えるか、「組織を強くするチャンス」と捉えるか。その視点の違いが、数年後の企業の姿を大きく変えるはずです。

目前に迫る労働基準法改正に対して、人事担当者が「今から」着手すべき具体的な対応策を解説します。対応策は、法規制を遵守するための「法的・制度的対応」と、変化を乗り越え企業を成長させるための「経営戦略的対応」の2つの側面に大別されます。
法改正に対応するための「法的・制度的対応」として、コンプライアンスを確保し、将来の労務リスクを回避するために不可欠な3つの具体的なアクションについて解説します。
就業規則の全面的な見直し
厚生労働省のモデル就業規則をそのまま使っていませんか? 今回の改正は複雑なので、テンプレートだけでは対応しきれません。
見直すべきポイントは以下の通りです。
自社の実態に合わせ、法的にも守られる就業規則をつくるには、社会保険労務士などの専門家との連携が不可欠です。
雇用契約書・業務委託契約書の再整備
新規採用時の雇用契約書には、見直し後の就業規則を正確に反映させましょう。正社員、パート、アルバイト問わず、です。
さらに重要なのが、ギグワーカーやフリーランスとの業務委託契約書。「労働者」の定義が見直される中、指揮命令関係がないことを明確にし、業務範囲や成果物、報酬を具体的に定めることで、偽装請負のトラブルを防げます。
勤怠管理システムの導入・更新
勤務間インターバルの管理、連続勤務日数のチェック、管理職を含む全従業員の労働時間把握――これらを手作業で行うのは、もう限界です。
最新の法改正に対応したクラウド型の勤怠管理システムを導入することが、最も現実的な解決策でしょう。システム化によって、人事担当者の負担が軽減され、コンプライアンスも確実に守れます。
法改正を乗り越えるための「経営戦略的対応」として、守りのコンプライアンス対応に留まらず、これを機に企業の競争力を高めるための攻めの施策が重要です。
人件費インパクトの試算と収支計画の見直し
まずは現状把握から。法改正が自社の割増賃金や必要人員数にどれだけ影響するか、具体的にシミュレーションしてください。
この数字は、単にコスト増を知るためのものではありません。業務プロセスの見直しの必要性や、新たな収支計画・予算策定の根拠となる重要なデータです。
DX推進による業務プロセスの見直しと生産性向上
人件費が増えても、企業が成長を続けるには? 答えは一つ、生産性の向上です。
具体的な施策は以下の通りです。
場合によっては、不採算事業からの撤退も視野に入れる必要があるかもしれません。聖域なき見直しが、今こそ求められています。
新たな労働時間制度に対応する人員配置計画の策定
特にシフト制を敷いている企業では、現行の人員配置のままでは業務が回らなくなる可能性があります。
対策として、以下を検討しましょう。
これにより、法改正後も安定した事業運営が可能になります。
法改正に備える採用戦略

2026年の労働基準法改正により、働き方が大きく変わります。「今の人数で業務が回るのか?」「どんな人材を、いつ、何人採用すべきか?」法改正を見据えた採用計画の策定から即戦力人材の紹介まで、私たちがサポートします。
まずはこちらから無料相談
2026年に施行が見込まれる労働基準法の大改正は、突然現れたものではありません。これは、働き方改革関連法の施行から続く一連の法改正の大きな流れの中に位置づけられます。
これらの関連法改正と2026年の労働基準法改正が重なることで、日本企業の働き方は大きく変わるでしょう。
2026年の労働基準法改正は、確かに企業にとって「課題」です。
しかし同時に、自社の働き方や組織を根本から見直し、生産性を高める絶好の「機会」でもあります。
この法改正への対応を、単なるコスト増と捉えないでください。DXの推進や業務プロセスの抜本的な見直しを通じて、「一人当たりの粗利益をどう向上させるか」――そんな経営の本質的な課題に取り組む契機としてください。
法令遵守は当然の前提。でもこれからの時代は、より働きやすい環境を構築し、生産性を高めた企業が、優秀な人材を獲得し、成長競争で優位に立ちます。本格的な準備は2025年から始まる見込みです。今から情報収集を進め、自社にとって最適な戦略を立案しましょう。
法改正を前向きに捉え、持続的な企業成長へとつなげていく――そんな一歩を、今日から踏み出しませんか?
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