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公開日2026.08.03更新日2026.08.03

【2026年6月度】採用市場動向レポート:正社員倍率1.00倍へ回復、IT技術者求人は前年比148.9%増

【2026年6月度】採用市場動向レポート:正社員倍率1.00倍へ回復、IT技術者求人は前年比148.9%増

最新の公的統計および求人広告掲載件数に基づき、2026年6月度の採用市場動向を解説します。
2026年6月の労働市場では、正社員有効求人倍率が1.00倍へ上昇し、2か月ぶりに1倍台を回復しました。また、総務省の労働力調査では就業者数が5か月連続、雇用者数が52か月連続で増加するなど、マクロ指標からは雇用の底堅さがうかがえます。
一方、求人広告掲載件数を見ると、すべての職種で採用需要が一様に回復しているわけではありません。正社員求人全体は前年同月比18.6%増となりましたが、IT技術者などで大きく増加する一方、事務職では前年同月比41.2%減となるなど、職種による差が鮮明になっています。
本レポートでは、公的統計による労働市場全体の動きと、求人広告掲載件数から見える企業の採用活動を整理し、2026年後半の採用計画を考えるうえで押さえておきたいポイントを解説します。

求人倍率と平均時給から見る最新の採用マーケット動向

各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート

目次

  • 【最新版】有効求人倍率について
  • 【最新版】職種別有効求人倍率につい
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2026年6月 採用市場の3つのキーポイント

2026年6月の採用市場において、戦略立案の鍵となる動向は以下の3点に集約されます。

  1. 正社員有効求人倍率1.00倍へ回復。マクロ求人数の持ち直し
    • 有効求人倍率(季節調整値):1.18倍(前月比 +0.01ポイント上昇)
    • 正社員有効求人倍率(季節調整値):1.00倍(前月比 +0.01ポイント上昇)
  2. 正社員有効求人倍率は1.00倍となり、求人数と求職者数がほぼ同水準となりました。新規求人数も前年同月比3.1%増に転じており、ハローワーク市場では求人需要に持ち直しの動きが見られます。

  3. 就業者・雇用者の連続増加と、非正規雇用の「形態別シフト」
    • 就業者数(原数値):6,890万人(前年同月比 +17万人増加、5か月連続増)
    • 正規の職員・従業員(原数値):前年同月比 +21万人増加(32か月連続増)
    • 非正規の職員・従業員(原数値):前年同月比 +20万人増加(3か月連続増)

    雇用基盤は堅調ですが、非正規の内訳を見るとパート(+13万人)やアルバイト(+15万人)が増加する一方で、契約社員(▲7万人減)や嘱託(▲4万人減)は減少しています。企業が有期契約リスクを避け、流動性の高いパート・アルバイトへシフトさせている構造がうかがえます。

  4. 職種別の需要二極化:IT技術者1.4倍増 vs 事務職4割減
    • 専門(IT技術者):正社員で前年同月比 +148.9%の大幅増加(597,725件)
    • 事務職(正社員):前年同月比 ▲41.2%の大幅減少(158,866件)

    求人広告市場では、DX推進や生成AI利活用に伴うITエンジニア獲得競争が激化している一方、定型的な事務職の求人は4割減と手控えが続いており、職種間の需要格差が顕著になっています。

【マクロ分析】公的統計データから見る労働市場の全体像

この章では、厚生労働省および総務省が発表した公的統計から、日本全体の労働市場における需給構造の現状を分析します。

【全体】有効求人倍率・完全失業率の推移

2026年6月の主要マクロ指標は、長引く調整局面から脱し、やや改善する動きを見せています。

項目 2026年6月(季節調整値) 前月差(ポイント) 前年同月差(原数値)
有効求人倍率(全体)



1.18倍 +0.01 ▲0.04
正社員有効求人倍率 1.00倍 +0.01 ▲0.02
新規求人倍率 2.16倍 +0.05 ▲0.02
完全失業率(全体) 2.5% 0.0 (横ばい) 0.0

有効求人倍率は1.18倍となり、月間有効求人数(前月比+0.9%増)に対し、月間有効求職者数が減少(▲0.1%減)したため、実質的な需要回復を伴う上昇と言えます。正社員有効求人倍率の1.00倍回復は、企業側のコア人材採用意欲が冷え込んでいないことを示しています。
一方、完全失業者数(原数値)は178万人で前年同月比+2万人増(11か月連続増)となりました。求職理由別に見ると、「勤め先や事業の都合による離職(22万人、前年比+3万人増)」や「新たに求職(48万人、同+3万人増)」が微増しており、業績調整による離職と生活防衛目的の参入が混在している状況と推察されます。

【雇用形態別】正規の安定成長と非正規の「二極分解」

就業者および雇用者数の動向(原数値)からは、企業の雇用維持の姿勢とリスク回避戦略が明確に読み取れます。

  1. 就業者数:6,890万人(前年同月比 +17万人増加、5か月連続増)。
  2. 正規の職員・従業員:3,741万人(前年同月比 +21万人増加、32か月連続増)。
  3. 非正規の職員・従業員:2,157万人(前年同月比 +20万人増加、3か月連続増)。

雇用者全体(6,245万人、前年比+40万人増)は順調に拡大していますが、非正規雇用の内訳には偏りが見られます。

非正規の雇用形態 2026年6月実数 前年同月比 特徴
パート 1,062万人 +13万人増 主力労働力として増強継続
アルバイト 484万人 +15万人増 現場・サービス要員として増加
労働者派遣 162万人 +11万人増 調整弁・即戦力として活用増加
契約社員 266万人 ▲7万人減 直接雇用の有期契約は縮小
嘱託 104万人 ▲4万人減 シニア等の有期契約も減少傾向

既存の正社員(固定費)を維持しつつ(+21万人)、現場の欠員にはパート・アルバイトや派遣社員で対応する一方、中長期の雇用契約リスクを伴う「契約社員」を減らす(▲7万人)など、企業のリスク回避姿勢が読み取れます。

【産業別】新規求人(ハローワーク)の動向

ハローワークにおける産業別の新規求人(原数値)は、全体で前年同月比 +3.1%となり、前月までのマイナス傾向からプラスへと転じました。

産業分類 2026年6月新規求人数(人) 対前年同月増減率(%)
サービス業(他に分類されないもの) 121,967 +11.5%
製造業 78,414 +10.4%
宿泊業,飲食サービス業 64,778 +5.4%
建設業 74,744 +3.2%
医療,福祉 208,556 +2.4%
卸売業,小売業 87,590 ▲2.6%
情報通信業 20,820 ▲6.4%

ハローワークでは情報通信業の新規求人が前年同月比6.4%減となった一方、後述する有料求人広告ではIT技術者の求人が大幅に増加しています。集計対象や職種分類が異なるため単純比較はできませんが、ITエンジニアなどの専門職採用において、企業が民間求人媒体を積極的に活用している可能性がうかがえます。

【ミクロ分析】求人広告掲載件数から見る企業の採用活動の実態

2026年6月の求人広告掲載件数(全体)は2,535,229件(前月比 +1.5%、前年同月比 +6.4%)となりました。全体件数はプラスに転じましたが、その内訳は極めて尖った二極化を示しています。

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出典:全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」

雇用形態別の求人広告動向:正社員求人の「集中」とアルバイト広告の「手控え」

求人広告のクロス集計(職種×雇用形態)を見ると、前年比で大きなねじれが発生していることが分かります。

雇用形態 2026年6月件数 前月比 前年同月比 占有率
正社員 1,647,943件 +3.0% +18.6% 65.0%
アルバイト・パート 760,211件 ▲1.7% ▲12.9% 30.0%
契約社員他(全体ベース) 123,446件 +1.9% +0.4% 5.3%

民間広告市場では、正社員向けの求人が前年同月比 +18.6%と大幅な伸びを見せています。ただし、この増加にはIT技術者など一部職種の大幅な伸びが強く影響しており、すべての職種で正社員採用が拡大しているわけではありません。

一方で、アルバイト・パート向けの求人広告は前年同月比 ▲12.9%と二桁の減少が続いています。マクロ統計ではアルバイト・パートの就業者数が増えている一方、有料求人広告の掲載件数は減少しています。この背景としては、既存人員の定着によって新規募集が抑えられていることや、自社採用サイト、店頭告知、リファラル、SNSなど、有料求人広告以外の募集手段が活用されている可能性が考えられます。

また、契約社員他の広告件数は前年同月比0.4%増となり、正社員やアルバイト・パートとは異なる動きを示しました。一定期間の人員確保や、即戦力人材の採用ニーズが継続している可能性があります。

【職種別】採用ニーズの「過熱と冷凍」:ITの猛威と事務の縮小

職種別の正社員求人掲載件数を分析すると、企業のデジタル投資への傾斜と、定型業務の縮小がかつてない規模で進行していることが明らかになります。

【正社員:前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 専門(IT技術者) +148.9%(597,725件)
2. 建設・採掘 +26.2%(116,360件)
3. 専門(金融・法務専門職) +18.2%(2,854件)
4. 販売(販売) +17.1%(114,481件)


【正社員:前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 事務 ▲41.2% 減(158,866件)
2. 専門(技術者・研究者) ▲25.9% 減(67,337件)
3. 専門(その他専門職) ▲8.9% 減(19,665件)

【分析と考察】

  • IT技術者の狂乱的需要(1.48倍増):正社員の「専門(IT技術者)」は597,725件となり、前年同月比148.9%増加しました。正社員求人全体1,647,943件の3割を超えており、正社員求人全体の増加にIT技術者の求人が大きく影響していることが分かります。ただし、この数字には求人媒体の集計方法や掲載形態の影響も考えられるため、IT人材の採用人数そのものが同じ割合で増えているとは限りません。それでも、企業のIT人材に対する募集ニーズが他職種と比べて高いことは読み取れます。
  • 事務職の構造的冷え込み(▲41.2%減):事務職の正社員求人は158,866件となり、前年同月比41.2%減少しました。業務効率化や生成AI、RPAの活用拡大に加え、欠員補充の抑制や採用計画の見直しなど、複数の要因が影響している可能性があります。企業が定型的な事務業務の人員配置を慎重に見直していることがうかがえます。
  • 建設・現場職の強いニーズ(+26.2%増):インフラ整備や再開発を背景とした「建設・採掘(正社員+26.2%)」は依然として強い求人意欲を保っており、代替不能な現場労働力に対する強い投資意欲が継続しています。

地域別動向と平均賃金の継続上昇

地域別の求人広告件数(全国計:2,363,160件、前年比 +6.4%)を見ると、全地域ブロックで前年比プラスを記録しています。

地域ブロック 2026年6月件数 前月比 前年同月比 備考
北海道・東北 151,442件 ▲3.8% +8.6% 前月比は一時的に減少
関東・甲信越 1,052,552件 +3.5% +5.4% 都市圏でのIT求人が牽引
中部・北陸 342,885件 +0.5% +7.6% 製造・建設需要が底堅い
近畿 428,995件 +3.7% +4.5% プラス圏を維持
中四国 174,851件 ▲2.5% +19.3% 徳島(+57.7%)等の急増が影響
九州・沖縄 212,434件 ▲2.7% +2.9% 緩やかな増加を維持

特に中四国は前年同月比19.3%増と、地域ブロックの中で最も高い伸びを示しました。徳島県は57.7%増、鳥取県は46.8%増、島根県は45.3%増となっており、一部の県で求人広告掲載件数が大きく増加しています。背景については、各地域の産業動向や大型採用の有無などを含め、今後の推移を確認する必要があります。

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