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公開日2026.10.07更新日2026.10.15

【2026年8月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、正社員倍率1.00倍とIT技術者求人「4.1倍増」が示す採用ニーズの偏り

【2026年8月度】採用市場動向レポート:有効求人倍率1.18倍、正社員倍率1.00倍とIT技術者求人「4.1倍増」が示す採用ニーズの偏り

最新の公的統計および求人広告掲載件数の実数データに基づき、2026年8月度の採用市場の全体像を解説いたします。
厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、正社員有効求人倍率は1.00倍と、ともに前月と同水準となりました。また、総務省の労働力調査では完全失業者数が13か月ぶりに前年同月比で減少するなど、雇用環境には一定の底堅さが見られます。

一方、民間求人媒体の動向を見ると、正社員求人は前年同月比+45.8%増と大きく増加しています。ただし、その内訳を職種別に確認すると、「専門(IT技術者)」が前年比4.1倍(+308.1%増)へと急増する一方、事務職や技術者・研究者などでは減少が続いています。

全体の数字だけを見るのではなく、どの職種・雇用形態に採用ニーズが集中しているのかまで確認することが、現在の採用市場を読み解くうえで重要になっています。

求人倍率と平均時給から見る最新の採用マーケット動向

各都道府県・職種別の有効求人倍率レポート

目次

  • 【最新版】有効求人倍率について
  • 【最新版】職種別有効求人倍率につい
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2026年8月 採用市場の3つのキーポイント

2026年8月の採用市場で押さえておきたいポイントは、以下の3点です。

 

  1. 有効求人倍率1.18倍、正社員倍率1.00倍。マクロ指標は横ばい
  • 有効求人倍率(季節調整値):1.18倍(前月と同水準)
  • 正社員有効求人倍率(季節調整値):1.00倍(前月と同水準)

ハローワークにおける正社員の求人と求職のバランスを示す倍率は1.00倍となっています。マクロデータ上では、労働需給が急激に引き締まる、あるいは緩むといった大きな変化は見られず、横ばいの状態が続いています。

  1. 完全失業者は13か月ぶり減少、雇用者数は引き続き増加
  • 完全失業者数(原数値):180万人(前年同月比 ▲2万人減少、13か月ぶりの減少)
  • 正規の職員・従業員(原数値):3,735万人(前年同月比 +24万人増加、34か月連続増)
  • 非正規の職員・従業員(原数値):2,126万人(前年同月比 +15万人増加、5か月連続増)

雇用者数も6,213万人、前年比+39万人増となり、54か月連続で増加しています。また、「勤め先や事業の都合による離職」は▲2万人減となっており、企業都合による離職が大きく増加している状況ではありません。

  1. 職種による差が拡大。IT技術者求人4.1倍増、事務職は3割減
  • 専門(IT技術者):正社員で前年同月比 +308.1%(761,098件)
  • 輸送・機械運転:正社員で前年同月比 +45.1%(213,421件)
  • 事務職(正社員):前年同月比 ▲33.4%(147,332件)
  • 専門(技術者・研究者):正社員で前年同月比 ▲19.3%(72,045件)

求人市場全体が一様に拡大しているわけではなく、特定の職種へ求人が集中する傾向が一段と鮮明になっています。

【マクロ分析】公的統計データから見る労働市場の全体像

ここからは、厚生労働省および総務省が発表した公的統計から、日本全体の労働需給について詳しく見ていきます。

【全体】有効求人倍率・完全失業率の推移

2026年8月のマクロ指標は、需給の均衡状態が維持されていることを示しています。

指標(季節調整値) 2026年8月 2026年7月 前月比(差) 前年同月差(原数値)
有効求人倍率(全体)



1.18倍 1.18倍 0.00 ▲0.02
正社員有効求人倍率 1.00倍 1.00倍 0.00 0.00
新規求人倍率 2.06倍 2.10倍 ▲0.04 ▲0.09
完全失業率 2.5% 2.4% +0.1 0.00
20260801

有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍と前月と同水準でした。月間有効求人数(季節調整値)は前月比+0.7%増、月間有効求職者数も+0.7%増となっており、求人・求職の双方が同じペースで増加したため、倍率は横ばいとなっています。

一方、新規求人倍率(季節調整値)は2.06倍と前月から0.04ポイント低下しています。足元の求人と求職のバランスは大きく変わっていないものの、新たな求人の動きにはやや鈍化が見られます。

完全失業率(季節調整値)は2.5%と前月比+0.1ポイント上昇しました。ただし、原数値で見た完全失業者数は180万人、前年同月比▲2万人減となり、13か月ぶりに前年同月を下回っています。
求職理由別では、「勤め先や事業の都合による離職」が23万人(前年比▲2万人減)、「新たに求職」が45万人(前年比▲2万人減)となった一方、「自発的な離職(自己都合)」は84万人(前年比+4万人増)となりました。

企業都合による離職が増えているというよりも、より良い待遇や職場環境を求め、自ら転職・求職活動を行う人の動きが続いている可能性が考えられます。

【雇用形態別】正規・非正規ともに増加、内訳には変化も

就業者および雇用者の動向を見ると、正規・非正規ともに前年を上回っています。

  • 就業者数:6,849万人(前年同月比 +14万人増加、2か月ぶりの増加)。
  • 正規の職員・従業員:3,735万人(前年同月比 +24万人増加、34か月連続の増加)。
  • 非正規の職員・従業員:2,126万人(前年同月比 +15万人増加、5か月連続の増加)。

雇用者数も6,213万人、前年比+39万人増となっており、雇用全体としては増加基調が続いています。

一方、非正規雇用の内訳を見ると、雇用形態によって動きが異なります。

非正規の雇用形態 2026年8月実数 前年同月比 特徴
パート 1,021万人 +1万人増 主力パート層の維持
アルバイト 483万人 +4万人増 現場・店舗要員として微増
労働者派遣 152万人 +4万人増 外部即戦力リソースの活用
契約社員 283万人 ▲1万人減 直接雇用のフルタイム有期契約は減少
嘱託 103万人 ▲4万人減 シニア層等の契約更新厳選

「契約社員(▲1万人減)」や「嘱託(▲4万人減)」が減少する一方、「派遣社員(+4万人増)」や「アルバイト(+4万人増)」は増加しています。
これだけで企業全体の雇用方針を断定することはできませんが、正社員を増やしながらも、業務内容や必要な期間に応じて複数の雇用形態を使い分ける動きが表れている可能性があります。

【産業別】新規求人は全体で前年同月比▲3.4%

ハローワークにおける産業別の新規求人(原数値)は、全体で前年同月比 ▲3.4%減(718,656人)となりました。

産業分類 2026年8月新規求人数(人) 対前年同月増減率(%)
製造業 70,109 +3.9%
情報通信業 21,359 +3.3%
サービス業(他に分類されないもの) 104,786 +0.9%
医療,福祉 203,933 ▲2.4%
建設業 61,965 ▲3.5%
教育,学習支援業 10,951 ▲3.6%
運輸業,郵便業 40,325 ▲4.7%
卸売業,小売業 81,961 ▲10.2%
宿泊業,飲食サービス業 46,294 ▲11.1%

製造業(+3.9%)や情報通信業(+3.3%)では前年を上回る一方、卸売・小売業(▲10.2%)、宿泊・飲食サービス業(▲11.1%)では二桁の減少となっています。
産業によって求人動向に明確な差が生じており、採用市場を把握する際には全体平均だけではなく、自社の属する業界の動きを個別に確認する必要性が高まっています。

【ミクロ分析】求人広告掲載件数から見る企業の採用活動の実態

続いて、全国求人情報協会が集計した民間求人媒体のデータから、企業の求人広告出稿の動きを確認します。
2026年8月の求人広告掲載件数(全体計)は2,751,842件(前月比 +5.4%、前年同月比 +21.5%)となりました。公的統計では新規求人に弱さが見られる一方、民間求人広告では掲載件数が大幅に増加しています。

20260802

雇用形態別では正社員求人が大幅増

雇用形態別(職種×雇用形態クロス集計)の求人広告件数は以下の通りです。

雇用形態 2026年8月広告件数 前月比 前年同月比 占有率
全体計 2,751,842件 +5.4% +21.5% 100.0%
正社員 1,893,866件 +8.1% +45.8% 68.8%
アルバイト・パート 725,824件 ▲0.5% ▲11.5% 26.4%
契約社員他 128,075件 +3.6% ▲12.5% 4.7%

マクロ統計では非正規雇用者が+15万人増えている一方、有料求人広告におけるアルバイト・パート求人は前年同月比▲11.5%となっています。
この乖離の背景には、自社採用サイト、SNS、店舗での直接募集、リファラルなど、求人広告以外の採用チャネルが利用されている可能性も考えられます。求人広告掲載件数だけでは採用活動全体を把握できない点には注意が必要です。

一方、正社員求人は前年同月比+45.8%と大きく増加しています。ただし、職種別に見ると、この増加はすべての職種に共通しているわけではありません。

【職種別】IT技術者が大幅増、事務・技術者・研究者は減少

正社員求人を職種別に見ると、採用ニーズの違いがより明確になります。

【正社員:前年同月比で件数が大幅に「増加」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 専門(IT技術者) +308.1%(761,098件)
2. 輸送・機械運転 +45.1%(213,421件)
3. 建設・採掘 +27.3%(133,428件)
4. 専門(金融・法務専門職) +25.2%(3,166件)


【正社員:前年同月比で件数が大幅に「減少」した職種】

職種 前年同⽉⽐
1. 専門(保育士・教員等) ▲42.0% 減(55,631件 ※AP中心に減少)
2. 事務 ▲33.4% 減(147,332件)
3. 専門(技術者・研究者) ▲19.3% 減(72,045件)
4. 販売(営業) ▲2.0% 減(143,783件)

特に「専門(IT技術者)」は前年同月から約4.1倍(+308.1%増、761,098件)となり、正社員求人全体の約40%(40.2%)を占めています。

正社員求人全体が+45.8%増となっている背景には、IT技術者の求人増加が大きく影響していると考えられます。そのため、「正社員市場全体が一様に活発化している」と見るより、特定職種への求人集中が進んでいると捉える方が実態に近いでしょう。

一方、事務職は▲33.4%減、専門(技術者・研究者)は▲19.3%減となりました。生成AIや業務効率化との関連も考えられますが、このデータだけで減少要因を特定することはできません。企業の業務効率化や採用計画、投資配分など、複数の要因が影響している可能性があります。

また、「輸送・機械運転(正社員+45.1%)」や「建設・採掘(正社員+27.3%)」も大きく増加しています。IT分野だけでなく、輸送や建設などの現場を支える人材についても、引き続き強い採用ニーズがあることがうかがえます。

【地域別】すべての地域で前年を上回り、中四国が+46.5%

地域別の求人広告件数(全国計:2,582,020件ベース、前年同月比 +22.2%)を見ると、すべての地域ブロックで前年同月を上回りました。

地域ブロック 2026年8月件数 前月比 前年同月比
北海道・東北 169,305件 +10.1% +30.7%
関東・甲信越 1,151,066件 +6.3% +19.1%
中部・北陸 356,733件 +1.0% +16.6%
近畿 484,387件 +6.5% +21.5%
中四国 190,598件 +6.1% +46.5%
九州・沖縄 229,932件 +5.6% +26.7%

中でも中四国は前年同月比+46.5%と大きく増加しています。都道府県別では、秋田(+83.7%)、山形(+93.4%)、富山(+38.4%)、石川(+50.6%)、徳島(+102.0%)、高知(+91.2%)、佐賀(+60.4%)、長崎(+48.4%)などで高い伸びが見られました。

前月比では全地域がプラスとなっていますが、単月の動きには季節要因も含まれる可能性があります。一方で、前年同月比でもすべての地域がプラスとなっていることから、民間求人広告市場では地域を問わず一定の求人増加が確認できます。

ただし、全国データと同様、特定の職種や企業による大量出稿が地域別の数字を押し上げる可能性もあります。地域全体の採用環境を判断する際には、職種・雇用形態まで分けて確認することが重要です。

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