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シニア採用・活用
日本の労働市場は少子高齢化が進行し、「令和5年版厚生労働白書」によると、2020年には労働力人口に占める60歳以上の割合が21.2%に達しています。つまり、現在は労働者の5人に1人が高齢者という時代を迎えています。さらに、2025年4月からは「65歳までの雇用確保」が完全に義務化されます。
こうした状況を受けて、多くの企業がシニア・中高年の採用や活用に注目しています。
しかし、シニア・中高年を新たに採用すると、既存社員との関係や職場の雰囲気に変化が生じる可能性もあります。そこで、今回の記事では、シニア・中高年を採用する際に既存社員へ配慮すべきポイントについて詳しく解説します。
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若年層の労働人口が減少する中、シニア世代の労働力活用が注目を集めています。「シニア求人ナビ」はシニア向け求人に特化したお仕事情報サイトとして、様々な求人情報を掲載しています。
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シニアや中高年の雇用や活躍が進む中、シニア層を採用することのメリットとして以下の3つの点が考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
「高齢者のキャリア採用の目的」を調査したアンケート結果によると、「熟練した技術や知見に対する期待」が64%、次に「社会的信用や人脈に対する期待」が36%、同じく「経営やマネジメントの経験に対する期待」が36%となっています。
長年のキャリアを通じて、シニア・中高年人材が培ってきた技術や知見、人脈などは、企業にとって非常に貴重な財産となります。
また、経験豊富なスタッフがいることで、顧客に安心感を与え、信頼を得やすいというメリットもあります。
特に、シニア・中高年が獲得したノウハウや成功事例を次世代へ継承していくことは、組織全体のレベルアップにつながるのです。
豊富な経験を持つシニア・中高年は、若手や既存社員とは異なる知識や視点を持ち合わせています。そこで、若手とシニア・中高年が協働し、世代間で異なる価値観や発想を持ち寄ることで、新たなアイデアの創造が期待されます。
よって、世代間の相互作用に着目し、シニアの知識や経験を活かすことで、イノベーションや新たな価値創造につなげることができるのです。
シニア・中高年の採用は、労働力不足解消の有効な手段とされています。
日本では急速に少子高齢化が進んでおり、内閣府の「令和6年版高齢社会白書」では、2060年の65歳以上人口割合は約38%、日本人の約4割が高齢者になると推計されています。
そして、人手不足に陥る企業の割合は、年々増加傾向にあり、2023年の人手不足を要因とした倒産は260件で、過去最多を大幅に更新しています。
今後さらに若手人材の採用・確保が困難になる状況を考えると、シニア・中高年の人材を採用することは、人材不足の解消に有効であり、少子高齢化の時流からも必然と言えるでしょう。
シニア・中高年の採用がもたらすメリットの詳細に関しては、以下の記事も併せてご確認ください。
シニア・中高年の人材採用は前述のようなメリットがある一方で、以下のような既存社員への影響も想定され、配慮も必要となります。
シニア・中高年と既存社員の間には、世代間の価値観やコミュニケーションスタイルの違いが存在します。
例えば、シニア層は口頭でのコミュニケーションや対面でのやり取りを重視する一方で、若い世代はメールやチャットツールを使った迅速なやり取りを好む傾向があります。
また、シニア・中高年の採用に際して「年上の新人スタッフにどう接したらいいのか困惑する」といった既存社員の声をよく耳にします。
せっかくシニア・中高年人材を採用できても、若手とのコミュニケーションや関わり方に困難やトラブルが生じ、業務が滞ってしまうことは本意ではありません。そういった場合、いかに世代間ギャップを解消し、新たな環境に順応してもらうかが課題となってきます。
世代を超えたコミュニケーションの促進方法は後述します。
シニア・中高年の採用は、既存社員の役職や業務内容との重複を引き起こす可能性があります。
例えば、新たに採用したシニアスタッフがリーダーシップを取ることになると、既存社員が自分のポジションが脅かされると感じることがあります。また、業務の範囲が不明確な場合、誰がどの仕事を担当するかが曖昧になり、業務効率の低下や責任の押し付け合いが発生することもあります。
このような摩擦を避けるためには、採用前にシニア・中高年の役割と責任を明確にし、既存社員との調整を行うことが重要です。それぞれのポジションが不明確で、組織の管理体制が崩れてしまうと、オペレーションに支障をきたす可能性も出てくるので注意が必要です。
新たにシニア・中高年が加わることで、職場やチームの雰囲気が変わり、既存社員のモチベーションに影響を与える場合があります。
例えば、シニア層が高い専門性や豊富な経験を持っている場合、既存社員が自身のキャリアやスキルに対して不安を感じることがあります。この不安感がモチベーションの低下や職場内の緊張を生むことにつながる場合があります。
パーソル総合研究所の調査によると、シニア・中高年社員の「仕事の不透明さ」「疎外状況」がある職場では、若年者の転職意向が高くなることが分かりました。一方で、シニア・中高年社員の職場での活躍は、若年社員の転職意向を抑制する効果があることが判明しています。
シニア中高年を採用した際の既存社員への影響を解説しましたが、それでは実際にどのような配慮が必要でしょうか。具体的には、以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
シニア・中高年層と若手層の世代間でのコミュニケーションを活発にすることは、円滑な組織づくりへのきっかけになります。
その一例が、以下のような取り組みです。
1on1とは、チームリーダーとメンバーで1対1のミーティングを行うことです。メンバー一人ひとりの意見を吸い上げ、働き方や課題、不安要素、人間関係など、個人に焦点を当ててコミュニケーションを行います。
ワークショップでは、チームメンバー同士の会話も自然と増え、コミュニケーション促進につなげられます。特にチームビルディングワークショップは、チームメンバーの協力とコラボレーションを強化するものです。信頼関係を構築し、コミュニケーションスキルを向上させることで、パフォーマンスを向上させる方法を学べます。
メンタリングとは、人材育成手法の一つで、先輩社員がメンターとなり、後輩社員(メンティ)に助言を行います。メンタリングによるコミュニケーションで、メンターと相互理解を深めたメンティは、職場に早く馴染めるようになります。メンターをきっかけに他の社員ともつながりができ、社内全体に良好な関係が広がります。結果、社内コミュニケーションの活性化につなげることができます。
「仕事のナレッジ」と、その裏側にある「仕事への考え方、思い、こだわり」についてメンバー間で共有します。そこで、シニア・中高年社員の経験や考え方が、組織や周囲に役に立つことを、若手との交流を通じて実感してもらうことが大切です。
先述したように、シニア・中高年社員の役割を明確にし、既存社員との重複を避けましょう。それぞれの人材が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、職域をセグメント化し、適材適所へ配置するなどの調整が、場合によっては必要になります。
また、仕事内容やワークフローを可視化することで、個々人の「やるべきこと」が明確になり、持ち味や強みを活かすことができます。
加えて、責任範囲の明示と適切な評価制度の導入によって、既存社員の業務に対するモチベーションを下げない工夫も不可欠でしょう。
シニア・中高年を採用するにあたって、フレキシブルな勤務時間の導入や身体的負担を減らすための設備や支援を提供する企業も多いと思います。そのことによって、若手・既存社員から不満の声が上がることがあるかもしれません。
しかし、シニア・中高年の雇用促進は、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する取り組みであり、結果的に既存社員を含めた全社員の働きやすい環境づくりにつながるのです。シニア社員の活躍は、会社全体にポジティブな影響をもたらすと言っても過言ではありません。会社としてシニア・中高年人材に期待していることや役割を、既存社員にしっかりと説明し、相互理解を図ることが大切になります。
この記事では、シニア・中高年の採用に際して既存社員へ配慮すべき点について解説しました。
人手不足が深刻化する日本の労働市場において、シニア・中高年の活躍は今後ますます重要になります。彼らが長年培ってきた知識や経験は、企業にとって計り知れないメリットをもたらします。
一方で、職場の環境を整え、既存社員への適切な配慮をすることは、彼らをうまく組織に融合させるために不可欠です。多様な視点を受け入れることで職場の活性化を図り、すべての社員が協力し合える環境を作り上げることが大切です。シニア・中高年の採用と活用を積極的に推進し、全社員が安心して力を発揮できる職場づくりを目指しましょう。
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