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採用事情
少子高齢化と売り手市場という2つの要因が重なり日本企業の多くは、慢性的な人手不足に陥っています。
2024年3月にリクルートが実施した調査によれば、企業規模を問わず、求人総数は前年同期と比べて増加している一方で、企業への就職希望者数の増加が追いついていないことが分かります。
従業員規模 | 求人総数の増減率(%) | 就職希望者の増減率(%) |
---|---|---|
300人未満 | +11.6% | -4.3% |
300~999人 | +5.6% | +3.5% |
1000~4999人 | +8.2% | +5.7% |
5000人以上 | +5.7% | -4.5% |
出典:株式会社リクルート「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」
そこで本記事では、中小企業のみならず大企業でも人手不足が続いている現状を、以下の3項目で解説します。
人手不足に悩む企業の採用担当者の方には必見の内容です。人手不足を解消すると共に企業の持続可能な成長を実現し、従業員一人ひとりが働きやすい職場環境を整えるためのアプローチとして役立ててください。
人手不足に悩む採用担当者の方
内藤一水社では、多岐にわたる採用活動をサポートしてきた経験と実績をもとに、人手不足に悩む採用担当者様の採用課題に合わせた最適な採用プランのご提案をいたします。
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日本では深刻な人手不足が多くの企業や業界に影響を与えています。この問題の背景には、日本社会が抱える多様な要因が関与しています。
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
日本では出生率の低下とともに高齢化が進むことで、労働人口の減少は年々急速に進行しています。内閣府のデータによると、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少に転じ、総人口も2008年をピークに減少しています。
さらに推計では、2065年には労働人口は約4,529万人となり、ピーク時の1995年と比較すると約52%まで減少する見込みです。
2025年には、団塊世代が75歳以上に突入することによって起こる「2025年問題」も待ち構えています。少子高齢化に関する労働人口減少は、今後更に深刻なものとなり、働き手を確保することが益々困難になるでしょう。
非正規雇用者の人数は、2010年以降増加しています。リモートワークが普及した2020~2021年ごろに1度減少しますが、2022年以降にはふたたび増加に転じました。
出典:厚生労働省「『非正規雇用』の現状と課題」
非正規雇用者が増加している主な理由としては、以下の4点が挙げられます。
非正規雇用の増加は、短期的には人件費を抑えるためのコスト削減手段として企業にメリットをもたらすかもしれません。しかし、長期的に見ると労働力不足や業務の質の低下を招く可能性が高く、経営に大きなリスクを及ぼす可能性があります。
実際、企業側からすると退職しやすく、責任ある仕事を任せにくい人材が増えるのは大きなデメリットです。長期的に責任ある仕事を任せられる人材を育成するには、非正規雇用者の雇用形態の見直しや、明確なキャリアパスを提供するなど、長期的視野での対策が求められます。
終身雇用が一般的であった90年代以前と比較して、現代では転職は一般的なものになっています。転職を繰り返す労働者は増加しており、若年層ほどその流れは顕著です。
転職の一般化は、企業から見るとデメリットの方が大きくなります。労働力の流出につながりやすく、新たな雇用を生み出すのにも採用コストがかかるためです。
転職による人材流出を防ぐには、待遇や福利厚生、労働形態の見直しなどが重要です。
具体的には、職場環境の改善や労働条件の明確化、従業員がキャリアアップの道を描けるような社内教育プログラムの拡充が挙げられます。また、社員の定着率を向上させるために福利厚生の充実やワークライフバランスの実現も重要になるでしょう。
業界別の有効求人倍率を比較すると、人材不足と人材過剰の業界が2極化しているのが分かります。
出典:株式会社リクルート「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」
上記のグラフからは、建設業や製造業など肉体労働が多い業界では深刻な人材不足が進む一方、金融業やサービス業、情報通信業などでは人材が過剰となっている現状が読み取れます。
これは企業と求職者の間で求める人材や条件にミスマッチが生じているためです。求人を出しても条件に該当しなければ、求職者に求人が届くことはありません。
労働力不足に加え、雇用条件と求職者の希望のミスマッチが相まって、慢性的な人手不足を引き起こしていることは大きな課題となっています。
現代の採用市場の主役である、いわゆる「Z世代」は、今までの世代とはまったく異なる価値観を持つ人材が多くいます。そのため、企業の採用担当者は、Z世代の心をつかむために頭を悩ませています。
Z世代が持つ独特な価値観は、たとえば以下のようなものです。
今後の採用市場では、Z世代に合わせたアプローチを行える企業こそが人材不足を解消し、競争に勝利できます。Z世代の価値観や求めるものを詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
人手不足が企業に与える悪影響は、大きく分けて以下の3つです。
人手不足が起こると1人あたりの業務負担が増加し、作業効率が低下します。一人ひとりが自分の業務に集中できなくなると、会社全体の生産性に悪影響を及ぼすでしょう。
例えば、5人でやるべき案件を2人で行う場合、1人あたり2.5倍の労働力が必要です。急な人手不足が起こった際に、1人に2.5倍の業務負担を強いるのは難しいでしょう。
非現実的な業務負担は、製品やサービスの質の低下、納期の遅れを引き起こすリスクが高くなります。結果、取引先や顧客からの信頼を損なう要因となり、売上の低下につながるため注意が必要です。
過剰な業務負担が発生すると、従業員一人ひとりに疲労やストレスが集中します。従業員に過労を強いれば、業務へのモチベーションは大きく低下し、作業効率の低下を引き起こすでしょう。
モチベーションの低下は、円滑なコミュニケーションも阻害します。一人ひとりの心の余裕がなくなり、従業員同士の関係も悪化する恐れがあります。
最終的にモチベーションのみならず、健康を害する従業員が出てくるかもしれません。従業員の健康管理の面でも、人手不足は解消すべき問題です。
労働環境や待遇、従業員同士の関係悪化は、最終的に従業員の離職につながります。
人手不足により残業や休日出勤が増加すると、ワークライフバランスが崩壊します。仕事へのモチベーションが低下した従業員の中には、離職を考える人間も出てくるでしょう。
従業員の離職は、さらなる人手不足を引き起こす悪循環を生みだします。最終的に組織が崩壊する恐れがあるため、このような状況は絶対に避けるべきです。
企業が人手不足を解消し、適切な人材配置や働きやすい職場作りを実現するための具体的な10の対策について詳しく解説します。
一つひとつの施策がどのように課題解決に繋がるのかを理解し、対策の実施に活用してください。
人事制度を見直すことで、評価制度や昇進基準を明確にし、必要に応じて変更を加えるのは有効な対策です。特に近年、従業員の価値観やライフスタイルの変化は激しく、従来の画一的な雇用制度では対応しきれない場面が増加しています。
主に行うべき施策は、たとえば以下のようなものです。
従業員を企業の中心に据えた人事制度の見直しは、従業員のモチベーションを生み、人材の定着を促すと同時に、企業としての魅力を高めることにもつながります。これらの取り組みは、求職者に対するアピールポイントを増やし、採用活動にもプラスの影響を及ぼします。人手不足が深刻化している現代において、適切な人事制度の整備は企業の競争力を維持・強化する上でも非常に重要と言えるでしょう。
現代社会においては、多種多様な雇用形態が存在します。古くからの慣習に囚われず、さまざまな雇用形態の導入を検討することで、人材不足改善の糸口が見えてくるでしょう。
雇用形態の一例======
● 正社員
● 契約社員
● 派遣社員
● 短時間正社員
● アルバイト・パート
● 業務委託
● 高齢者雇用
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例えば、週4日勤務やフレックスタイム制、短時間正社員制度の導入は、働き方を個人の生活スタイルに合わせられる点で大きな利点があります。育児や介護と並行して働きたい人にとって、これらの雇用形態は特に魅力的に映るでしょう。
従来の正社員よりも短い時間で働ける「短時間正社員制度」については以下の記事で分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてください。
2025年には団塊世代が75歳以上になるという「2025年問題」により、今後の日本の採用市場では生産年齢人口(15〜64歳)のさらなる減少が予想されます。
よって、今後はスキルがあっても就職できない高齢の従業員の雇用先を確保することが、社会全体の課題となるでしょう。
高齢者を活用するためには、定年延長や再雇用制度の拡充が必要です。
代表的な例を挙げると『イオンリテール株式会社』では「70歳以上まで働ける企業」を掲げ、以下のような施策を導入しています。
出典:独立行政法人 JEED「事例検索 イオンリテール株式会社」
高齢者を雇用して活用できれば、企業は労働力を拡充できるうえ、多様な人材を取り入れているアピールにもなります。高齢者雇用には様々なメリットがありますので、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
職場環境の改善を図る際は、以下の点を意識して行いましょう。
職場環境を見直し、働きやすい環境を構築することで、定着率改善が期待できます。新たな人材を入れた際の早期離職防止の一環にもなるので、定期的に見直し・改善を行うべきです。
ここで挙げられるのが「伊藤忠商事株式会社」の改善例です。
伊藤忠商事では、商社特有の長時間残業が常態化していました。しかし、2013年10月に「朝型勤務制度」という労働時間の管理システムを導入し、業務効率化と従業員の意識改革を図りました。
出典:伊藤忠商事株式会社「雇用・福利厚生」
さらに、午前8時以前に出勤した社員には、インセンティブや軽食の配布といった福利厚生を充実させています。これらの取り組みと他の施策が功を奏し、2023年には労働生産性を2010年比で5.2倍にまで向上させることに成功しました。
最も、上記は伊藤忠特有の改善例であり、すべての企業に当てはまる施策ではありません。労働生産性を向上させ人手不足を解消するには、それぞれの企業に合致した職場環境の構築が重要です。
待遇や福利厚生の見直しや改善は、従業員の満足度を向上させ、人材の離職防止策として有効です。従来は主に給与や昇給制度が重視されていましたが、現在では柔軟な働き方や充実した福利厚生が求職者にとって重要なポイントとなっています。
簡単に変更はできないかもしれませんが、変えやすいところから改善することが重要です。
まずは、見直すべき部分をリストアップする必要があります。改善点を洗い出すには、以下のような方法を使いましょう。
1番気を付けたいのは、企業側が待遇や福利厚生を一方的に押し付けないこと。一方的な改変は不利益変更を引き起こす可能性があり、かえって従業員のモチベーションを下げてしまいます。
最適な待遇や福利厚生は、企業や職場単位で異なります。従業員主体で見直しを行うべきである点を留意しておきましょう。
既存の古いシステムを今一度見直し、ITやDX化の力を借りることも重要です。
システムを新しいものに刷新し業務効率化ができれば、従業員の負担も軽減します。すると、人材リソースを人の手が必要な箇所に回せるため、人手不足の間接的な改善が可能です。
IT・DX化といっても、難しく考える必要はありません。現在、紙で行っている帳簿や稟議書を電子にするだけでも、業務効率は格段に上がります。
ITやDX化は単なるコスト削減や効率化に留まりません。これらの取り組みは従業員のモチベーション向上や企業全体の競争力アップにも寄与します。時代に合わせた働き方改革の一環として、DXは企業経営における重要な柱となっています。
現代社会において、必要とされる知識やスキルの変化は著しいものとなっています。対策を行わなければ、古い知識やスキルでは、時代の変化についていけなくなってしまうでしょう。
この問題を解決するのに最適なのが「学び直し(リスキリング)」です。リスキリングとは、現在の職業や職種と異なる分野の知識やスキルを身につけられるように、企業が従業員に働きかけることを指します。
例えば、デジタルスキルが不足している従業員にデータ分析やプログラミングなどの技術を習得させる企業が増えています。また、製造業ではAI技術やロボットプログラムの操作スキルを教え込むことで生産ラインの効率を向上させる成功事例も見られます。
リスキリングを実施すれば、さまざまな領域に精通した人材の育成が可能です。人材が不足している業務を担える人材を育成できれば、人材不足を補えます。
50代以上のシニア層へリスキリングを施すことで、高齢者雇用を確立することも可能です。学ぶ意欲のある人材には積極的にリスキリングを施せば、モチベーション維持の一環にもなるでしょう。
既存の従業員の定着を促す他に、採用活動を見直すことも考えましょう。
例えば、現在の新卒採用市場では、活動時期の早期化が進んでおり、新卒採用では3月ごろに内定出しのピークを迎えます。
出典:マイナビ「2025年卒内定者意識調査」
このままの流れであれば、従来通りの6月以降の選考開始では、新卒者を採ることがままならなくなるかもしれません。
現在の採用市場に適応するには、従来の採用活動を見直し、現代のニーズに合わせてアップデートすることが重要です。
人手不足を解消するには、多様性のある人材を採用するのもポイントとなります。
年齢や性別、国籍、経歴が異なる人材を迎えることは、労働力不足に対応するだけでなく、新たな課題解決力や柔軟な発想をもたらし、組織全体の成長を促します。例えば、異なるバックグラウンドや考え方を持つ人材が集まれば、消費者のニーズを的確に把握した商品開発や地域特有の経済状況に応じた事業展開が可能になるでしょう。
多様性のある人材を採用するためには、以下に挙げる方法を参考にしてください。
特に、自社の求める知識やスキルを持つ人材を確保する方法の一つとして、外国人雇用が注目されています。詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
若手社員を育成し早期戦力化を狙う、キャリアパスを明確にするなど、体系的な人材育成システムの構築は非常に有効な手法です。
特に、若手社員が早期離職をする大きな理由として「成長する見通しが持てない」と「キャリア形成の不安」があります。
出典:株式会社リクルート「新人・若手の早期離職に関する実態調査」
つまり現在の会社で就業するにあたって先のビジョンが見えない状況だと、将来に不安を感じ、転職を考えてしまう若者が多いということです。
そのため、若手社員の社内育成を積極的に進め、早期に戦力として確立することが重要です。不安を取り除き、仕事にやりがいを感じられるよう、体系的かつ継続的なサポートを行うことが求められます。
年々人手不足はより深刻となり、多くの企業が事業規模縮小や廃業に追い込まれています。すべての企業が問題を意識し早々に対策を打たなければ、日本経済全体にさらなる悪影響を及ぼすでしょう。
本記事では原因や悪影響を紹介し、具体的な対策を10個解説しました。これらの対策は、どれも時代や環境に即した施策として有効で、具体的な実践例として役立つことと期待しています。これらを念頭に自社に合ったカスタマイズで実行に移していくことが解決への第一歩となります。
もし、自社のみで人手不足解消への施策がままならないということであれば、ぜひ内藤一水社へお気軽にご相談ください。90年以上にわたって企業の採用活動を支援してきた当社が、これまで培ってきた知識とノウハウで、貴社の人手不足の解消を最大限サポートさせていただきます。
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