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2024.04.22最終更新日2024.04.22

中小企業は要注意! 残業代が大幅アップ!? 60時間超えの割増賃金率50%増について徹底解説

中小企業は要注意! 残業代が大幅アップ!? 60時間超えの割増賃金率50%増について徹底解説

残業代の割増率は、法律により定められています。
2023年4月1日の働き方改革関連法の改正により、中小企業の残業代は、月60時間を超えた場合には割増率50%以上を支払う形に引き上げられました。

経営者は、法律に則って残業代をきちんと払わなければなりません。しかし、実際に60時間以上の残業が発生しているのであれば、従業員の労働環境を見直すことも同時に検討する必要があるでしょう。

この記事では中小企業の残業代について、割増賃金の計算方法や違法になるケース・ならないケースについて解説します。さらに5つの対処法も紹介するので、残業代についてお悩みの経営者や人事・採用担当の方はぜひ参考にしてみてください。

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中小企業の残業が月60時間を超えると割増賃金率が引き上げに

中小企業の残業代について、割増賃金率が引き上げになりました。詳しい内容について、以下3つの内容に分けて解説します。

  • 法改正の詳しい内容
  • 中小企業として分類される条件
  • 中小企業側に発生する業務

1つずつ見てみましょう。

法改正の詳しい内容

中小企業での月60時間以上の残業代について、2023年4月から割増賃金率が25%以上から50%以上に引き上げられています。大企業では、2010年からすでに割増賃金率の引き上げがスタートしていました。一方、中小企業では残業代の割増賃金の引き上げについて2023年3月までは猶予措置が取られていました。

なお、残業代の割増賃金は「50%以上」と下限が決められているだけであり、それ以上の割増賃金率を設定することが可能です。また、割増賃金を支払う代わりに有給休暇を与えるという措置を取ることもできます。

中小企業として分類される条件

そもそも「中小企業」とはどのような企業を指すのか、条件が明確に定められています。

条件は業種によって異なり、以下のいずれかに当てはまる企業です。

  • 資本金の額または出資の総額が基準内であるか
  • 常時使用する労働者数を満たすか

なお、金額や労働者数は以下のとおりです。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他業種 3億円以下 300人以下

参考:厚生労働省

中小企業側に発生する業務

残業代の割増賃金率が引き上げになったことにより、企業側に発生する業務は以下の内容が挙げられます。

  • 従業員の労働時間の集計
  • 割増賃金率を含めた給与計算
  • 残業代の代わりに代替休暇を付与する場合の時間計算

また、発生した残業時間や給与を計算するだけでなく、残業を減らすための対策を行ったり従業員に指導したりすることも求められます。

中小企業で残業が60時間を超える場合の割増賃金の計算方法

残業が60時間を超えた場合、中小企業は従業員に対して割増賃金を正当に支払わなければなりません。ここでは、残業代の計算方法法改正前との違いについて解説します。

残業代の計算方法

時間外労働時間は、1ヶ月の起算日から累計していきます。具体例を見てみましょう。

【従業員Aさんの例】

  • 所定内賃金:月額30万円
  • 所定労働時間:8時間/日
  • 法定労働時間:8時間/日、1週間40時間
  • 年間休日115日
  • 所定労働日数:年間250日

【計算方法】
所定内賃金を時給換算する計算式
月額30万円 ÷(250日 × 8時間 ÷ 12)=1,800円

割増賃金率(50%)を追加した場合の時給
1,800円 × 150%=2,700円

Aさんが70時間残業した場合、60時間を超えてしまった10時間は、時給が2,700円になります。

なお、一般的な勤務体系の場合、時間外労働の割増賃金率は1時間あたり125%です。そのため、60時間までは1,800円×125%=2,250円です。

合計すると、Aさんが70時間残業した場合の残業代は162,000円となります。

法改正前との比較

2023年4月1日の法改正前は、中小企業の割増賃金は25%以上と定められていました。Aさんの場合、何時間働いても残業代は1時間あたり2,250円です。

法改正前・後でAさんが70時間働いた場合の残業代を比較してみましょう。

【法改正前】
2,250円×70時間=157,500円

【法改正後】
2,250円×60時間+2,700円×10時間=162,000円

法改正前と改正後では、4,500円の賃金の違いがあります。

中小企業の残業が60時間以上は多い?違法になる?

そもそも、残業が60時間というのは一般的に多いのでしょうか。ここでは、中小企業の担当者が知っておきたい内容を以下3つに分けて解説します。

  • 中小企業の平均残業時間
  • 残業が違法にならないケース
  • 残業が違法になるケース

それぞれ詳しく解説します。

中小企業の平均残業時間

東京都の「中小企業の賃金事情(令和5年版)」調査によると、令和5年7月における、中小企業で働く労働者の平均時間外労働時間は、男性が14時間40分、女性が8時間28分という結果でした。

なお、残業時間はコロナ禍での調査(令和3年7月)に比べると、1~2時間ほど伸びているという結果です。

産業別では、最も長いのが建設業で21時間41分、次いで運輸業や郵便業が17時間42秒、製造業が15時間27分と続きます。

調査結果から見ると、60時間の残業は一般的にかなり長いと言えます。

残業が違法にならないケース

法定労働時間を超えて働く場合「36(サブロク)協定」を締結する必要があります。この名称は、労働基準法第36条に基づいています。

労働基準法によると、法定労働時間は原則として1日8時間、1週間で40時間以内、法定休日は最低週1回です。

法定労働時間や法定休日を超えて働く場合、労働者と使用者の間で協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

しかし、36協定で締結すれば労働時間は自由であるということはなく、上限が「月45時間・年360時間以内」と定められています。

ただし、特別条項付きであれば36協定の締結により月60時間以上の残業が可能です。

以下が、例として挙げられる特別条項の内容です。

  • 1か⽉の時間外労働+休⽇労働の合計時間数が100時間未満
  • 1年の時間外労働時間 が720時間以内
  • 限度時間を超えられる回数が年6回以内、など

細かく決められているため、より詳しい内容については厚生労働省の「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」をご覧ください。

残業が違法になるケース

36協定を締結するだけでは、月60時間の残業が違法になる可能性があります。月45時間を超えて残業する場合は、36協定の特別条項を締結する必要があるためです。たとえ割増賃金率を上乗せして、きちんと残業代を払っていたとしても、36協定の特別条項を締結していなければ、残業自体が違法になります。

また、正式な残業代を払わない場合も、労働基準法に違反することになります。2023年4月からの法改正により、60時間を超えた部分は50%の割増賃金率を支払わなければならないので、特に給与計算を古いシステムに任せている企業は注意が必要です。

万が一、違法に該当する行為をおこなってしまった場合、労働基準監督署から是正勧告を受けます。最悪の場合は、企業の代表者や労務管理担当者に対して刑事罰が科されることもあるでしょう。

残業代の割増を受けて中小企業が行うべき5つの対処法

残業代の割増を受けて、中小企業は然るべき対応を取る必要があります。ここでは、5つの対処法を解説します。

  1. 割増賃金率を上げて労働に対する賃金をきちんと支払う
  2. 残業代ではなく代替休暇(有給)の付与で対応する
  3. 就業規則を変更する
  4. 労働時間を正確に把握できる仕組みを作る
  5. 残業を減らすための取り組みを行う

自社にとってどの対応策を取るべきなのか、じっくり検討してみてください。

割増賃金率を上げて労働に対する賃金をきちんと支払う

時間外労働に対しては、割増賃金率を50%以上に引き上げる必要があります。給与システムで残業代を計算する企業の場合、2023年4月以降の割増賃金の計算がきちんと反映されるように設定しなくてはなりません。

システムが非対応の場合は、設定を更新したりシステムを新たなものに変えたりという対応が必要になる企業も出てくるでしょう。たとえシステムが古かったとしても、残業代を正式に払わなかった言い訳にはできないため、早急に対処しなければなりません。

残業代ではなく代替休暇(有給)の付与で対応する

残業代の割増賃金を支払う代わりに、代替休暇を付与することも可能です。ただし、代替休暇を導入するには、事前に労使協定(36協定)の締結が必要になります。労使協定では、以下のような内容を定めなければなりません。

  • 代替休暇の時間数の算定方法
  • 代替休暇の単位
  • 代替休暇を与えることができる期間
  • 代替休暇の取得日の決定方法や割増賃金の支払日

(参考:「月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(厚⽣労働省)」)

なお、代替休暇は1日ではなく、半日や時間単位で付与することも可能です。8時間労働の場合、4時間ずつではなく午前中3時間・午後5時間といった分け方も可能です。

代替休暇は、残業が1ヶ月60時間を超えた月末の翌日から2ヶ月以内に与えなければなりません。これは、代替休暇が、労働者に休息を与える目的であるためです。

ただし、代替休暇の取得については企業側が強制することはできず、従業員自身が取得するかどうかを選択します。

就業規則を変更する

月60時間を超える残業をおこなった場合の割増賃金率について、就業規則に加える必要があります。残業代については、労働基準法第89条第1項第2号の「労働基準法第89条第1項第2号」に定められています。

月60時間以上の割増賃金率を50%以上に引き上げる場合、就業規則にその旨を記載した上で労働基準監督署への届け出が必要です。

労働時間を正確に把握できる仕組みを作る

従業員の時間外労働に対しては、月60時間以下の場合に25%以上、60時間以上の場合に50%以上の割増賃金率を支払う必要があります。残業代を過不足なく支払うには、労働時間を正確に把握する仕組みが必要です。

たとえば、タイムカードやICシステムの導入が挙げられます。なお、中小企業が時間外労働の上限規制を受けて、勤怠管理システムを導入したり就業規則や労使協定の作成・変更したりした際にかかった費用については「働き方改革推進支援助成金」を活用することが可能です。

助成金の申請にはいくつかの要件があります。詳しくは「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」をご覧ください。

残業を減らすための取り組みを行う

残業代をきちんと支払うことは大切ですが、そもそも月60時間の時間外労働が発生しないように対策を講じることも大切です。

  • 無駄な業務が多すぎないか
  • 自動化できる業務内容はあるか
  • 業務を滞りなくおこなう上で適切な人数が配置されているか

などをチェックしてみてください。業務の効率化を図ったり、無駄な仕事を省いたりするだけでも従業員の負担が減り、残業時間を削減できる可能性が高まります。

また、企業側が「ノー残業デー」を設けるといった取り組みも有効でしょう。残業が減れば、給与を計算する側の負担も軽減できます。ぜひ、現場の声も聞き入れて、残業を減らすための取り組みもおこなってみてください。

まとめ

残業に関しては、今回ご紹介した割増賃金率の改正に加えて、2024年4月からは運送業、建設業などの時間外労働時間の上限規制も改正になりました。運送業は年間時間外労働が960時間まで、建設業は720時間までに規制されます。
中小企業では、これまで以上に業務の効率化などの対策を図り、残業を減らす取り組みが必要になります。

また、労働時間が規制されることで実質的に労働力が減少し、人手不足にも益々拍車がかかることが予想されます。

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