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シニア採用・活用
人手不足や技術承継に悩む中小企業にとって、経験豊富なシニア人材の活用は待ったなしの経営課題です。さらに、2025年4月より希望者全員を65歳まで雇用する「65歳までの雇用確保」が完全義務化され、高齢者雇用は「取り組むか」ではなく「どう取り組むか」の実践フェーズへと移行しました。
しかし、「自社の定年制度をどう見直すべきか」「使える助成金があるらしいが、種類も申請手続きも複雑でよく分からない」と悩む経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、中小企業が高齢者雇用を成功に導くための戦略的メリットから、「定年延長・定年廃止・継続雇用」の徹底比較、活用すべき最新の助成金一覧までをわかりやすく解説します。
さらに、自社に合う制度がすぐわかる助成金診断チャートや、具体的な申請手順のロードマップも図解。この記事を読むだけで、制度導入から助成金の確実な受給まで、迷わずアクションを起こせるようになります。

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2025年に65歳までの雇用確保が完全義務化されたことで、多くの企業が高齢者雇用の対応に追われています。しかし、これを単なる「法的な義務(コスト)」と捉えるか、それとも「組織を強化するための戦略的投資」と捉えるかで、企業の未来は大きく変わります。
特に、慢性的な人手不足やノウハウの属人化に悩む中小企業にとって、経験豊富なシニア人材の活用は、事業を存続・成長させるための強力な武器になります。ここでは、企業側の具体的なメリットと、働くシニア自身の「本音」から、高齢者雇用を成功させるための考え方を解説します。
シニア人材を採用、あるいは継続雇用することは、単に「頭数を揃える」以上の大きな価値を企業にもたらします。具体的には、以下の3つのメリットが挙げられます。
① 熟練の技術とノウハウの確実な「承継」
長年培われた技術や、マニュアル化されていない顧客対応のコツ(暗黙知)は、一朝一夕で身につくものではありません。シニア人材に現場の第一線から少し退いてもらい、後進への指導やマニュアル作成に専念するポジションを用意することで、会社の財産であるノウハウを確実に次世代へ引き継ぐことができます。
②若手社員の「メンター・育成役」としての機能
直属の上司には相談しにくい悩みでも、年齢の離れたシニア社員であれば気軽に相談できるというケースは珍しくありません。精神的な支えとなるメンターとして機能することで、若手社員の離職率低下やモチベーション向上に大きく貢献します。
③多様な視点による「組織の活性化」
長年の経験を持つシニア人材は、若手や中堅層とは異なる視点から業務を見つめ直すことができます。「これまでの当たり前」に対して的確な改善提案を行ったり、予期せぬトラブルに対して冷静な判断を下したりと、組織全体に安定感と新たな気づきをもたらします。
高齢者雇用を成功させる上で最も重要なのは、「当事者であるシニア従業員が何を求めているのか」を理解することです。
多くの中小企業経営者は「結局は収入が目的だろう」と考えがちですが、実態は少し異なります。各種調査でも明らかになっている通り、シニア層が働く目的は非常に多様化しています。
もちろん生活費の確保も重要な要素ですが、「やりがい」や「柔軟な働き方」をより重視する傾向が強くなっています。つまり、企業が求める「経験・スキルの還元」と、シニアが求める「やりがい・社会貢献」は本来マッチしやすい関係にあるのです。

シニアの本音を理解し、彼らが「ここで働きたい」「会社に貢献したい」と思えるような役割と環境(例えば、短時間勤務の導入や、指導役への配置転換など)を用意すること。これこそが、制度や助成金を活用する前に整えておくべき「成功の鍵」となります。
高齢者雇用を戦略的に進める上で、避けて通れないのが「定年制度」の見直しです。2025年4月に65歳までの雇用確保が完全義務化された今、企業は「どの制度でシニア層の活躍を支えるか」という具体的な意思決定を迫られています。
本章では、法改正のポイントを簡潔におさらいした上で、企業が取り得る「定年延長」「定年制の廃止」「継続雇用制度」という3つの選択肢について、企業・従業員双方のメリット・デメリットを徹底比較し、自社に最適な制度を選ぶための判断基準を解説します。
2025年4月、高年齢者雇用安定法の経過措置が終了したことにより、企業は「希望する従業員全員を65歳まで雇用すること」が完全に義務化されました。
それまで一部で認められていた「労使協定によって継続雇用制度の対象者を限定できる」という特例は、すでに過去のものとなっています。
つまり、現在の経営者や人事担当者にとって、高齢者雇用は「取り組むかどうか(やる・やらない)」を議論する段階ではなく、法律を遵守しながら「自社の状況に合わせてどの方法で取り組むか」を選択し、組織をアップデートしていく実践フェーズに入っているのです。
法律上、企業が取るべき「65歳までの雇用確保措置」として、以下の3つの選択肢が用意されています。
これら3つの選択肢には、それぞれ企業側・従業員側の双方に明確なメリットとデメリットが存在します。自社の財務状況、人事評価制度、そして「シニア人材にどのような役割を期待するか」によって、最適な選択肢は異なります。
以下の比較表を参考に、自社の経営課題を解決するために最もマッチする制度を検討してください。
| 選択肢 | 概要 | 企業側のメリット・デメリット | 従業員側のメリット・デメリット |
|---|---|---|---|
| 定年延長 | 65歳(あるいはそれ以上) まで定年年齢を引き上げる |
【メリット】 ・優秀な人材の離職を防ぎ、安定確保できる ・各種助成金の対象になりやすい 【デメリット】 ・人件費の負担が増加しやすい ・若手・中堅のポスト不足が懸念される |
【メリット】 ・雇用と収入が安定し、安心して働き続けられる 【デメリット】 ・役職定年などで役割が変更される可能性がある |
| 定年制の廃止 | 「定年」という年齢による 退職概念そのものをなくす |
【メリット】 ・年齢にとらわれず、意欲と能力がある人材を長期雇用できる 【デメリット】 ・成果や能力に基づく厳格な人事評価制度の構築が必須になる |
【メリット】 ・年齢を理由に辞める必要がなく、いつまでも現役で働ける 【デメリット】 ・成果主義が強まり、シビアな評価を受ける可能性がある |
| 継続雇用制度 (再雇用など) |
定年年齢(60歳など)で一度退職し、 嘱託などで再雇用する |
【メリット】 ・業務内容に応じた新たな条件(給与等)を設定でき、人件費を抑制しやすい 【デメリット】 ・待遇の低下により、シニア層のモチベーション維持が課題となる |
【メリット】 ・短時間勤務や責任の軽い業務など、柔軟な働き方を選びやすい 【デメリット】 ・定年前よりも給与などの待遇が下がるケースが一般的である |
【意思決定のポイント】
どの選択肢を選ぶにせよ、就業規則の改定や給与規定の見直しなど、実務的な負担が発生します。そこで、これら「定年制度の見直し」や「シニア人材の新規採用」にかかる企業の負担を軽減するために用意されているのが助成金です。
次の章では、自社が活用できる具体的な助成金の種類について見ていきましょう。
定年の見直しやシニア人材の新規採用には、就業規則の改定や一時的な人件費の増加など、企業側に負担が発生します。この負担を軽減し、企業の取り組みを後押しするために用意されているのが、国(厚生労働省)の雇用関係助成金です。
しかし、助成金は種類が多く「自社がどれを使えるのかわからない」という声が絶えません。ここでは、2026年(令和8年度)最新の要件に基づき、中小企業が真っ先に検討すべき代表的な助成金を整理して解説します。
助成金探しで迷子にならないための鉄則は、「今いる従業員の定年を延ばすのか」「新しくシニアを採用するのか」という目的から絞り込むことです。以下のチャートで、自社がチェックすべき助成金の目星をつけましょう。

既存の従業員により長く活躍してもらうための社内制度整備(定年引き上げなど)を行う企業を支援する、最も代表的な助成金です。
※厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」
概要
就業規則を改定し、「65歳以上への定年引き上げ」「定年の廃止」「66歳以上までの継続雇用制度の導入」のいずれかを実施した事業主に支給されます。
主な対象要件
支給額(中小企業の場合)
引き上げる年齢の幅と、対象となる60歳以上の従業員数によって支給額が変動します。
| 60歳以上の被保険者数 | 65歳への 定年引上げ |
66~69歳への 定年引上げ |
70歳以上への 定年引上げ |
定年の 定めの廃止 |
|---|---|---|---|---|
| 1~3人 | 15万円 | 20万円~30万円 | 30万円 | 40万円 |
| 4~6人 | 20万円 | 25万円~50万円 | 50万円 | 80万円 |
| 7~9人 | 25万円 | 30万円~85万円 | 85万円 | 120万円 |
| 10人以上 | 30万円 | 35万円~105万円 | 105万円 | 160万円 |
※令和7〜8年度時点の目安額です(引き上げ幅によって細かく規定されています)。最新の拡充要件を満たすと、より高額になるケースがあります。
【ワンポイントアドバイス】
この助成金は「就業規則の改定」というハードルがあるため、社会保険労務士などの専門家に依頼する費用が発生しがちです。しかし、専門家への委託経費も支給対象として考慮された設計となっているため、外部リソースを賢く使って確実な受給を目指すのがおすすめです。
自社に不足しているノウハウや経験を持ったシニア人材を「新たに採用」する際に強力な手助けとなる助成金です。
※厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
概要
60歳以上の高齢者をはじめとする「就職困難者」を、継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して支給されます。
最大の注意点(対象要件)
必ず「ハローワーク」または「民間の職業紹介事業者(厚労省の許可・認定を受けた機関)」の紹介経由で採用しなければなりません。自社ホームページからの直接応募や、社員からの紹介(リファラル採用)では一切対象外となるため、募集段階からの戦略が必要です。
支給額(中小企業の場合)
労働時間によって以下の金額が、半年ごとの2回に分けて支給されます(合計1年間)。
| 労働者の区分 | 合計支給額 (中小企業) |
支給のタイミング (半年ごとに半額ずつ) |
|---|---|---|
| 短時間労働者以外 (週の所定労働時間が30時間以上) |
60万円 | 1期目(半年後):30万円 2期目(1年後):30万円 |
| 短時間労働者 (週の所定労働時間が20時間以上30時間未満) |
40万円 | 1期目(半年後):20万円 2期目(1年後):20万円 |
上記以外にも、シニア層の雇用形態を見直す際に使える助成金があります。また、古い情報を参照してしまわないよう「廃止された助成金」についても触れておきます。
① 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)【現在活用可能】
50歳以上かつ定年年齢未満の「有期契約社員(パートやアルバイトなど)」を、「無期契約(期間の定めのない正社員など)」に転換させた場合に支給されます。
②【要注意】高年齢労働者処遇改善促進助成金(※2025年3月末で廃止)
インターネット上の古い記事を検索すると、60歳から64歳の賃金規定を増額改定した際に支給される「高年齢労働者処遇改善促進助成金」が紹介されていることが多々あります。しかし、この助成金は令和7年(2025年)3月31日をもってすでに廃止されています。(※期限前に計画届を提出済みの企業に限り、経過措置の対象となります)。
助成金は「知っているか、知らないか」「最新のルールに則っているか」で結果が大きく変わります。自社が狙う助成金が定まったら、次は「実際にどうやって申請するのか」という具体的なアクションに移りましょう。次の章では、最も利用しやすい「特定求職者雇用開発助成金」を例に、具体的な申請手順を5つのステップで図解します。
自社が活用すべき助成金の目星がついたら、次は「どうやって申請し、受給までたどり着くか」という具体的なアクションに移りましょう。
助成金は「知っているか」だけでなく「決められた手順通りに正しく行動できるか」がすべてです。ここでは、シニアの新規採用で最も利用される「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」を例に、申請から受給までの流れを5つのステップでわかりやすく解説します。
Step1:ハローワーク等への求人提出と「紹介」を受ける
まずは、ハローワークまたは厚生労働省の許可を受けた民間の職業紹介事業者に求人を提出します。この助成金を受給するための絶対条件は「指定機関からの紹介状」を受け取ることです。
【Tips】
求人票を出す段階で、窓口の担当者に「特定求職者雇用開発助成金の対象となるシニア人材(※)を採用したい」という旨を明確に伝えておくと、対象者の紹介がスムーズに進みます。
(※)原則として雇入れ日現在の満年齢が60歳以上の方
Step2:採用と雇用契約の締結
紹介を受けた対象者と面接を行い、採用を決定します。雇用保険の被保険者として雇い入れることが要件となります。
【Tips】
雇用契約書(労働条件通知書)を作成し、契約を締結します。「65歳以上に達するまで継続して雇用すること(かつ雇用期間が2年以上)」が確実であると認められる労働条件で契約を結ぶ必要があります。
Step3:第1期 支給申請書の提出(※期限に要注意!)
対象者を雇い入れてから半年(6ヶ月)が経過したのち、第1期の支給申請を行います。
【Tips】
申請には厳格な期限があります。「支給対象期(6ヶ月)の末日の翌日から2ヶ月以内」に、管轄の労働局またはハローワークに申請書類を提出しなければなりません。1日でも遅れると受給できなくなるため、スケジュール管理を徹底しましょう。
Step4:労働局による審査
提出した書類をもとに、労働局が審査を行います。この際、単に申請書だけでなく「賃金台帳」「出勤簿」「雇用契約書」などの法定帳簿と照らし合わせ、適切な労務管理が行われているかが厳しくチェックされます。
【Tips】
2026年(令和8年)4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が確認できないなどの書類不備があると受理されず、不支給となるケースが厳格化されているため注意が必要です。
Step5:助成金の受給(および第2期の申請へ)
審査を無事に通過すると支給決定通知書が届き、指定の銀行口座に助成金(第1期分)が振り込まれます。その後、さらに半年が経過したタイミングで「第2期」の支給申請(Step3と同じ手続き)を行い、残りの半額を受給します。
助成金のステップを見て、「意外とシンプルだ」と感じた方もいれば、「書類の準備や期限の管理が面倒そうだ」と感じた方もいるでしょう。
中小企業の人事担当者が最も悩むのが「助成金の申請は自社でやるべきか、社会保険労務士(社労士)に頼むべきか」という点です。これを判断するために、まずは「よくある不支給(失敗)の理由」を知っておきましょう。
【助成金申請でよくある3つの失敗例】
■ 専門家(社労士)に依頼するメリットと費用の目安
上記のような「うっかりミス」による不支給を防ぎ、本業に専念するために、助成金申請のプロである社会保険労務士に依頼する企業は少なくありません。
【結論:どう判断すべきか?】
すでに社内に専任の人事・労務担当者がおり、日頃から就業規則や勤怠管理が完璧に整備されている企業であれば、自社での申請も十分に可能です。
しかし、「社長や役員が採用・労務を兼任している」「就業規則や残業代の計算に少し不安がある」といった中小企業の場合は、受給漏れのリスクや人件費(手間)を考えると、成功報酬を払ってでも社労士に依頼した方が、結果的に会社に利益をもたらすケースがほとんどです。
まずは付き合いのある顧問社労士や、助成金に強い専門家に「自社で使えそうな高齢者雇用の助成金はあるか?」と無料相談してみることから始めるのが、最も確実な第一歩と言えるでしょう。
2025年の「65歳までの雇用確保」の完全義務化を経て、高齢者雇用はどの企業にとっても避けて通れないテーマとなりました。しかし、本記事でお伝えした通り、シニア人材の活用は決して「法的な義務」や「コスト」ではありません。長年の経験に基づく確かな技術の承継や、若手の育成、多様な視点による組織の活性化など、中小企業にこそ計り知れないメリットをもたらす「戦略的な投資」です。
定年の見直し(定年延長・廃止・継続雇用)や、シニア人材の新たな採用には、一時的な負担や制度変更の手間が伴います。だからこそ、「65歳超雇用推進助成金」や「特定求職者雇用開発助成金」といった国の支援策(助成金)を賢く活用し、金銭的・実務的な負担を最小限に抑えながら組織のアップデートを図ることが重要です。
もし、そのような悩みがあれば、ぜひ当社が運営する「シニア求人ナビ」をご活用ください。長年にわたる採用支援の実績と専門的なノウハウをもとに、貴社の経営課題を解決する「即戦力シニア人材」とのベストなマッチングをサポートいたします。
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