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2023.11.07最終更新日2023.11.07

高齢者雇用において支給される助成金とは?~種類や対象要件を解説~

高齢者雇用において支給される助成金とは?~種類や対象要件を解説~

現在の日本の労働市場では、少子高齢化による人手不足が大きな課題となっています。
その解決策の一つとして積極的に推進されているのが、高齢者労働力の活用
年齢に関わらず、意欲と能力のある限り働き続けられる職場と社会をつくることで、人手不足を解消し、経済の発展にも繋がります。加えて、高齢者は豊富な経験・知識・技能を有しており、多様な分野での活躍が可能なので、若年層の人材育成における良い影響も期待できます。

そんな高齢者雇用を促進するため、国が策定した制度の一つに、「高年齢者雇用推進助成金制度」があります。
助成の対象は、65歳以上への定年引上げや高齢者の雇用管理制度の整備、高齢者の無期雇用への転換等、一定の要件を満たした事業主・企業です。
以下、助成金の種類とその要件を紹介します。
人件費はじめ諸経費に課題を感じ、高齢者雇用に対して一歩踏み出せない、という方もぜひ参考にしてみてください。

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高年齢者雇用推進助成金制度とは?

高齢者雇用推進助成金制度は、60歳以上の高齢者の雇用促進を目的とした制度です。主に「雇用関係助成金」と「労働条件等関係助成金」の2つのカテゴリーがあります。

  1. 雇用関係助成金
    雇用維持、再就職支援、雇用の取り組みに関する助成金です。
  2. 労働条件等関係助成金
    労働時間の設定改善や生産性の向上を通じての最低賃金の引き上げ支援など、労働条件に関する内容が含まれています。

雇用に関する助成金の中には、65歳以上への定年の引き上げや高年齢者の雇用管理制度の整備、高齢の労働者と有期契約し、無期雇用への転換をおこなった事業主に対しての助成金もあります。

助成金の受給対象となる「高齢者」とは

「高齢者」とは、主に60歳以上を指すことが多いですが、一部の助成金や制度では定義が異なることがあります。詳細な要件や定義を確認することが必要です。

助成金の受給対象となるための要件

助成金を受け取るためには、雇用保険適用事業所であること、指定された期間内に申請を行うこと、支給のための審査に協力することなど、さまざまな要件を満たす必要があります。

助成金の受給対象になる中小企業の範囲

中小企業と大企業では、助成金の支給額や要件が異なることがあります。中小企業の定義や、助成金の詳細な要件についての理解が必要となります。

引用:「令和4年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)

60歳以上の高齢者雇用に関連する助成金の種類

高齢者の雇用支援のための助成金は多岐にわたり、それぞれの企業の取り組みや事情に合わせて利用することができます。

特定求職者雇用開発助成金【特定就職困難者コース】

特定就職困難者コースの助成金は、60歳〜64歳までの高齢者・障害者・母子家庭の母などを、継続して雇用する労働者として雇い入れた場合に支給される助成金です。

支給要件

以下の要件のいずれも満たしておく必要があります。

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者の紹介により雇い入れること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

継続して雇用するとは、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ当該雇用期間が継続して2年以上であることです。

支給額

雇用形態や条件によって、最大240万円までの支給が考えられます。

高年齢者(60歳〜64歳)、
母子家庭の母等
1人あたり60万円
(中小企業以外は50万円)
短時間労働者は40万円
(中小企業以外は30万円)
身体・知的障害者(重度以外) 1人あたり120万円
(中小企業以外は50万円)
短時間労働者は80万円
(中小企業以外は30万円)
身体・知的障害者(重度又は45歳以上)、
精神障害者
1人あたり240万円
(中小企業以外は30万円)
短時間労働者は80万円
(中小企業以外は30万円)

※短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者

65歳超雇用推進助成金【65歳超継続雇用促進コース】

65歳以上への定年の引き上げ等の取り組みを行う事業主に支給される助成金です。
高齢者の就労機会の確保や希望者全員が安心して働ける雇用基盤の整備を目的としています。

支給要件

以下の要件のいずれも満たしておく必要があります。

  • 65歳以上への定年の引き上げ
  • 定年の定めの廃止
  • 希望者全員を対象とする66歳以上の年齢までの継続雇用制度の導入
    ※他社による継続雇用の導入

支給額

取り組みの内容や年齢の引き上げ幅により、最大160万円までの支給が考えられます。

取り組み内容 支給額
65歳への定年の引き上げ 15〜30万円
66〜69歳への定年の引き上げ 20〜105万円
70歳未満から70歳以上への定年の引き上げ 30〜105万円
定年(70歳未満に限る)の定めの廃止 40〜160万円
希望者全員を66〜69歳の年齢まで
継続雇用する制度の導入
15〜60万円
希望者全員を70歳未満から70歳以上の年齢まで
継続雇用する制度の導入
30〜100万円

※他社による継続雇用制度の導入は
 66~69歳:10万円
 70歳以上:15万円
 上記の支給額を上限に、他社における制度の導入に要した経費の1/2の額を助成

65歳超雇用推進助成金【高年齢者評価制度等雇用管理改善コース】

高齢者の雇用管理制度の見直しや導入を行う事業主に支給される助成金です。

支給要件

以下の要件のいずれも満たしておく必要があります。

  • 雇用管理整備計画の作成と認定
    高齢者のための雇用管理制度の整備等の取り組みに関連する「雇用管理整備計画」を作成し、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に提出してその認定を受ける必要があります。
  • 高齢者の雇用環境整備の措置の実施
    雇用環境整備の措置として、高年齢者の雇用機会を増大するための雇用管理制度の見直し、または導入および健康診断を実施するための制度の導入が求められています。

支給額

支給対象経費の60%(生産性要件を満たした事業主は75%)、中小企業以外は45%(生産性要件を満たした事業主は60%)
※詳細な要件や定義は確認が必要です。

65歳超雇用推進助成金【高年齢者無期雇用転換コース】

有期雇用から無期雇用への転換を行う際に事業主に支給される助成金です。

支給要件

50歳以上かつ定年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換した場合に支給されます。

支給額

1人あたり48万円(中小企業以外は38万円)

高年齢労働者処遇改善促進助成金

雇用形態に左右されず公正な待遇の確保を推進するため、60歳から64歳までの高齢労働者の処遇改善に取り組む事業主に支給される助成金です。
※令和3年4月1日より新設

支給要件

(1)以下の事項を算出・比較し、全体の減少率が95%以上であることが確認できる事業主であること

A
賃金規定等改定の措置に基づき、増額された賃金が支払われた日の属する6ヶ月間に、算定対象労働者が受給した増額改定前の賃金の額で算定した高年齢雇用継続基本給付金の総額
B
賃金規定等を増額改定後、各支給対象期において、当該算定対象労働者が受給した増額改定後の賃金の額で算定した高年齢雇用継続給付金の総額

算定対象労働者が20人に満たない事業所は、対象労働者の希望により雇用形態が変更になり、賃金規定等改定後も給付金を受給する労働者を除いて減少率を算定します。

(2)就業規則や労働協約で定めるところにより、賃金改定等を増額し、改定後の賃金規定等を6ヶ月以上運用している事業主であること
(3)増額改定前の賃金規定等を6ヶ月以上運用していた事業主であること          
(4)支給申請日において、増額改定後の賃金規定等を継続して運用している事業主であること

支給額

  • 令和4年度:AからBを引いた額に、5分の4(中小企業以外は3分の2)を掛けた額
  • 令和5年度または令和6年度:AからBを引いた額に、3分の2(中小企業以外は2分の1)を掛けた額

まとめ

人生100年時代において、生涯現役を志向する高齢者も多い昨今。
そのニーズを事業主・企業が受け止め、雇用を通じてWin-Winの関係を築くことが、社会貢献にも繋がります。
「高年齢者雇用推進助成金制度」を上手に活用し、高齢者雇用に舵を切ってみるのも、人手不足解消の一手と言えます。

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